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国際教養学部 川瀬和也准教授がヘーゲル哲学に関する著書を出版

2025.01.16
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ヘーゲル(再)入門

国際教養学部 川瀬 和也准教授が、難解とされるヘーゲル哲学に挑む入門書として、著書『ヘーゲル(再)入門』を出版しました。本書は「流動性」という視点から、これまで固定化されたヘーゲル像を刷新し、日本では十分に紹介されていない英語圏の研究成果も取り入れています。ヘーゲル哲学に「難しい」という先入観を持つ読者にも、主著『精神現象学』や『大論理学』のエッセンスを、親しみやすく理解できる内容になっており、ヘーゲルの現代的意義を探る新たな1冊です。

川瀬 和也准教授より出版に際してコメントをいただきました。
このたび、新著『ヘーゲル(再)入門』を公刊しました。ドイツの哲学者ヘーゲル(1770-1831)の哲学は、難解さで知られています。本書の「(再)入門」というタイトルには、初めてヘーゲル哲学に触れる方はもちろん、ヘーゲル哲学に「苦手意識」を持つ方にも、その苦手意識を取り除き、再びヘーゲル哲学に挑戦するきっかけにしてほしいとい願いを込めています。
ヘーゲルといえば「弁証法」が非常に有名ですが、これは、しばしば二つの対立する見解を折衷してよりよいアイディアに至る「正反合」という図式で説明されます。しかし、実際にはヘーゲルを読んでみると、そのようには書かれていません。そこで、ヘーゲルの弁証法や弁証法的思考法とは一体何なのかということが、改めて問題になります。本書では、この問題に「流動性」や「媒介」という概念を手がかりに迫っていきます。
また、本書では、ヘーゲルの二つの主著『精神現象学』と『大論理学』を実際に精読しながらヘーゲルの思考法に迫る、というスタイルを取っています。これは、単にヘーゲルの主張を紹介するだけでなく、ヘーゲルの原典を読む楽しさを読者にも味わってほしいと考えたためです。難しい本と真摯に向き合い、一文一文を検討しながら読むという、日常生活では得難い貴重な体験を、本書を通じて提供できると自負しています。
最後に、私自身の研究・教育との関係についても触れておきましょう。私はヘーゲル哲学の専門的な研究と、現代の英語圏で展開されている分析哲学という分野の研究を並行して行っております。横浜市立大学では、現代哲学ゼミで分析哲学を中心に教えています。本書ではヘーゲル哲学を中心に扱っていますが、そこでの記述には、複数の分野にまたがって研究を続けるなかで模索してきた「ヘーゲルを読み慣れない方にも届く表現」が生かされています。皆さまにもぜひ本書を手に取っていただき、専門性を大切にしつつ、それを超えて学び続けることの重要性を感じていただければと思います。
著者  川瀬 和也
発行所 集英社新書
発行日 2024/12/17
 
<目次>
第一章 『精神現象学』と流動化
第二章 揺れ動く認識
第三章 行為の不確実性
第四章 運動する論理
第五章 本質・根拠・必然性
第六章 概念と弁証法
第七章 ヘーゲル的流動性と現代哲学 
<著者略歴>
川瀬 和也(かわせ かずや)
1986年:宮崎県に生まれる。
         :東京大学大学院人文社会系研究科
     博士課程単位取得満期退学。博士(文学)を取得。
         :宮崎公立大学人文学部:准教授を務める。
2024年:横浜市立大学国際教養学部准教授に就任。
その他:日本ヘーゲル学会理事。
専門分野:ヘーゲル哲学(特に論理学)。英語圏のヘーゲル研究の成果を取り入れ、現代的意義の解明を目指す。
著書:
• 『全体論と一元論』
• 『ヘーゲル哲学に学ぶ考え抜く力』
問い合わせ先
横浜市立大学 広報担当
mail:koho@yokohama-cu.ac.jp
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