2026.08.06
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言語・文化・アイデンティティをめぐるフィールドワーク報告
横浜市立大学では、共通教養科目*1の特色ある取り組みとして、初習外国語*2で学んだ言語を現地で実際に使いながら学びを深める「海外フィールドワーク(FW)」を実施しています。学生は渡航前の事前調査や学習会で準備を整え、現地では教育・研究機関の訪問、市街地での調査実習を行い、帰国後の報告会までを一連の学習プロセスとして経験します。教室での学びを実社会の文脈に接続し、言語運用能力と異文化理解を総合的に高めることを目的としたプログラムです。
今回ご紹介するのは、国際教養学部の藤井得弘准教授と坪谷美欧子教授が担当する「中国語教養基礎Ⅰb・中国語教養実践B」および専門教養科目「演習Ⅰ」の一環として、2026年3月3日から7日にかけて台湾・台北市で実施されたフィールドワークです。「台湾における言語・文化・アイデンティティ—近代以降の歴史から」をテーマに、国際教養学部・国際商学部の1~4年生11名が参加しました。中国語学習歴は1年未満の初級者から中級者まで幅広く、異なるレベルの学生が協働しながら学びを深める構成となっています。
渡航に先立ち、対面とオンラインを組み合わせた事前学習を4回にわたり実施し、現地での注意事項の確認に加え、班分けや調査テーマの設定、中国語によるスピーチ練習、事前調査の進捗共有など、学生たちは入念な準備を重ねて台湾での学びに臨みました。
今回ご紹介するのは、国際教養学部の藤井得弘准教授と坪谷美欧子教授が担当する「中国語教養基礎Ⅰb・中国語教養実践B」および専門教養科目「演習Ⅰ」の一環として、2026年3月3日から7日にかけて台湾・台北市で実施されたフィールドワークです。「台湾における言語・文化・アイデンティティ—近代以降の歴史から」をテーマに、国際教養学部・国際商学部の1~4年生11名が参加しました。中国語学習歴は1年未満の初級者から中級者まで幅広く、異なるレベルの学生が協働しながら学びを深める構成となっています。
渡航に先立ち、対面とオンラインを組み合わせた事前学習を4回にわたり実施し、現地での注意事項の確認に加え、班分けや調査テーマの設定、中国語によるスピーチ練習、事前調査の進捗共有など、学生たちは入念な準備を重ねて台湾での学びに臨みました。
スケジュール
3月3日 羽田—台北、台湾国立政治大学での交流会・プレゼン
3月4日 国家人権博物館、中正紀念堂、国立歴史博物館、寧夏夜市
3月5日 淡水歴史古遺跡、西門紅楼
3月6日 台北市内にてグループ調査活動
3月7日 台北賓館、二二八和平公園、総統府、台湾省城隍廟、台北—羽田
3月4日 国家人権博物館、中正紀念堂、国立歴史博物館、寧夏夜市
3月5日 淡水歴史古遺跡、西門紅楼
3月6日 台北市内にてグループ調査活動
3月7日 台北賓館、二二八和平公園、総統府、台湾省城隍廟、台北—羽田
国立政治大学での交流会の様子
語学研修(現地で中国語を使う体験)
台湾での滞在期間は決して長くはありませんでしたが、学生たちはこれまで授業で学んできた中国語を積極的に使い、街中や交流会、調査活動の場面で「生きた言語」として体験しました。
飲食店での注文、公共交通機関での案内確認、インタビューでの質問など、教室では味わえない実践的な場面が次々と訪れ、学生たちは緊張しながらも果敢に中国語でコミュニケーションを試みました。
現地での言語使用は、単なる語学研修にとどまらず、台湾の文化や人々の価値観に触れる入口として機能し、学生たちの学びを大きく広げるものとなりました。
飲食店での注文、公共交通機関での案内確認、インタビューでの質問など、教室では味わえない実践的な場面が次々と訪れ、学生たちは緊張しながらも果敢に中国語でコミュニケーションを試みました。
現地での言語使用は、単なる語学研修にとどまらず、台湾の文化や人々の価値観に触れる入口として機能し、学生たちの学びを大きく広げるものとなりました。
国立政治大学正門
大学間交流(国立政治大学との交流会・プレゼンテーション)
本学の提携校である国立政治大学では、日本語クラスの学生たちが温かく迎えてくれました。交流会では、互いの大学生活や授業の様子、趣味、将来の進路など、学生同士が関心のあるテーマを中心に自由に語り合いました。
お互いの大学生活が共有されるなど、自然な形で文化交流が生まれました。
交流の後半では、本学の学生が中国語で短いプレゼンテーションを実施しました。事前に練習を重ねてきた成果が発揮され、緊張しながらも堂々と発表する姿が見られました。
お互いの大学生活が共有されるなど、自然な形で文化交流が生まれました。
交流の後半では、本学の学生が中国語で短いプレゼンテーションを実施しました。事前に練習を重ねてきた成果が発揮され、緊張しながらも堂々と発表する姿が見られました。
台北賓館でガイドさんの説明に耳を傾ける参加者一同
グループ調査活動(台北の街で学ぶフィールドワーク)
「台湾の伝統文化」「日本統治下の台湾」「現代台湾の文化」という3つのテーマに分かれ、事前に立てた調査計画をもとに台北市内でフィールドワークを行いました。
各班は現地の人々へのインタビューや資料収集を通して、台湾社会の多層的な側面を自らの目で確かめました。
帰国後のオンライン報告会では、現地で得た知見をもとに個人発表を行い、他班の調査内容を共有しながら議論を深めました。
各班は現地の人々へのインタビューや資料収集を通して、台湾社会の多層的な側面を自らの目で確かめました。
帰国後のオンライン報告会では、現地で得た知見をもとに個人発表を行い、他班の調査内容を共有しながら議論を深めました。
FWを終えての学生の感想
国際教養学部2年(参加当時) 秋元 碧海さん
今回の台湾FWは私にとって初の海外渡航でした。そのため、今まで漠然と感じていた「異文化」というものがどういうものなのかを理解する良い体験になったと感じています。
台湾の街を歩いてみると食事、言葉、習慣、街並み、コミュニケーション方法など全てにおいて日本とは異なる文化の場所ということを実感しました。「異文化理解」や「多文化共生」などと言葉で言うだけでなら簡単ですが、実際に触れないと感じえないものを見落とす可能性があり、その文化の人々との関わりの中で実体験として理解し、方法を模索することが必要であると今回のFWで感じました。
今回の台湾FWは私にとって初の海外渡航でした。そのため、今まで漠然と感じていた「異文化」というものがどういうものなのかを理解する良い体験になったと感じています。
台湾の街を歩いてみると食事、言葉、習慣、街並み、コミュニケーション方法など全てにおいて日本とは異なる文化の場所ということを実感しました。「異文化理解」や「多文化共生」などと言葉で言うだけでなら簡単ですが、実際に触れないと感じえないものを見落とす可能性があり、その文化の人々との関わりの中で実体験として理解し、方法を模索することが必要であると今回のFWで感じました。
国際教養学部1年(参加当時) 小松代 葵さん
国立政治大学との交流会では、現地の学生がとても親切に接してくれ、おすすめのお土産を教えてもらったり、私たちも日本のおすすめの場所を紹介したりと、有意義な時間を過ごすことができました。
一方で、思っていたよりも中国語を聞き取ることができず、ジェスチャーを用いたり、英語で説明してもらったりしながら交流を行いました。日本語・英語・中国語の三言語を交えたコミュニケーションを通して、自分の語学力の課題を実感するとともに、今後は中国語の学習にさらに力を入れたいと感じました。また、英語の重要性についても改めて認識しました。
国立政治大学との交流会では、現地の学生がとても親切に接してくれ、おすすめのお土産を教えてもらったり、私たちも日本のおすすめの場所を紹介したりと、有意義な時間を過ごすことができました。
一方で、思っていたよりも中国語を聞き取ることができず、ジェスチャーを用いたり、英語で説明してもらったりしながら交流を行いました。日本語・英語・中国語の三言語を交えたコミュニケーションを通して、自分の語学力の課題を実感するとともに、今後は中国語の学習にさらに力を入れたいと感じました。また、英語の重要性についても改めて認識しました。
藤井 得弘准教授からのコメント
日本の統治、そして国民党の支配は、台湾に住まう人びとのアイデンティティを大きく揺るがしました。それは戦後の台湾における、エスニックグループ間の関係や、「親日」と安易には括りがたい対日感情とも深く関わっています。今回のFWは、戦後80周年を迎えるこの年に日本と東アジアについて見つめ直す貴重な機会になりました。学生の感想や報告書からは、とりわけ国立政治大学の学生との交流から刺激を受けたことがうかがわれました。事前に中国語での発表準備やフレーズ練習を重ねた成果もあり、現地でのプレゼンテーションではこちらの予想を上回る力をそれぞれが発揮していたほか、学生どうしは帰国後もSNSを通じて意見交換するなど、継続的な交流に発展しているようです。今後は、本学が提供するYCU海外研修プログラムや第2クオーターの語学研修、交換留学プログラム、サマープログラムなどへの参加のほか、中国語検定試験やHSK(漢語水平考試)などの語学検定試験への挑戦なども視野に入れながら、中国語学習を継続してくれることを期待しています。
【略歴】
所属先の国際教養学部では「中国文化論ゼミ」を運営。担当授業に「中国文化論」「東洋文化」「中国語教養基礎Ⅰ」「中国語教養実践」など。専攻は中国文学。研究テーマは、探偵小説を中心とした、中国近代における西洋文化の受容、中華人民共和国成立以降の物語に見える知識青年や兵士の形象など。大学の公的なプログラムによるFWの実施のほか、2025年8月には西海洋志准教授のゼミとの合同開催で上海・南京でのゼミ合宿も開催。
【略歴】
所属先の国際教養学部では「中国文化論ゼミ」を運営。担当授業に「中国文化論」「東洋文化」「中国語教養基礎Ⅰ」「中国語教養実践」など。専攻は中国文学。研究テーマは、探偵小説を中心とした、中国近代における西洋文化の受容、中華人民共和国成立以降の物語に見える知識青年や兵士の形象など。大学の公的なプログラムによるFWの実施のほか、2025年8月には西海洋志准教授のゼミとの合同開催で上海・南京でのゼミ合宿も開催。
用語説明
*1 共通教養科目
本学に入学するすべての学生が履修する科目群で、総合的な人間力を高めるとともに、大学における学びの方法を身につけ、その可能性を理解することを目的としています。
*2 初習外国語
母語に加え、英語およびもう一つの外国語を学ぶことにより、多様な世界を捉える複眼的な思考力を養うことを目的として、本学では中国語、韓国・朝鮮語、ドイツ語、フランス語、スペイン語の5つの言語コースを提供しています。
各言語の授業は、「教養基礎Ⅰ」「教養基礎Ⅱ」「教養実践」「専門外国語」の4段階で構成されています。「教養基礎Ⅰ」「教養基礎Ⅱ」「教養実践」はネイティブスピーカーによる授業を含む週3回の開講で、3単位を修得することができ、「専門外国語」は週1回の開講で、2単位を修得することができます。とくに、国際教養学部教養学系では、初習外国語として5言語のうち1言語を選択し、「教養基礎Ⅰ」および「教養基礎Ⅱ」(計6単位)が必修科目として指定されています。
本学に入学するすべての学生が履修する科目群で、総合的な人間力を高めるとともに、大学における学びの方法を身につけ、その可能性を理解することを目的としています。
*2 初習外国語
母語に加え、英語およびもう一つの外国語を学ぶことにより、多様な世界を捉える複眼的な思考力を養うことを目的として、本学では中国語、韓国・朝鮮語、ドイツ語、フランス語、スペイン語の5つの言語コースを提供しています。
各言語の授業は、「教養基礎Ⅰ」「教養基礎Ⅱ」「教養実践」「専門外国語」の4段階で構成されています。「教養基礎Ⅰ」「教養基礎Ⅱ」「教養実践」はネイティブスピーカーによる授業を含む週3回の開講で、3単位を修得することができ、「専門外国語」は週1回の開講で、2単位を修得することができます。とくに、国際教養学部教養学系では、初習外国語として5言語のうち1言語を選択し、「教養基礎Ⅰ」および「教養基礎Ⅱ」(計6単位)が必修科目として指定されています。

