YCU 横浜市立大学
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第5回 STUDIO YCU 開催報告
「若手起業家がヨコイチで語り合う」

2026.02.18
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  • 国際商学部
右から髙木准教授、原田氏、三宅氏、亀井氏、川部氏
2月2日(月)、在学生・教職員と卒業生が世代を越えて語り合うトークイベント「STUDIO YCU」を、みなとみらいサテライトキャンパスで開催しました。

第5回となる今回は、「若手起業家がヨコイチで語り合う」をテーマに、本学国際商学部の学生起業家と、本学卒業生で活躍されている起業家の方々をゲストに迎え、60名以上の方々が参加しました。


宮城副学長

開会挨拶では、宮城悦子 副学長が、本学の大学発ベンチャー支援の積極的な取り組みに触れ、若い世代の挑戦が大学全体のアントレプレナーシップを高めているとの期待が示されました。また、参加者にとって今後の挑戦や成功へとつながる契機となることを祈念しているとご挨拶をいただきました。

髙木准教授

■「大学発ベンチャー表彰2025「文部科学大臣賞」受賞
ショートメッセージ

今回は、附属病院集中治療部長であり、株式会社CROSS SYNC(横浜市立大学発認定ベンチャー、以下CROSS SYNC)の取締役会長でもある髙木俊介 准教授にファシリテーターを務めていただきました。CROSS SYNCは2025年8月、大学発ベンチャー表彰2025において栄えある「文部科学大臣賞」を受賞し、髙木先生からは、公立大学発として評価されたことへの喜びと、大学への恩返しの思いが語られました。スタートアップにおいて最も重要なことは「まず生き残ること」であり、「生き残っていれば、どこかで必ずチャンスがある」と、参加者に向けてメッセージを送っていただきました。また、大学発スタートアップは規制や政策など学ぶべきことが多く、経営の難しさも大きいとしながらも、その分大きな成長が得られると自身の経験を熱く語ってくださいました。 

■自社紹介ならぬ他社紹介

起業家は通常、顧客や投資家に向けて自社のプレゼンを行う機会が多くあります。今回のSTUDIO YCUでは、あえて自社ではなく、他社の事業内容を紹介する形式でプレゼンを行っていただきました。




≪学生起業家≫

 川部 響 氏(株式会社FutureHR 代表取締役CEO・国際商学部3年)
 原田 琉碧 氏(株式会社Almondays 代表取締役・国際商学部4年)

≪卒業生起業家≫
 
 亀井 隆雅 氏(株式会社ノバナ 代表取締役・国際商学部2024年3月卒業)
 三宅 剛平 氏(株式会社PocketPort 代表取締役・国際商学部2024年3月卒業)




三宅氏→株式会社Almondays(原田氏)の紹介  


株式会社Almondaysは、原田氏が両親の離婚という原体験をきっかけに、離婚を考え始めた段階の人が気軽に相談できる場をつくりたいとの思いから起業しました。LINEを活用して離婚経験者とのミーティングを設定するなどのサービスを展開しています。

【本人からの補足コメント】


離婚のプロセスはアントレプレナー精神と似ており、実際に起業する際に情報不足や相談相手の不在、精神的な負担が大きい点が共通しています。起業には支援プログラムがある一方で、離婚では経験者に相談しづらい現状があるとし、そうしたハードルを下げるため、LINEを活用した匿名相談サービスの提供を目指しています。


原田氏→株式会社PocketPort(三宅氏)の紹介

株式会社PocketPortは、海を身近に楽しむ機会が減っている課題に着目し、都内から約1時間半で利用できるプライベートクルージングを提供しています。操船や食事、アクティビティを用意した手ぶらで楽しめる設計に加え、家族でも参加できる、たこつぼ漁をゲーム感覚で体験してもらう事業も展開しています。

【本人からの補足コメント】


クルージングに加え、最近は漁業支援にも力を入れています。近年、相模湾では漁獲量の減少により、漁師が安定して売り上げを立てることが難しくなっています。従来の漁の技術やプロセスを一般消費者に可視化し、魚の量に価値を付ける仕組みを構築しました。昨年は漁師の年間売上を約100万円も向上させ、今後も漁師と連携し海の魅力を広げていきたいと思います。


川部氏→株式会社ノバナ(亀井氏)の紹介

株式会社ノバナは、医療現場で患者の創傷部を洗浄する医療機器の開発に取り組む会社です。亀井氏は自身の豊富なファイナンス経験を活かし、長い開発期間や認証取得など難易度の高い医療ハードウェア分野に挑戦されています。

【本人からの補足コメント】


現在は横浜市立大学の研究者と連携し、研究開発を進めながら事業化を推進しています。また、横市卒業生が代表を務める町工場とも協業し、大学・企業が連携する「ヨコイチスクラム」として医療機器開発に取り組んでいます。

亀井氏→株式会社FutureHR(川部氏)の紹介

株式会社FutureHRは、AIを活用したシステム開発支援を行うソフトウェアの会社です。川部氏は、大学在学中に介護施設向けレクリエーション事業を起業後、時代の変化を捉えて事業をピボットしました。現在は売り上げや顧客を着実に獲得し、大手企業との取引も進むなど、事業拡大を進めています。

【本人からの補足コメント】


大学一年で創業し、介護施設向けエンタメ事業として日本で一番大きいVCから1,000万円の投資を受けPOCを実施しました。その後、市場規模の課題を踏まえて事業転換を決断し、ソフトウェア開発の経験を活かして、現在は企業向け受託開発と自社アプリの両輪で売り上げを立てて現在の事業に至っています。
 

■パネルディスカッション — 自身の変化とこれからの未来

 続いて行われたパネルディスカッションでは、起業経験を通じた内面変化、人生設計への影響、そして大学による支援の在り方などについて多角的に語られました。

テーマ①「起業前後の変化」:起業したことで、自分自身について最も変わったと思うことは?

  • 他者の意見を聞く姿勢が大きく変化しました。単に話を聞くのではなく意思決定の材料として咀嚼するようになりました。(原田氏)
  • 学生時代は「自分一人でやり切る」という価値観を持っていましたが、起業後は自分より優秀な人を頼ることを学びました。一方で、人に頼りすぎたことによる失敗も経験し、最終判断は自分で行う重要性を感じています。(三宅氏)
  • 起業はこれまでの経験の延長線上にあり、大きな意識転換はないです。起業後は今まで蒔いてきた種を収穫している感覚です。(亀井氏)
  • 金銭感覚は大きく変わらず、収入に依らず日常の消費行動は以前と同じです。起業を通じて、他者を軽視できなくなり、すべての人へのリスペクトが生まれました。(川部氏)

テーマ②「起業とライフプラン」:起業した皆さんは、ご自身のライフプランについてどう考えているのか?

  • 卒業後は、自社経営と並行して個人事業主として他社での業務も行う計画を立てています。将来的には、現在の事業領域をアカデミックに深めるため、再度大学で学ぶことも検討しています。(原田氏)
  • 会社は「自分の子ども」のような存在であり、簡単には手放せないと思っています。ただ、起業家としての生き方と、働き方とのバランスに葛藤があり悩み中です。(三宅氏)
  • 一つの事業に留まらず、社会に必要とされる事業を次々と立ち上げていく人生を歩んでいきたいと思っています。(亀井氏)
  • 一定の成果は出たものの、日々の業務に”飽き”を感じるようになりました。就職やM&A型のキャリアなど、複数の選択肢を並行して検討しているところです。(川部氏)

テーマ③「ヨコイチによる起業支援」:皆さんは、どんなことで困っているのか?

  • 商学部には専門性の高い教員が多いため、分野ごとに相談できる教員が分かりやすく示されるといいと思います。気軽に相談できる環境が整えば、より強い支援体制になると感じます。(原田氏)
  • 起業初期は、売上が立たないことが最大の課題です。大学や関係者が最初の顧客になれるような支援の仕組みがあれば心強いです。(三宅氏)
  • 学生起業家が増える視点で考えると、起業してみたいけれど何をしたらいいかわからない学生が多い中で、課題掲示や求人などができるポータルや掲示板があればいいと思います。(亀井氏)
  • 大学発ベンチャー認定による信頼性が、営業活動に大きく役立っています。また、国際商学部の授業『企業家に学ぶ』も非常に有益でした。(川部氏)

■質疑応答 — 参加者からの質問

Q1. 起業後、困っている企業を支援する仕組みで何か成功事例がありますか?
→髙木俊介 准教授より、産学連携の実績を教員の評価ポイントに設定し、各診療科にプロモーター教員を置いて週1日で産学連携や臨床研究以外の活動に充てる仕組みがある他大学の事例が紹介されました。

Q2. 横浜市立大学が今後目指す大学発スタートアップの方向性は何ですか?
→後藤優 スタートアッププロデューサーから、研究成果をもとにしたスタートアップの創出支援とアントレプレナーシップ教育の双方に注力している現状について説明がされました。両者が連携することで、横浜市立大学ならではの規模感を活かした一気通貫型の起業支援を実現していきたいとの意気込みが語られました。
高瀬客員教授・COI-NEXT拠点副プロジェクトリーダー

■クロージング — 若者の挑戦と大学が支えるセーフティネット

クロージングでは、高瀬堅吉 客員教授・COI-NEXT拠点副プロジェクトリーダーから、若者の生きづらさという課題に対してスタートアップは有効な選択肢となり得ることが示されました。登壇した若手起業家たちは強い個性を発揮し、生き生きと起業に取り組んでおり、これは横浜市立大学がそうした文化を育んできたからこそであると述べられました。また大学には、学術的根拠に基づく価値提供やメンタルヘルステックの社会実装を支えるとともに、挑戦だけでなく失敗時のセーフティネットまで含めた支援が重要であると強調され、大学の役割や使命について改めて考えさせられるメッセージも届けられました。
会場の雰囲気
(上)企画原案者の伊藤智明 准教授と(下)企画監修者の後藤スタートアッププロデューサー

■まとめ

今回のSTUDIO YCUでは、若手起業家による率直かつ活気あふれる対話が行われました。登壇者からは、起業後に卒業生の存在に何度も支えられ勇気をもらってきたという声や、横浜市立大学が起業に挑戦しやすい恵まれた環境であることが語られました。

また、参加者からは、起業経験に裏打ちされた深い考え方や価値観に触れ、多くの学びを得たという声が寄せられました。自身の挑戦にとどまらず、社会や将来を見据えて行動する在学生・卒業生の姿に刺激を受け、強い憧れを感じたという意見もありました。
STUDIO YCUでは今後も、こうした横のつながりを活かしながら、個性や挑戦を尊重し、大学発の挑戦が社会へと広がっていく循環を育んでいきます。
 

■お問い合わせ先

横浜市立大学 
企画財務課 卒業生・基金担当 kifu@yokohama-cu.ac.jp
研究・産学連携推進課 産学連携担当(ベンチャー支援) ycu.venture@yokohama-cu.ac.jp 
第5回 STUDIO YCUポスター
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