2026.03.26
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人工膝関節置換術後に発生する腓骨神経麻痺の発生を予測するスコアを開発
データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻 博士後期課程1年の栗原 信吾さんが、2026年2月26日(木)~27日(金)に大阪府 グランキューブ大阪・リーガロイヤルホテル大阪で開催された、第56回日本人工関節学会で「人工膝関節置換術後の腓骨神経麻痺のリスクスコアの開発と検証」について発表し、優秀演題賞を受賞しました。
今回の発表内容について栗原さんに解説していただきました。
人工膝関節置換術(TKA)は膝の軟骨がすり減って起こる変形性膝関節症などの疾患に対し、痛みの軽減や歩行機能の改善に有用で、世界的に広く普及している手術です。しかし、稀に手術後に足首が上がらなくなる「腓骨(ひこつ)神経麻痺」という合併症が起こることがあります(図1)。これまで、どのような患者さんにこの麻痺が起きやすいのかという報告はありましたが、患者さんごとの背景から発生率を予測できるスコア(指標)は存在しませんでした。
私たちは、約33万人の手術データを解析し、麻痺を引き起こす主な要因(リスク因子)を特定しました。その結果、「膝の外反(X脚)」「膝が伸びにくい状態(拘縮)」「脊椎(背骨)の病気」「痩せ体型(低BMI)」の4つが重要な指標であることが分かりました。
これらの要因を点数化した「リスクスコア」を用いることで、手術前に「この患者さんは麻痺のリスクがどのくらいあるか」の大まかな目安になります(図2)。これにより、リスクが高い患者さんに対して手術前に十分な説明を行い、周術期の管理に役立てることで、より安全で安心な人工関節手術の実現につながることを期待しています。
人工膝関節置換術(TKA)は膝の軟骨がすり減って起こる変形性膝関節症などの疾患に対し、痛みの軽減や歩行機能の改善に有用で、世界的に広く普及している手術です。しかし、稀に手術後に足首が上がらなくなる「腓骨(ひこつ)神経麻痺」という合併症が起こることがあります(図1)。これまで、どのような患者さんにこの麻痺が起きやすいのかという報告はありましたが、患者さんごとの背景から発生率を予測できるスコア(指標)は存在しませんでした。
私たちは、約33万人の手術データを解析し、麻痺を引き起こす主な要因(リスク因子)を特定しました。その結果、「膝の外反(X脚)」「膝が伸びにくい状態(拘縮)」「脊椎(背骨)の病気」「痩せ体型(低BMI)」の4つが重要な指標であることが分かりました。
これらの要因を点数化した「リスクスコア」を用いることで、手術前に「この患者さんは麻痺のリスクがどのくらいあるか」の大まかな目安になります(図2)。これにより、リスクが高い患者さんに対して手術前に十分な説明を行い、周術期の管理に役立てることで、より安全で安心な人工関節手術の実現につながることを期待しています。
図1:人工膝関節置換術後に発生する腓骨神経麻痺(左) 図2:作成したスコアに基づく腓骨神経麻痺の発生率(右)
栗原 信吾さんのコメント
このたび、栄誉ある学会賞をいただき大変光栄に存じます。日頃よりご指導いただいている後藤先生、清水先生、また統計手法を指導いただいた大学院同期の古里さん、臨床的な助言をいただいた群馬中央病院の畑山先生、データをご提供いただいた東京科学大学の伏見先生に深く感謝申し上げます。大規模医療データでなければ解決できない人工関節における未解決の臨床疑問はまだ多く存在します。これらを解明すべく、今後も積極的に研究に取り組んでまいります。
指導教員 後藤 匡啓教授のコメント
栗原さん、受賞おめでとうございます。今回の発表内容は「人工膝関節置換術後に発生する腓骨神経麻痺の発生を予測する」という、整形外科医としての臨床とデータサイエンスの交点だからこそ高く評価されたものと思います。
栗原さんは整形外科医として活躍ののち、当学ヘルスデータサイエンス専攻に入学し臨床研究を体系的に学んできました。これまでにもJournal of Arthroplastyなど整形外科のトップジャーナルに論文を発表しており、非常に精力的に研究に取り組んでいます。今後も臨床の視点を大事にし、整形外科領域のビッグデータ解析のみならず、臨床研究を通じた医療への貢献者としてのさらなる活躍を期待しています。
指導教員 清水 沙友里講師のコメント
栗原さんは、整形外科医として臨床経験を積む一方で、社会人学生としてヘルスデータサイエンス専攻の修士課程に入学し、その後博士課程に進学して臨床と研究の双方に真摯に取り組んできました。日本人工関節学会において優秀演題賞を受賞されたことは、研究テーマの独創性、解析の堅実さ、そして得られた知見の臨床的有用性が高く評価された結果であり、本研究は臨床現場に直接還元されうる極めて意義深い成果であると考えます。
栗原さんは、臨床医としての鋭い問題意識・研究疑問の着想力と、大学院で培ったデータサイエンスの知識・技術とを結びつけ、患者さんの安全性向上に資する研究を実践してきました。今回の受賞は、その地道な努力と優れた研究遂行能力が高く評価されたものと思います。今後も、整形外科医として、また臨床とデータサイエンスの架け橋となる研究者として、ますます発展されることを期待しています。
このたび、栄誉ある学会賞をいただき大変光栄に存じます。日頃よりご指導いただいている後藤先生、清水先生、また統計手法を指導いただいた大学院同期の古里さん、臨床的な助言をいただいた群馬中央病院の畑山先生、データをご提供いただいた東京科学大学の伏見先生に深く感謝申し上げます。大規模医療データでなければ解決できない人工関節における未解決の臨床疑問はまだ多く存在します。これらを解明すべく、今後も積極的に研究に取り組んでまいります。
指導教員 後藤 匡啓教授のコメント
栗原さん、受賞おめでとうございます。今回の発表内容は「人工膝関節置換術後に発生する腓骨神経麻痺の発生を予測する」という、整形外科医としての臨床とデータサイエンスの交点だからこそ高く評価されたものと思います。
栗原さんは整形外科医として活躍ののち、当学ヘルスデータサイエンス専攻に入学し臨床研究を体系的に学んできました。これまでにもJournal of Arthroplastyなど整形外科のトップジャーナルに論文を発表しており、非常に精力的に研究に取り組んでいます。今後も臨床の視点を大事にし、整形外科領域のビッグデータ解析のみならず、臨床研究を通じた医療への貢献者としてのさらなる活躍を期待しています。
指導教員 清水 沙友里講師のコメント
栗原さんは、整形外科医として臨床経験を積む一方で、社会人学生としてヘルスデータサイエンス専攻の修士課程に入学し、その後博士課程に進学して臨床と研究の双方に真摯に取り組んできました。日本人工関節学会において優秀演題賞を受賞されたことは、研究テーマの独創性、解析の堅実さ、そして得られた知見の臨床的有用性が高く評価された結果であり、本研究は臨床現場に直接還元されうる極めて意義深い成果であると考えます。
栗原さんは、臨床医としての鋭い問題意識・研究疑問の着想力と、大学院で培ったデータサイエンスの知識・技術とを結びつけ、患者さんの安全性向上に資する研究を実践してきました。今回の受賞は、その地道な努力と優れた研究遂行能力が高く評価されたものと思います。今後も、整形外科医として、また臨床とデータサイエンスの架け橋となる研究者として、ますます発展されることを期待しています。
