喫煙と排尿障害の関係性に関する大規模調査を実施 喫煙が排尿症状悪化の要因であることを確認
2020.11.27
- プレスリリース
- 研究
横浜市立大学附属市民総合医療センター 泌尿器・腎移植科 河原崇司診療講師、上村博司診療教授、伊藤悠城医師(横須賀共済病院泌尿器科)らの研究グループは、アイブリッジ社と共同で世界初となる喫煙と排尿障害に関する大規模な臨床研究を行い、喫煙が日本人における排尿症状悪化の要因であることを明らかにしました。
排尿障害の罹患率は8人に1人と多い一方で、排尿の問題であることから恥ずかしくて病院に来られないなど実際の患者数より病院の受診が少ないと報告されています。本研究ではインターネット調査を用いて短期間に今まで報告されている排尿障害の研究の中で最大規模の調査を実施することができました。特に、排尿障害と喫煙との関係を示した大規模研究は行われておらず、いずれの年齢層においても喫煙が排尿障害のリスク因子であったことが明らかになりました。さらに、若年者において喫煙による排尿障害の影響は顕著であり、高齢・糖尿病・高血圧など、他の因子が少ない分喫煙の影響が強く出たと考えられました。
今後は、本研究での解析結果をもとに、喫煙による排尿症状の影響について基礎研究を進めていく予定です。
本研究は、『Scientific Reports』に掲載されました。
研究成果のポイント
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研究の背景
過活動膀胱*1は、日本人男女の8人に1人は罹患する尿意切迫感と頻尿を主症状とする疾患です。年齢をはじめとして様々な因子で罹患率が上昇すると報告されており、喫煙もそのリスクの一つと報告されているものの喫煙と排尿症状の関連を示す大規模な研究は、今まで行われていませんでした。
そのような背景の中、本研究は世界で初めて喫煙と排尿障害を調べる大規模な調査であるとともに、2004年以降行われていなかった日本人成人男性の排尿症状も調査する大規模な臨床研究となります。
そのような背景の中、本研究は世界で初めて喫煙と排尿障害を調べる大規模な調査であるとともに、2004年以降行われていなかった日本人成人男性の排尿症状も調査する大規模な臨床研究となります。
研究の内容
インターネット調査会社であるアイブリッジ株式会社と共同で、日本人成人男性10,000人に喫煙および排尿障害のアンケートを依頼し、最終的に9,042名から回答を得ました。
その結果、過活動膀胱・尿意切迫感・夜間頻尿のいずれも各年齢群でNon-smoking群と比較してEx-smoking群とCurrent-smoking群は高い罹患率を示しているとともに、特に若年者において喫煙による排尿症状に与える影響が顕著であることが明らかになりました。
※アンケートの結果、禁煙習慣のない群(Non-smoking群)が3,545名、喫煙習慣があり禁煙中の群(Ex-smoking群)が3,060名、喫煙習慣のある群(Current-smoking群)が2,437名であった。
その結果、過活動膀胱・尿意切迫感・夜間頻尿のいずれも各年齢群でNon-smoking群と比較してEx-smoking群とCurrent-smoking群は高い罹患率を示しているとともに、特に若年者において喫煙による排尿症状に与える影響が顕著であることが明らかになりました。
※アンケートの結果、禁煙習慣のない群(Non-smoking群)が3,545名、喫煙習慣があり禁煙中の群(Ex-smoking群)が3,060名、喫煙習慣のある群(Current-smoking群)が2,437名であった。
(図)
過活動膀胱の罹患率は年齢を経るにつれて上昇傾向であったがいずれの年齢層においても、喫煙習慣のない群に比べて、喫煙群・禁煙群は高い過活動膀胱の罹患率を示していた。特に、若年者において喫煙のリスクが高い傾向にあった。
過活動膀胱の罹患率は年齢を経るにつれて上昇傾向であったがいずれの年齢層においても、喫煙習慣のない群に比べて、喫煙群・禁煙群は高い過活動膀胱の罹患率を示していた。特に、若年者において喫煙のリスクが高い傾向にあった。
今後の展開
本研究を基に、喫煙の排尿症状に与える影響のメカニズム解析など基礎実験を進めていく予定です。また、喫煙者における禁煙行動による排尿障害の改善などを検討していきます。
用語説明
*1 過活動膀胱:
尿意切迫感や頻尿などを主症状とする症状疾患で、40歳以上の男女8人に1人程度の罹患率と報告されている。
尿意切迫感や頻尿などを主症状とする症状疾患で、40歳以上の男女8人に1人程度の罹患率と報告されている。
問い合わせ先
(取材対応窓口、資料請求など)
横浜市立大学 広報室
E-mail : koho@yokohama-cu.ac.jp