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横浜市立大学 YOKOHAMA CITY UNIVERSITY

理学部 和田久美さんが、第11回デザイン生命工学研究会にて優秀ポスター賞を受賞!

2026.04.17
  • TOPICS
  • 学生の活躍
  • 理学部

組織の修復を制御する可能性のある物理刺激を発見!

理学部理学科 3年(受賞当時)の和田久美さんが、2026年3月6日(金)~7日(土)に大分市コンパルホール・3階多目的ホールで開催された第11回デザイン生命工学研究会において「物理刺激によるスフェロイド内部壊死の抑制」について発表し、優秀ポスター賞を受賞しました。 
受賞者
理学部理学科 3年(受賞当時)
(生命環境コース)
和田 久美わだ くみ
さん

指導教員
理学部理学科
小島 伸彦教授

受賞内容
第11回デザイン生命工学研究会
優秀ポスター賞

発表題目
物理刺激によるスフェロイド内部壊死の抑制
今回の発表内容について和田さんに解説していただきました。
細胞を数千個程度、ボール状にまとめて培養すると、スフェロイド*1やオルガノイドと呼ばれる三次元的なミニ組織が形成されます。このミニ組織は、シャーレを使った二次元的な培養よりも生体に近い特徴や機能を示すことから、臓器や組織のモデルとして注目されています。細胞数が多くなるとスフェロイド内部の細胞へ酸素や栄養の供給が減少し、中心部では壊死*2が生じます。例えば2,000個の細胞からなるスフェロイドはしばらくの間壊死が生じませんが、細胞数が5,000個以上になると培養数日で中心部が壊死します。すなわちスフェロイドは酸欠による組織の壊死や修復を再現しうるモデルとしても、活用できる可能性があります。本研究では内部壊死を抑制する可能性のある物理刺激(特許申請予定のため、具体的な刺激内容は伏せています)の効果について、肝がん細胞を用いて作製したスフェロイドを対象にして、RNA-seq*3による遺伝子発現網羅的解析やDNA量計測による細胞数変化、また、グルコース消費量と乳酸生産量*4の測定によるエネルギー代謝状態の評価といった観点から検討を行いました。今回実施したRNA-seqからは、物理刺激によって好気的な代謝が抑制される一方で、血管新生や細胞移動が促進される傾向がありそうだということがわかりました。また、物理刺激によってDNA量減少が抑制されていることがわかりました。さらにグルコース消費量と乳酸生産量の双方が増加していたことは、物理刺激が細胞死を抑制することに役立っている可能性を裏付けると考えられます。
和田さんのコメント
日本デザイン生命工学会は、細胞や臓器、個体における生命現象を合成生物学的アプローチによって再構築することで理解し、医療・産業分野で応用することを目的とする研究会です。広い学術分野にまたがった研究会であるため、参加者のバックグラウンドも多岐にわたります。
私は今回の日本デザイン生命工学研究会での発表が初めての学会発表だったため、右も左もわからない状態だったのですが、大会長の大分大学・信岡かおる先生をはじめ、参加されている先生方にも優しく受け入れていただき、ディスカッションも活発にできたと感じました。また、今回の研究会には地元の高校生が多く招待されていたのですが、彼らからも高校生とは思えないほど鋭い質問を多く頂き、非常に刺激を受けました。
まだ学部生の身分でこのような賞を頂くことができたのは、時には夜遅くまで要旨やポスターの推敲にお付き合いいただきました小島先生や研究室のメンバーの皆様のサポートがあったおかげです。この場をお借りしまして、心より感謝申し上げます。今後また学会等で発表する機会がありましたら、積極的に参加していきたいと思います。



指導教員 小島 伸彦教授のコメント
本研究は、和田さんの先輩にあたる大学院生が偶然発見した現象で、ある物理刺激によりスフェロイドの内部壊死が抑制されるという内容です。しかし、当時はばらつきが大きいDNA量の計測だけでしか定量的な結果が得られておらず、再現性がとれずに不確かな結果のままでした。和田さんは粘り強く再現性が得られる条件を見出しただけでなく、物理刺激によってグルコース消費量や乳酸生成量が増加するということを見出しました。グルコースと乳酸の計測は、DNA量計測よりも精度が高く、壊死が回避されていることを示す強い証拠となりました。グルコースと乳酸の測定はディスカッションの中で何気なく提案したものですが、和田さんはこれをしっかり覚えていて、直ちに実行してくれました。これによって、研究が大きく進展しました。特許申請を行う可能性から「物理刺激X」として発表したので、賞を頂けるとは思っていませんでした。優秀ポスター賞に選出されたのは、RNAシーケンスの結果を和田さん自身がひとつひとつ解析し、その内容を自分の言葉でわかりやすく説明できたからだと思います。時間がかかる課題にも怯まずに取り組む姿は3年生とは思えません。ますますの活躍に期待しています。
用語説明
*1 スフェロイド :細胞を球状に凝集させた、三次元的な細胞塊。
*2 壊死:貧栄養や酸欠などに起因して細胞が死ぬこと。
*3 RNA-seq:細胞中で合成されるRNAの塩基配列を網羅的に決定することで、遺伝子発現レベルを可視化する手法。
*4 グルコース消費量と乳酸生産量:一般的な細胞培養では、グルコースの消費に伴って、一定量の乳酸が生成される。
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