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横浜市立大学 YOKOHAMA CITY UNIVERSITY

大学院生 渡邊祐樹さんが、第48回日本高血圧学会総会において若手研究者奨励賞(優秀賞)を受賞!

2026.11.05
  • TOPICS
  • 学生の活躍

皮膚組織のAT1受容体に着目した、高血圧の新たな治療標的の探索

横浜市立大学大学院医学研究科 循環器・腎臓・高血圧内科学の大学院生 渡邊祐樹さん(博士課程2年)が、2026年10月10日(土)~10月12日(月・祝)にライトキューブ宇都宮(栃木県宇都宮市)で開催された第48回日本高血圧学会総会において「若手研究者奨励賞(YIP賞:Young Investigator's Promotion賞)優秀賞」を受賞しました。
受賞演題は「アンジオテンシンⅡ誘導高血圧における皮膚組織AT1受容体の役割とその治療標的としての可能性」です。若手研究者奨励賞は、高血圧研究に取り組む若手研究者の優れた研究発表を奨励することを目的とした賞です。
受賞者(写真:右)
循環器・腎臓・高血圧内科学
博士課程2年
渡邊 祐樹わたなべ ゆうき
さん

指導教員(写真:左)
卓越教員
循環器・腎臓・高血圧内科学
小豆島 健護講師

教室主任教授
循環器・腎臓・高血圧内科学
田村 功一市民総合医療センター病院長
受賞内容
第48回日本高血圧学会総会 若手研究者奨励賞(YIP賞)優秀賞

受賞演題
アンジオテンシンⅡ誘導高血圧における皮膚組織AT1受容体の役割とその治療標的としての可能性
今回の研究内容について渡邊さんに解説していただきました。
血圧は、心臓・腎臓・血管などさまざまな臓器が互いに連携しながら調節されています。その中心的な役割を担っているのが「レニン-アンジオテンシン系(RAS)*1」と呼ばれるホルモンの仕組みです。RASは血液中で全身に働くだけでなく、それぞれの臓器の中でも独自に働いており(組織RAS*2)、実は皮膚にもRASを構成する要素のほとんどが存在しています。私たちの研究グループはこれまでに、皮膚の表皮をつくる細胞(ケラチノサイト*3)でRASの働きが強まると、皮膚の血管が過剰に縮み、高血圧が悪化することを明らかにしてきました(Taguchi S, Morita R, et al. Nat Commun 2025)。それでは反対に、皮膚のRASの働きを抑えれば、高血圧は改善するのでしょうか。そこで本研究では、遺伝子改変技術を用いて、皮膚のケラチノサイトだけでRASの主要な受容体である「AT1受容体*4」をなくしたマウスを作製しました。このマウスに血圧を上げるホルモンであるアンジオテンシンⅡを2週間投与したところ、通常のマウスに比べて血圧の上昇が有意に抑えられました。さらに、皮膚の血流量や皮膚から蒸発する水分量(経皮水分蒸散量:TEWL*5)が高く保たれており、皮膚の血管が縮みにくくなっていることが分かりました。これらの結果から、皮膚のAT1受容体を抑えることで皮膚の血管の収縮が和らぎ、高血圧の悪化が抑えられると考えられます。本研究の結果から、皮膚のAT1受容体は高血圧の新たな治療標的となり得ると考えられます。今後さらに検討を重ね、皮膚に着目した新しい高血圧治療の可能性を追究していきます。
渡邊さんのコメント
この度は、第48回日本高血圧学会総会において若手研究者奨励賞(YIP賞)優秀賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。本研究の遂行にあたり、日頃より丁寧にご指導いただいております田村功一主任教授、涌井広道准教授、小豆島健護講師をはじめ、教室の先生方、そしてご協力いただいている他施設の先生方に心より感謝申し上げます。皮膚が血圧の調節に関わっているという点は、まだ十分に知られていない新しい視点です。今回の受賞を励みに、皮膚を標的とした新たな高血圧治療の実現に向けて、引き続き研究に精進してまいります。
田村功一主任教授・市民総合医療センター病院長のコメント
循環器・腎臓・高血圧内科学教室では、1853年黒船来航の横浜・神奈川の歴史に根ざす「門戸開放」、サイエンス・アカデミアの高みをめざす「研究重視」、地域貢献重点の「患者第一」を理念としています。そして、私どもの教室のモットーは、『ともにめざそう! 心腎代謝連関制御を通じた“From molecules to the whole body, and to the Society”実現のための横浜・神奈川発のエビデンス創出』です。また、私自身、医学研究科主任教授と附属市民総合医療センター病院長を兼務していることもあり、教室として医学研究科・国際マネジメント研究科・附属病院および附属市民総合医療センターが一体となっての研究・診療・教育・地域貢献を通じての優秀な医療人材の輩出にも力を入れています。今回、大学院生の渡邊先生が、教室で長年取り組んできた組織レニン-アンジオテンシン系研究を皮膚へと発展させた研究成果で本賞を受賞したことは、大変喜ばしく、多くの大学院生と本学卓越教員・指導教員の小豆島講師ら教員にとっても大きな励みになると思います。渡邊先生の今後のさらなる活躍に期待しています。
用語説明
*1 レニン-アンジオテンシン系(RAS):血圧や体内の水分・塩分のバランスを保つためのホルモンの仕組み。最終的につくられるアンジオテンシンⅡが血管を収縮させるなどして血圧を上げる。RASの働きを抑える薬は、高血圧の治療薬として広く使われている。
*2 組織RAS:血液中を流れて全身に作用する「循環RAS」とは独立して、心臓・腎臓・皮膚などそれぞれの臓器の中でつくられ、その臓器で局所的に働くRAS。
*3 ケラチノサイト:皮膚のいちばん外側にある表皮の大部分を占める細胞。
*4AT1受容体(アンジオテンシンⅡ1型受容体):アンジオテンシンⅡを受け取り、その作用を細胞に伝える受け皿(受容体)。血管収縮など血圧を上げる作用の多くはAT1受容体を介して起こる。
*5 経皮水分蒸散量(TEWL):皮膚の表面から蒸発する水分の量。皮膚の血流が保たれていると高くなり、皮膚の血管が強く縮むと低下するため、本研究では皮膚の微小循環の指標として用いた。
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