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令和5年度慢性腎臓病(CKD)重症化予防のための診療体制構築及び多職種連携モデル事業に採択

2023.05.08
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  • 医療
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地域貢献にも力点を置く実務型研究の成果として本事業に申請!

横浜市立大学附属病院では、この度、厚生労働省が公募する「令和5年度慢性腎臓病(CKD)重症化予防のための診療体制構築及び多職種連携モデル事業実施法人」*1に「エビデンスに基づく腎疾患対策(EBPM)推進の恩恵をすべての市民、地域に行きわたらせ魅力あふれる都市をつくる」をテーマに申請し、採択されました。
本学は、特定機能病院である横浜市立大学附属病院と、高度救命救急センターを持つ横浜市立大学附属市民総合医療センターの2つの病院を運営しています。地域医療における中核を担う存在として市民の健康のため、地域医療の向上への貢献に向けて、日々取り組んでいます。今回の採択では、横浜市立大学第4期中期計画に記載されているように、横浜市をはじめとする自治体や産業界等との連携を深め、教育・研究・医療を通じて、研究成果の社会実装や知的・医療資源の還元を推進する地域貢献の一貫として、横浜市における腎疾患・慢性腎臓病(CKD)*2対策の推進を目指します。

【図1】厚生労働省健康局 第1回腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会資料
(2022年10月28日: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28756.html)を元に加工

本事業に参画している医学研究科 循環器・腎臓・高血圧内科学 田村功一主任教授はYCU病院経営プログラム*3・国際マネジメント研究科社会人特別選抜ソーシャル・イノベーションMBA(SIMBA)*4の修了生です。YCU病院経営プログラムを1年間、そして続けて入学した国際マネジメント研究科SIMBAでの2年間において、「行政と連携した慢性腎臓病対策・診療連携体制構築についての費用効果的視点を踏まえての提案」をテーマとして、計3年間にわたり腎疾患対策にかかわる実務型研究を行ってきました。
本事業はこれらの研究成果としての国際マネジメント研究科SIMBA修士論文の内容をもとに申請されており、腎疾患・慢性腎臓病(CKD)という社会課題に対して医療分野データに基づく経営管理手法のスキルを活かして取り組んだ実務型研究の成果ともいえます。同じく本事業に参加する横浜市立大学附属病院の戸谷義幸血液浄化センター長は、神奈川県診療報酬支払基金 審査委員長を務めており、本事業において社会保険診療報酬支払基金データベース(被用者保険のレセプトデータ)と横浜市医療局が有する医療ビッグデータベース(国民健康保険・後期高齢者医療制度・医療扶助のレセプトデータ:YoMDB*5)を活用した分析も期待されます。

本事業に参画している田村功一教授に話を伺いました。

横浜市立大学大学院医学研究科
循環器・腎臓・高血圧内科学 主任教授
(横浜市立大学附属病院 副病院長/腎臓・高血圧内科 診療科部長)

日本腎臓学会(JSN:https://jsn.or.jp/)の理事、日本腎臓病協会(JKA:https://j-ka.or.jp/)の理事、神奈川県慢性腎臓病(CKD) 診療連携構築協議会の会長、厚生労働行政推進調査事業費補助金:腎疾患政策研究事業(https://ckd-research.jp/)の研究分担者を務めるなど、高血圧などの生活習慣病から腎疾患・慢性腎臓病(CKD)の保存期から透析・移植期に至るシームレスな腎臓病研究と診療に携わる。

Q:本学のYCU病院経営プログラムと続けて入学した国際マネジメント研究科SIMBAプログラムによる研究成果(修士論文)をもとに本事業に申請されているとの事ですが、国際マネジメント研究科SIMBAでの学修・研究がどのように役に立ちましたか?

研究テーマとしては、1990年に入学した本学大学院医学研究科で開始し、基礎研究・トランスレーショナル研究・臨床研究を鋭意推進しています。加えて、最近では「大学病院経営と地域医療貢献に資する医療政策経済学と包括医療制度の理解と活用」にも興味を持ちました。
そこで、まずは本学のYCU病院経営プログラムで病院長の後藤隆久教授にご指導いただきまして1年間勉強をさせていただきました。同時に我が国の保険診療制度の根幹である「急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度(DPC)」の理解を深め実臨床に活かすために診療情報管理士(HIM)の資格を取得しました。続けて入学した国際マネジメント研究科SIMBAでの2年間では、「行政とも連携してのデータ駆動型の腎疾患対策を横浜で展開したい」との思いで、国際マネジメント研究科の白石小百合教授・研究科長、原 広司准教授、データサイエンス研究科の黒木淳教授をはじめ多くの先生方にご指導いただきました。
このように楽しく充実した3年間の学修の成果が本事業の採択につながりました。ご指導いただきました先生方にあらためてお礼申し上げます。
今後は本学でのデータサイエンスと行政(横浜市医療局)との連携を軸にした医経連携体制をもとにして横浜市における腎疾患・慢性腎臓病(CKD)対策推進と臨床研究における新たな局面へと進められたらと思います。
みなさま、是非、YCU病院経営プログラム、そして国際マネジメント研究科SIMBAをご体験ください。

Q:今回の採択についてコメントをお願いします。

本事業では、医療レセプトデータ等を活用し、「エビデンスに基づく腎疾患対策(EBPM)推進の恩恵をすべての市民、地域に行きわたらせ魅力あふれる都市をつくる」をテーマとして掲げ、横浜市立大学・附属病院・国際マネジメント研究科・データサイエンス研究科および横浜市医療局との連携によるヘルスデータ駆動型CKD対策の推進体制(横浜CKDモデル:ヘルスデータ駆動型のCKD診療連携モデル)を構築することを計画しています。(図1)
本事業の実施におきましては、関係の皆様のご指導・ご協力が不可欠ですので、今後ともご指導いただければと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
横浜市立大学は、「研究の横浜市立大学」として、実践的研究の成果の実装化を今後も強力に加速していきます。

用語説明

*1 令和5年度慢性腎臓病(CKD)重症化予防のための診療体制構築及び多職種連携モデル事業実施法人:
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30954.html

*2 腎疾患・慢性腎臓病(CKD):
慢性腎臓病(CKD)は、腎機能低下が続く様々な腎臓病の総称である。現在日本では、20歳以上の約8人に1人が患者とされ、推定患者数は約1300万人で新たな国民病ともいわれる。

*3  YCU病院経営プログラム:
平成29年度から文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム」に採択された都市型地域医療を先導する病院変革人材育成:YCU病院経営プログラム。
横浜市立大学大学院医学研究科、国際マネジメント研究科、データサイエンス研究科、附属病院、附属市民総合医療センターで展開され、医師、看護師、その他コメディカル、事務管理職、医療行政職という幅広い職種を対象に、多職種連携を活用した医療政策課題解決などについての実務型研究指導を行っている。
https://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~hp_mgt/

*4  国際マネジメント研究科社会人特別選抜ソーシャル・イノベーションMBA(SIMBA):
令和3年度から開始され、一般的なビジネス課題とともに、ヘルスケア領域、その他の公共サービス領域などの社会的な諸課題に対してデータ分析に基づく解決をめざす人材育成を育成することを目的として、地域社会で活躍する修士(経営学)を輩出している。
https://www.yokohama-cu.ac.jp/int_manage/news/2023/t6scjg00000009b8-att/20230428_SIMBA.pdf

*5  YoMDB(Yokohama Original Medical Data Base):
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kenko-iryo/iryo/seisaku/bigdata.html

問合せ先

<本事業内容に関するお問い合わせ>
横浜市立大学附属病院 腎臓・高血圧内科 田村功一
Tel: 045-787-2800(附属代表電話)

<本事業における協議体等の事務局>
横浜市立大学附属病院 医学・病院統括部 医学・病院企画課
Tel: 045-787-2800(附属代表電話)

<その他のお問い合わせ>
横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp
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