2026.05.08
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国際マネジメント研究科 博士後期課程3年の本田龍司さんの論文が、組織に関わるシンボリズム、文化、メソドロジー等に関する研究を掲載している「The Journal of Organization and Discourse」に掲載されました。
筆頭著者
国際マネジメント研究科 博士後期課程 3年
(日本学術振興会 特別研究員*1DC1)
本田 龍司さん
指導教員
国際マネジメント研究科
吉永 崇史教授
論文タイトル
Ableism and disablism in the employment of disabled employees with Japan's special subsidiary
(日本語訳:日本の特例子会社制度による障害者雇用におけるエイブリズムとディスエイブリズム)
掲載雑誌
The Journal of Organization and Discourse
DOI:https://doi.org/10.36605/jscos.6.0_32
国際マネジメント研究科 博士後期課程 3年
(日本学術振興会 特別研究員*1DC1)
本田 龍司さん
指導教員
国際マネジメント研究科
吉永 崇史教授
論文タイトル
Ableism and disablism in the employment of disabled employees with Japan's special subsidiary
(日本語訳:日本の特例子会社制度による障害者雇用におけるエイブリズムとディスエイブリズム)
掲載雑誌
The Journal of Organization and Discourse
DOI:https://doi.org/10.36605/jscos.6.0_32
今回の研究内容について本田さんに解説していただきました。
本論文は、日本の特例子会社制度による障害者雇用の取組みについて、エイブリズム*2の観点から考察したものです[1]。特例子会社設立の目的や、特例子会社が担う業務および障害のある従業員が担う職務に関して、特例子会社のマネジャーと、親会社で障害者雇用を担当するマネジャーへのインタビュー調査を実施し、その結果に対して批判的ディスコース分析*3を行いました。
民間企業は、すべての労働者に占める障害のある労働者の割合を2.5%(2026年4月時点)以上とすることが義務付けられており、特例子会社制度は、その法定雇用率達成を促進するために設けられています[2]。親会社が子会社を設立し、特例子会社としての認定を受けた場合、親会社と特例子会社、さらには認定を受けた企業グループ内の関係会社の労働者数を合算して障害者雇用率を算定することが可能です。つまり、親会社や関係会社が、障害者雇用の大部分を特例子会社に委ねることができるようになる点が、特例子会社制度の特徴です。
本論文は、大きく2つのことを示しています[1]。
①特例子会社が、定められた障害者雇用率の達成・維持を担うと同時に、親会社や関係会社の生産性を高めるためのサポート業務を遂行することを通じて、企業グループ全体として、健常者中心の親会社や関係会社を優先し、その“健常さ”を維持・促進していることを示しています。親会社や関係会社の従業員がより専門的な業務に専念できるよう、補助的な業務を特例子会社に切り出すという実践と構造を、エイブリズムという概念を用いて説明しています。
②その一方で、特例子会社の内部では特例子会社のマネジャーが、“従業員は高い生産性を保つべきだ”“毎日出勤すべきだ”といった言説を、“100%の出力は求めない”“時間をかけてできるようになればよい”といった形に穏やかに調整することによって、障害のある従業員の安定した職務遂行や、備わっている能力・スキルの発揮を可能にしていることを示しています。これを「穏やかなエイブリズム(moderated ableism)」という概念で説明しています。
本田 龍司さんのコメント
今回の研究を論文として掲載いただけたことを大変嬉しく思います。インタビュー調査にご協力くださった皆様に、心より感謝申し上げます。また、丁寧な論文の掲載手続きと論文の質を高めるための建設的な査読をしてくださったエディターおよびレフェリーの方々、いつも寄り添いながらご指導くださる吉永崇史先生に、深く御礼申し上げます。この論文は、今後も障害と組織、マネジメントについて取り上げていく私自身の研究活動に対しても、常に批判的かつ内省的な検討を促すものであると考えています。障害者雇用や“健常さ”を前提としない組織マネジメントの実践に貢献できるような研究を行っていくと同時に、それが単に不平等な構造を再生産するものとならないよう、取組んでまいります。
指導教員 吉永 崇史教授のコメント
指導教員として、本田さんの今回の論文掲載をとてもうれしく思っています。本田さんは、経営組織論の観点から、障害のある方が社会で活躍していくためにどうすればよいか、という問題意識の下で研究をされています。今後の研究の発展を通じて、障害の有無にかかわらず、特例子会社で働く方々にとって意義のある知見を見つけ、研究成果の公開によって社会に貢献されることを心から願っています。
本論文は、日本の特例子会社制度による障害者雇用の取組みについて、エイブリズム*2の観点から考察したものです[1]。特例子会社設立の目的や、特例子会社が担う業務および障害のある従業員が担う職務に関して、特例子会社のマネジャーと、親会社で障害者雇用を担当するマネジャーへのインタビュー調査を実施し、その結果に対して批判的ディスコース分析*3を行いました。
民間企業は、すべての労働者に占める障害のある労働者の割合を2.5%(2026年4月時点)以上とすることが義務付けられており、特例子会社制度は、その法定雇用率達成を促進するために設けられています[2]。親会社が子会社を設立し、特例子会社としての認定を受けた場合、親会社と特例子会社、さらには認定を受けた企業グループ内の関係会社の労働者数を合算して障害者雇用率を算定することが可能です。つまり、親会社や関係会社が、障害者雇用の大部分を特例子会社に委ねることができるようになる点が、特例子会社制度の特徴です。
本論文は、大きく2つのことを示しています[1]。
①特例子会社が、定められた障害者雇用率の達成・維持を担うと同時に、親会社や関係会社の生産性を高めるためのサポート業務を遂行することを通じて、企業グループ全体として、健常者中心の親会社や関係会社を優先し、その“健常さ”を維持・促進していることを示しています。親会社や関係会社の従業員がより専門的な業務に専念できるよう、補助的な業務を特例子会社に切り出すという実践と構造を、エイブリズムという概念を用いて説明しています。
②その一方で、特例子会社の内部では特例子会社のマネジャーが、“従業員は高い生産性を保つべきだ”“毎日出勤すべきだ”といった言説を、“100%の出力は求めない”“時間をかけてできるようになればよい”といった形に穏やかに調整することによって、障害のある従業員の安定した職務遂行や、備わっている能力・スキルの発揮を可能にしていることを示しています。これを「穏やかなエイブリズム(moderated ableism)」という概念で説明しています。
本田 龍司さんのコメント
今回の研究を論文として掲載いただけたことを大変嬉しく思います。インタビュー調査にご協力くださった皆様に、心より感謝申し上げます。また、丁寧な論文の掲載手続きと論文の質を高めるための建設的な査読をしてくださったエディターおよびレフェリーの方々、いつも寄り添いながらご指導くださる吉永崇史先生に、深く御礼申し上げます。この論文は、今後も障害と組織、マネジメントについて取り上げていく私自身の研究活動に対しても、常に批判的かつ内省的な検討を促すものであると考えています。障害者雇用や“健常さ”を前提としない組織マネジメントの実践に貢献できるような研究を行っていくと同時に、それが単に不平等な構造を再生産するものとならないよう、取組んでまいります。
指導教員 吉永 崇史教授のコメント
指導教員として、本田さんの今回の論文掲載をとてもうれしく思っています。本田さんは、経営組織論の観点から、障害のある方が社会で活躍していくためにどうすればよいか、という問題意識の下で研究をされています。今後の研究の発展を通じて、障害の有無にかかわらず、特例子会社で働く方々にとって意義のある知見を見つけ、研究成果の公開によって社会に貢献されることを心から願っています。
参考
[1]掲載論文
Honda, R., & Yoshinaga, T. (2026). Ableism and disablism in the employment of disabled employees with Japan's special subsidiary. The Journal of Organization and Discourse, 6, 32–44.
DOI:https://doi.org/10.36605/jscos.6.0_32
[2]参考文献
永野仁美・長谷川珠子・富永晃一・石﨑由希子(2025).『詳説 障害者雇用促進法・障害者総合支援法:多様性社会の就労ルールをひもとく』弘文堂.
用語解説
*1 特別研究員:日本学術振興会によって、優れた若手研究者に対し、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者の養成・確保を図る制度。
*2 エイブリズム:日本語では、健常主義、健常者中心主義、能力主義など。健常で完全な身体や精神を持つことを理想として、人々にそうあることを期待・要求したり、そのような人を優先したりする考え方や実践。職場においては、生産性が高く、ハイパフォーマンスであることを追い求めたり、そうでないとみなされる人を差別したり排除したりする考え方や実践。
*3 批判的ディスコース分析:話し言葉や書き言葉の分析を通じて、言葉遣いの背後にあるイデオロギーや不平等な社会構造を考察する研究アプローチ。
[1]掲載論文
Honda, R., & Yoshinaga, T. (2026). Ableism and disablism in the employment of disabled employees with Japan's special subsidiary. The Journal of Organization and Discourse, 6, 32–44.
DOI:https://doi.org/10.36605/jscos.6.0_32
[2]参考文献
永野仁美・長谷川珠子・富永晃一・石﨑由希子(2025).『詳説 障害者雇用促進法・障害者総合支援法:多様性社会の就労ルールをひもとく』弘文堂.
用語解説
*1 特別研究員:日本学術振興会によって、優れた若手研究者に対し、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与え、研究者の養成・確保を図る制度。
*2 エイブリズム:日本語では、健常主義、健常者中心主義、能力主義など。健常で完全な身体や精神を持つことを理想として、人々にそうあることを期待・要求したり、そのような人を優先したりする考え方や実践。職場においては、生産性が高く、ハイパフォーマンスであることを追い求めたり、そうでないとみなされる人を差別したり排除したりする考え方や実践。
*3 批判的ディスコース分析:話し言葉や書き言葉の分析を通じて、言葉遣いの背後にあるイデオロギーや不平等な社会構造を考察する研究アプローチ。
