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大規模マラソン大会の安全管理モデルを構築 (横浜マラソン10年のデータ分析に基づく医療支援体制の有効性の検証)

2025.11.26
  • TOPICS
  • 医療
  • 研究

大規模マラソン大会の安全管理モデルを構築

(横浜マラソン10年のデータ分析に基づく医療支援体制の有効性の検証)

 横浜市立大学 救急医学教室の小川史洋 講師らの研究グループは、2015年のフルマラソン導入以降、2024年までの横浜市民マラソンにおける医療活動のデータを後方視的に詳細に分析しました。
本研究は、約13万5千人のフルマラソン参加者に対する医療提供体制(救護所配置、AEDチームの展開など)の継続的な改善が、ランナーの健康被害にどのように影響したかを検証することを目的としました。
分析の結果、医療体制を年々見直し、特に暑熱対策やトリアージ体制を強化した結果、ランナー1,000人あたりの救護所受診者数(PPR)は安定し、病院搬送率(TTHR)は、天候による一時的な上昇を除き、改善傾向にあることが示されました。
特筆すべきは、研究期間中に発生した3件の心停止(Cardiac Arrest: CA)症例全てにおいて、現場での迅速なCPRとAED使用により、すべてのランナーが後遺症なく社会復帰したことです。この成果は、緻密な計画と多職種連携に基づく迅速なモバイルAEDシステムの有効性を世界に示しました。

本研究は、大規模イベントにおける医療支援の安全管理において、データに基づいた継続的な評価と改善が、参加者の安全確保に不可欠であることを示す貴重なモデルとなります。

本研究は、学術誌『Cureus』に掲載されました(2025年7月7日)
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