地理学の世界を歩くー公開エクステンション講座「地理学入門」
2024.12.11
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地理学の世界を歩くー公開エクステンション講座「地理学入門」

地図が語る都市と伝説—風景に隠れた歴史を紐解く旅へ
横浜市立大学では、学問の魅力をより多くの人に知ってもらうことを目的として、大学の講義を一般の方にも広く公開する授業開放講座を実施しています。今回は、その授業解放講座の中から、国際教養学部の有馬貴之准教授が担当する「地理学入門」の様子を紹介します。
この講座では、風景や地図に秘められた歴史や文化を紐解き、地理学の新たな魅力に迫ります。学生たちが普段学ぶ「地理学入門」の講義は全15コマありますが、そのうちの3回(10月8日、22日、11月12日)が授業開放講座として一般に公開されました。初回の講義は地図に隠された意外な歴史や地名の由来を学び、地理学の奥深さを感じるものでした。
この講座では、風景や地図に秘められた歴史や文化を紐解き、地理学の新たな魅力に迫ります。学生たちが普段学ぶ「地理学入門」の講義は全15コマありますが、そのうちの3回(10月8日、22日、11月12日)が授業開放講座として一般に公開されました。初回の講義は地図に隠された意外な歴史や地名の由来を学び、地理学の奥深さを感じるものでした。
地理学が開く新たな魅力
講義では、特定の都市や観光地にフォーカスして写真や動画を使い、そこが地理的、歴史的にどのような背景を持っているのかを探りながら進行されていきました。例えば、授業の冒頭では、都市壁で囲まれてきたパリの都市がどのように変化、形成されていったのかについて、パリの地図一枚を手元に、スライドに映るパリの風景と共に学んでいくことで、地理学的な視点の魅力を感じることができました。

伝説と地名で知るヨーロッパの歴史
次に、授業はヨーロッパの北アイルランド北部に溶岩の石柱群が広がる土地の話に進みました。ジャイアンツコーズウェイと呼ばれるその景観からはケルト人の巨人伝説が生み出されたそうです。有馬准教授は、授業の中で「地域の伝説を通じて自然や文化、歴史を知ることも地理学の楽しさの一つである」と話され、ケルト人の歴史と地名の話をしていきました。そこではハンブルグ、エディンバラといった、今もヨーロッパの地域に残る「ブルグ」や「バラ」がついた地名を追うと、ケルト人進出の空間的広がりを理解できることを、これまた現代の地図を基に説明していきました。

ミュンヘンから見る都市と文化の関係
授業の最後は、ドイツのミュンヘンを題材にした内容で締めくくりです。話はミュンヘンがアルプス山脈に近いという地理的条件が紹介され、塩の貿易によって街が栄えたことなどが述べられました。
そして、横浜でも行われているオクトーバーフェストなどの文化も、ミュンヘンが発祥でその歴史的背景などを理解してから、地図を片手に実際に行ってみると、歴史と現代の物事の密接な関わりがより実感できるのだと説明されました。受講生は、最後に地図を眺めながら、ミュンヘン旅行を疑似体験する動画を見て、有馬准教授が語る授業内容を思い出すように、世界旅行を体験している気分を味わい、地理学の楽しさと奥深さを感じていたのではないでしょうか。
そして、横浜でも行われているオクトーバーフェストなどの文化も、ミュンヘンが発祥でその歴史的背景などを理解してから、地図を片手に実際に行ってみると、歴史と現代の物事の密接な関わりがより実感できるのだと説明されました。受講生は、最後に地図を眺めながら、ミュンヘン旅行を疑似体験する動画を見て、有馬准教授が語る授業内容を思い出すように、世界旅行を体験している気分を味わい、地理学の楽しさと奥深さを感じていたのではないでしょうか。
有馬准教授のコメント 地理学の分野をさらに細かく分けると、地誌学や系統地理学、地図学、地理学史などに分かれます。今回の授業では、一つの地域を取り上げて、その地域の特徴を自然環境や人文環境、そしてその「つながり」を理解していく地誌学の視点を学生の皆さんに味わってもらいという趣旨で授業を構成しました.この授業は入門科目ですので、細かな専門的話はせずに、地理学の考え方や楽しさを伝えることに主眼を置いています。地理学は、地域における複雑な諸要素を複合的に学び、地域の理解を進めることができる学問です。また、皆さんの旅の仕方や感じ方をバージョンアップさせてくれるものでもあります。学生始め、受講者の皆さんの物事の考え方に少しでも豊かさを与えられたのであれば本望です。 |
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日常を豊かにする学びへ
普段何気なく目にしている風景や地図を眺めながらでも世界を旅することができるし、歴史を知っているとさらに見え方が違ってくることを「地理学入門」で学ぶことができました。
地理学という学問を通じて新しい視点を得ることで、日常や旅先での風景の見方が変わり、地域に対する理解が深まります。「地理学入門」は、その入り口として多くの参加者にとって有意義な体験ができるのではないでしょうか。
地理学という学問を通じて新しい視点を得ることで、日常や旅先での風景の見方が変わり、地域に対する理解が深まります。「地理学入門」は、その入り口として多くの参加者にとって有意義な体験ができるのではないでしょうか。
有馬貴之准教授
東京都立大学理学部地理学科卒業。首都大学東京大学院都市環境科学研究科博士前期課程、博士後期課程修了。博士(理学)。首都大学東京都市環境学部自然・文化ツーリズムコース助教、帝京大学経済学部観光経営学科講師・准教授を経て、2019年4月から現職。専門は観光地理学、観光政策論、観光経営学、空間行動分析、GIS
東京都立大学理学部地理学科卒業。首都大学東京大学院都市環境科学研究科博士前期課程、博士後期課程修了。博士(理学)。首都大学東京都市環境学部自然・文化ツーリズムコース助教、帝京大学経済学部観光経営学科講師・准教授を経て、2019年4月から現職。専門は観光地理学、観光政策論、観光経営学、空間行動分析、GIS