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横浜市立大学 YOKOHAMA CITY UNIVERSITY

大学院生の藤田陽さんらの論文が、Journal of Medicinal Chemistryに掲載!

2026.07.01
  • TOPICS
  • 学生の活躍

計算科学とCPPグラフト戦略を融合し、細胞内PPI阻害ペプチドの新たな設計基盤を構築

生命医科学研究科博士後期課程3年(創薬有機化学研究室)の藤田 陽さんらの研究グループは、CPPグラフト戦略に基づく細胞内標的PPI阻害ペプチドのin silico設計に成功し、研究成果が「Journal of Medicinal Chemistry」に掲載されました。また本号のSupplementary coverにも採択されました。
論文著者
生命医科学研究科 博士後期課程3年
創薬有機化学研究室所属
藤田 陽ふじた みなみ
さん

指導教員
生命医科学研究科
創薬有機化学研究室 出水 庸介大学院客員教授
藤田さんがデザインしたアイキャッチ画像がカバーアートとして選ばれました
論文タイトル
Structure-Guided Grafting of Cell-Penetrating Motifs into Stapled Peptides for Intracellular PPI Inhibition
(日本語訳:細胞内PPI阻害を可能にする、構造情報に基づいた細胞透過性モチーフのステープルドペプチドへの導入)

掲載雑誌
Journal of Medicinal Chemistry
DOI:10.1021/acs.jmedchem.6c00663
今回の研究内容について藤田さんに解説していただきました。

本研究では、計算科学と「グラフト戦略」を組み合わせることで、細胞内で機能するタンパク質間相互作用 (PPI) 阻害ペプチドの合理的な設計手法を確立しました。
細胞内のタンパク質間相互作用 (PPI) は生命現象において重要な役割を担っており、さまざまな疾患に関与するため、重要な創薬標的です。当研究室ではこれまで、PPI界面を模倣できる中分子ペプチドを利用したPPI阻害剤の開発に取り組んでまいりました。しかし、多くのPPI阻害ペプチドは細胞膜透過性が低く、細胞内へ送達する目的で細胞膜透過性ペプチド (CPP) を連結する手法が広く用いられています。一方で、この方法ではCPP連結後に標的結合能を再評価する必要があるほか、分子量の増大による創薬上の制約が課題となっていました。
そこで本研究では、計算科学的手法を用いて標的タンパク質との結合に重要でないアミノ酸残基を特定し、その部位にCPPの機能を組み込む戦略を考案しました。その結果、標的結合能を維持したまま細胞内移行性を向上させたPPI阻害ペプチドの創製に成功しました。また、X線結晶構造解析により、標的認識に重要な立体構造が保持されていることを明らかにしました。さらに、本手法はモデル系として検証したMDM2/p53相互作用だけでなく、β-カテニン/TCF相互作用にも適用可能であることを示し、幅広い細胞内PPIへの応用可能性を実証しました。
本研究成果は、細胞内PPIを標的とするペプチド医薬品の開発を加速する新たな分子設計基盤として期待されます。
藤田 陽さんのコメント
博士課程進学後から取り組んできた研究テーマを論文としてまとめることができ、さらに表紙にも採択していただけたこと、大変嬉しく思います。
研究を進める中では、思い描いた通りに進まず、苦しく悔しい思いをしたことも多くありました。しかし、それ以上にペプチド研究の楽しさ、やりがいを感じながら研究に打ち込んできました。また、研究を心から楽しむためには、地道な努力と粘り強い継続が欠かせないことも実感しました。日々研究に全力で打ち込むことができるのは、研究に集中できる環境を与え、温かく支えてくださった出水先生のおかげです。
そして今回の成果は、熱心にご指導くださった出水先生をはじめ、有機化学部の皆様、国立医薬品食品衛生研究所の先生方、横浜市立大学の小沼剛先生、そして支えてくださった多くの皆様のお力添えによって得られたものです。心より感謝申し上げます。
今後も現状に満足することなく、新たな挑戦を続けながら、研究者としてさらに成長できるよう精進してまいります。

指導教員 出水 庸介 大学院客員教授のコメント
藤田さん、Journal of Medicinal Chemistryへの論文掲載、そして表紙採択、本当におめでとうございます!
今回の研究は、藤田さんが博士課程に進学してから取り組んできた成果です。特に素晴らしいのは、修士の頃に取り組んでいた研究の中で見えてきた課題を、自分自身でしっかりと捉え、「それをどう乗り越えるか」という視点から今回の新しい研究を提案してくれたことです。単に与えられたテーマを進めるのではなく、自分で問題を見つけ、新しいアイデアに発展させ、最後には国際誌への論文掲載と表紙採択という形にまで結実させたことを、指導教員として大変うれしく、誇らしく思います。
M1(修士課程1年)の頃から現在のD3(博士課程3年)に至るまでを振り返ると、藤田さんは研究者として本当に大きく成長しました。実験を進める力、データを読み解く力、研究全体を俯瞰して考える力、そして成果をわかりやすく伝える力が、年々着実に高まっていく様子を間近で見てきました。学会発表での受賞を重ねてきたことも、日々の努力と真摯な姿勢が評価された結果だと思います。
藤田さんは、研究に対する真面目さと粘り強さに加えて、周囲と議論しながら研究を前に進める力も持っています。社会人になってからも、創薬の現場で重要な役割を担い、大きく活躍してくれるに違いないと確信しています。これまで積み重ねてきた努力と粘り強さ、そして今回の大きな成果を自信にして、これからもさらに飛躍していってください。
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