木原生物学研究所の辻寛之准教授ら、イネの受精卵と初期胚発生における活性酸素のイメージングと機能を解析!論文がPlant Journal誌に掲載。
2021.10.05
- TOPICS
- 大学
- 研究
木原生物学研究所の辻寛之准教授らは、イネの受精卵と初期胚発生における活性酸素のイメージングと機能解析を行い、論文がPlant Journal誌に掲載されました。
木原生物学研究所の辻寛之准教授らは、東京都立大学の岡本 龍史教授らの研究グループとの共同研究で、イネの受精卵と初期胚発生における活性酸素のイメージングと機能解析を行い、研究の成果がPlant Journal誌に掲載されました。
論文情報
Kasidit Rattanawong,Narumi Koiso,Erika Toda,Atsuko Kinoshita,Mari Tanaka,Hiroyuki Tsuji,Takashi Okamoto (2021) Regulatory functions of ROS dynamics via glutathione metabolism and glutathione peroxidase activity in developing rice zygote. Plant Journal published online https://doi.org/10.1111/tpj.15497
研究内容
活性酸素種(ROS)は、植物の成長や環境ストレス応答に重要な役割を果たしています。ROSの量と機能はグルタチオンの酸化還元サイクル等で制御されます。しかしイネの受精とそれに続く初期胚発生において、ROSの量やグルタチオンの酸化還元サイクルがどのように変動するのか、またその変動は初期胚発生に重要なのかは分かっていませんでした。これを明らかにするために、研究グループはグルタチオンの酸化レベルをモニターできるイネを開発し、試験管内でイネを人工授精させる実験系を用いた観察を行いました。同時に、グルタチオンの酸化還元サイクルを阻害する薬剤を処理した際の影響を検討しました。実験の結果、初期胚発生ではグルタチオンの酸化を伴って活性酸素量が低下し、薬剤処理でこの変動を撹乱すると発生の進行が大きく遅延することがわかりました。これらの結果から、受精後の初期胚発生は活性酸素量を適切に制御することで進行することが解明されました。