木原生物学研究所の殿崎 薫助教が、2025年度日本農学進歩賞を受賞!
2025.12.08
- TOPICS
- 研究
- 理学部
エピジェネティクス制御の研究から “種の壁” を越える新育種戦略につながる原理を発見
横浜市立大学木原生物学研究所の殿崎薫助教が、公益財団法人農学会の「日本農学進歩賞」を受賞しました。日本農学進歩賞は、人類と多様な生態系が永続的に共生するための基盤である農林水産業およびその関連産業の発展に資することを目的に、農学の進歩に顕著な貢献をした若手研究者を顕彰するものです。今回の研究業績課題名は「ゲノムインプリンティング制御によるイネ胚乳の生殖的隔離打破」であり、イネの胚乳におけるゲノムインプリンティング制御に関する研究を通じて、生殖的隔離を打破する新たな知見を提示し、農学分野の発展に大きく寄与するものです。
授賞式は2025年11月28日(金)東京大学農学部弥生講堂にて行われました。
授賞式は2025年11月28日(金)東京大学農学部弥生講堂にて行われました。
受賞者
木原生物学研究所
(植物エピゲノム科学部門)
殿崎 薫助教
受賞内容
農学会
2025年度(第24回)日本農学進歩賞
研究業績課題名
ゲノムインプリンティング制御によるイネ胚乳の生殖的隔離打破
木原生物学研究所
(植物エピゲノム科学部門)
殿崎 薫助教
受賞内容
農学会
2025年度(第24回)日本農学進歩賞
研究業績課題名
ゲノムインプリンティング制御によるイネ胚乳の生殖的隔離打破
今回の研究内容について殿崎先生に解説していただきました。
私たちが普段食べているお米(栽培イネ)は、病気や環境ストレスに強い野生のイネの力を取り入れることで、より丈夫で安定した品種へと改良することができます。しかし、栽培イネと野生イネを交雑すると、種子が途中で育たなくなる「生殖的隔離*1」が生じ、これが育種の大きな壁となってきました。その中心的な原因は、種子の中で発達する「胚乳」が正常に形成されないことです。
私はこの問題の根本に、「ゲノムインプリンティング*2」と呼ばれる、母親と父親の遺伝子が特別な役割分担をする仕組みがあることに注目し、この仕組みが正しく働かないことで胚乳の発達が乱れ、種子が形成できなくなることを明らかにしました。さらに、インプリンティングを調節する重要な因子の働きを意図的に変えることで、これまで育たなかった雑種種子の胚乳が正常に発達し、生殖的隔離を打破できることを実証しました。これは、両親の遺伝子のバランスをエピジェネティック*3に整えることで、種の壁を越える可能性を示すものです。
本研究は、植物が本来持つ生殖の仕組みを深く理解すると同時に、野生イネの多様な特性を活かした新しい育種戦略への道を開く成果と考えています。
私たちが普段食べているお米(栽培イネ)は、病気や環境ストレスに強い野生のイネの力を取り入れることで、より丈夫で安定した品種へと改良することができます。しかし、栽培イネと野生イネを交雑すると、種子が途中で育たなくなる「生殖的隔離*1」が生じ、これが育種の大きな壁となってきました。その中心的な原因は、種子の中で発達する「胚乳」が正常に形成されないことです。
私はこの問題の根本に、「ゲノムインプリンティング*2」と呼ばれる、母親と父親の遺伝子が特別な役割分担をする仕組みがあることに注目し、この仕組みが正しく働かないことで胚乳の発達が乱れ、種子が形成できなくなることを明らかにしました。さらに、インプリンティングを調節する重要な因子の働きを意図的に変えることで、これまで育たなかった雑種種子の胚乳が正常に発達し、生殖的隔離を打破できることを実証しました。これは、両親の遺伝子のバランスをエピジェネティック*3に整えることで、種の壁を越える可能性を示すものです。
本研究は、植物が本来持つ生殖の仕組みを深く理解すると同時に、野生イネの多様な特性を活かした新しい育種戦略への道を開く成果と考えています。
殿崎先生のコメント
このたびは、日本農学進歩賞という大変名誉ある賞をいただき、誠に光栄です。ご推薦いただいた皆様、共同研究者の皆様、そして日々研究を支えてくれているスタッフ・学生諸君に心より感謝申し上げます。これを励みに、今後も研究に精進してまいります。
このたびは、日本農学進歩賞という大変名誉ある賞をいただき、誠に光栄です。ご推薦いただいた皆様、共同研究者の皆様、そして日々研究を支えてくれているスタッフ・学生諸君に心より感謝申し上げます。これを励みに、今後も研究に精進してまいります。





