2026.04.02
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~横濱屋本舗と挑んだブランド戦略×CSRの実践研究~
国際商学部・柴田典子ゼミの3年生5名によるチーム「ねぎとろ」は、「第9回アグリカルチャーコンペティション2025」実践的研究分野において優秀賞を受賞しました。研究テーマは「地元横浜・水産加工会社のブランド戦略と魚食拡大に向けて」。
本研究では、横浜南部市場(横浜市金沢区)を拠点に生鮮魚介類・水産加工品・惣菜加工品の卸売・加工を行う株式会社横浜食品サービス、および鮮魚加工品の製造販売や食堂運営を手がける関連会社株式会社横濱屋本舗と産学連携を実施。地域の水産業を支える両社の事業特性を踏まえながら、ブランド再設計、売り場・メニューのデザイン統一、さらにCSR活動としての「おさかなシールアート」企画まで、一連の施策を学生主体で実践しました。
また、一般消費者489名を対象としたWeb調査により施策効果を統計的に検証するなど、理論と実践を往復しながら企業課題の解決に挑んだ点が高く評価されました。地域企業と共に歩み、持続可能な魚食文化の未来を描いた取り組みです。
本研究では、横浜南部市場(横浜市金沢区)を拠点に生鮮魚介類・水産加工品・惣菜加工品の卸売・加工を行う株式会社横浜食品サービス、および鮮魚加工品の製造販売や食堂運営を手がける関連会社株式会社横濱屋本舗と産学連携を実施。地域の水産業を支える両社の事業特性を踏まえながら、ブランド再設計、売り場・メニューのデザイン統一、さらにCSR活動としての「おさかなシールアート」企画まで、一連の施策を学生主体で実践しました。
また、一般消費者489名を対象としたWeb調査により施策効果を統計的に検証するなど、理論と実践を往復しながら企業課題の解決に挑んだ点が高く評価されました。地域企業と共に歩み、持続可能な魚食文化の未来を描いた取り組みです。
左から池頭さん、柴田さん、小日向さん、青木さん、井田さん、柴田先生
この活動に取り組んだ学生たちにインタビューをしました。
井田さん
横濱屋本舗との連携を始めた背景と、今年のテーマを選んだ理由を教えてください。
国際商学部3年 井田空羽さん
横濱屋本舗との連携は2020年、コロナ禍で学生の生活が大きく変化した時期に始まりました。食や健康への関心が高まる中、水産庁の補助事業に取り組んでいた同社の「若者の視点を取り入れたい」という思いと、理論と実践を結びつける実践的な活動に取り組みたいという柴田ゼミの思いが結びつき、協働がスタートしました。以降、SDGs、廃棄問題、魚食文化の継承など、毎年テーマを変えながら活動を継続しています。今回の「お魚シールアート」は、こうした継続的な協働の中で生まれた新たな取り組みです。3年前に先輩方が店舗で実施した企画が継続されていなかったことから、「子どもたちが魚に親しむきっかけになる」という具体的なイメージが共有され、企画の方向性が固まりました。加えて、年間58万枚も廃棄されているシールを再活用できる点が、企業のCSR課題と合致。ブランド価値向上と社会貢献を同時に実現できる取り組みとして、シールアートを中心に据えることが自然な流れとなりました。こうして、過去の企画の継承、学生の現場感覚、企業の社会的課題という三つの要素が結びつき、今回のプロジェクトが形づくられました。
国際商学部3年 井田空羽さん
横濱屋本舗との連携は2020年、コロナ禍で学生の生活が大きく変化した時期に始まりました。食や健康への関心が高まる中、水産庁の補助事業に取り組んでいた同社の「若者の視点を取り入れたい」という思いと、理論と実践を結びつける実践的な活動に取り組みたいという柴田ゼミの思いが結びつき、協働がスタートしました。以降、SDGs、廃棄問題、魚食文化の継承など、毎年テーマを変えながら活動を継続しています。今回の「お魚シールアート」は、こうした継続的な協働の中で生まれた新たな取り組みです。3年前に先輩方が店舗で実施した企画が継続されていなかったことから、「子どもたちが魚に親しむきっかけになる」という具体的なイメージが共有され、企画の方向性が固まりました。加えて、年間58万枚も廃棄されているシールを再活用できる点が、企業のCSR課題と合致。ブランド価値向上と社会貢献を同時に実現できる取り組みとして、シールアートを中心に据えることが自然な流れとなりました。こうして、過去の企画の継承、学生の現場感覚、企業の社会的課題という三つの要素が結びつき、今回のプロジェクトが形づくられました。
小日向さん
現状分析を通して見えてきた、横濱屋本舗のブランド課題とは何でしたか?
国際商学部3年 小日向桜さん
最も大きな課題は「ブランドとしての一貫性が不足している」という点でした。店頭の世界観とSNS・ECの印象が統一されておらず、顧客によって企業イメージが異なる状況が見られました。味や価格は高級感がある一方、接客や店内販促物は市場らしい大衆的な雰囲気で、そのギャップがブランド認知を曖昧にしていました。定性調査では「おいしさ」「ちょっとした贅沢」「信頼感」といった価値が抽出され、ブランドの核となる要素が明確化されました。そこで私たちは「日常の中のささやかな贅沢」というブランドコンセプトを設定し、ブランドの世界観や目指す姿、色・フォント・ロゴサイズなどをまとめたブランドマニュアルを制定しました。それに基づき、売り場デザインの統一、メニューの視覚的改善など、ブランドの体系化を進めました。施策後のアンケートでは魅力度や購買意欲が向上し、ブランド戦略の重要性を改めて実感しました。
国際商学部3年 小日向桜さん
最も大きな課題は「ブランドとしての一貫性が不足している」という点でした。店頭の世界観とSNS・ECの印象が統一されておらず、顧客によって企業イメージが異なる状況が見られました。味や価格は高級感がある一方、接客や店内販促物は市場らしい大衆的な雰囲気で、そのギャップがブランド認知を曖昧にしていました。定性調査では「おいしさ」「ちょっとした贅沢」「信頼感」といった価値が抽出され、ブランドの核となる要素が明確化されました。そこで私たちは「日常の中のささやかな贅沢」というブランドコンセプトを設定し、ブランドの世界観や目指す姿、色・フォント・ロゴサイズなどをまとめたブランドマニュアルを制定しました。それに基づき、売り場デザインの統一、メニューの視覚的改善など、ブランドの体系化を進めました。施策後のアンケートでは魅力度や購買意欲が向上し、ブランド戦略の重要性を改めて実感しました。
柴田さん
ブランド構築に向けて、学生としてどのような視点で企業と向き合いましたか?
国際商学部3年 柴田萌里さん
学生としての視点と、現場で働く企業の視点には大きな違いがあることを痛感しました。最初は教科書的な説明をしても伝わらず、「現場にどんなメリットがあるのか」「日々の業務がどう変わるのか」を示す必要があると気づきました。そこで、専門用語を避け、自分たちの言葉でわかりやすく伝えることを意識しました。また、毎週のミーティングでは、商品開発や飲食店支援の経験が豊富な同社の顧問の方から助言を受けつつ、社長や営業部長の方々と議論を重ねました。社内会議にも参加させていただきました。現場の忙しさや制約、食品安全認証による厳しいルールなどを理解することで、企業のリアルな課題が見えてきました。「伝える」ではなく「伝わるように伝える」ことの重要性を学び、社会に出たときにも役立つ視点を得ることができました。
国際商学部3年 柴田萌里さん
学生としての視点と、現場で働く企業の視点には大きな違いがあることを痛感しました。最初は教科書的な説明をしても伝わらず、「現場にどんなメリットがあるのか」「日々の業務がどう変わるのか」を示す必要があると気づきました。そこで、専門用語を避け、自分たちの言葉でわかりやすく伝えることを意識しました。また、毎週のミーティングでは、商品開発や飲食店支援の経験が豊富な同社の顧問の方から助言を受けつつ、社長や営業部長の方々と議論を重ねました。社内会議にも参加させていただきました。現場の忙しさや制約、食品安全認証による厳しいルールなどを理解することで、企業のリアルな課題が見えてきました。「伝える」ではなく「伝わるように伝える」ことの重要性を学び、社会に出たときにも役立つ視点を得ることができました。
池頭さん
学童で実施した「お魚シールアート」では、どのような反応がありましたか?
国際商学部3年 池頭瑛璃さん
学童でのシールアートは予想以上に好評で、子どもたちはシールをちぎるという単純な作業に夢中になって取り組んでいました。魚図鑑を持参し「本物みたいに作りたい」と挑戦する子もおり、魚への興味が自然と広がっていく様子が印象的でした。1つの作品は5〜15分程度で完成し、子どもが飽きずに集中できる点も魅力です。学童の職員の方々も一緒に参加し、大人も夢中になるほどでした。活動後には「魚の本*1」を持ち帰ってもらい、家庭でも学びが続く仕組みをつくりました。また、作品は学童や小学校で展示され、地域の方々にも活動が広がっています。廃棄されるはずだったシールが子どもたちの創造力を育む教材に生まれ変わる姿は、CSRとしても大きな意義があると感じています。
これをきっかけに、「さかな文化祭」や「Fish‐1グランプリ」などの大規模なお魚イベントの水産庁ブースでワークショップも実施させていただきました。
国際商学部3年 池頭瑛璃さん
学童でのシールアートは予想以上に好評で、子どもたちはシールをちぎるという単純な作業に夢中になって取り組んでいました。魚図鑑を持参し「本物みたいに作りたい」と挑戦する子もおり、魚への興味が自然と広がっていく様子が印象的でした。1つの作品は5〜15分程度で完成し、子どもが飽きずに集中できる点も魅力です。学童の職員の方々も一緒に参加し、大人も夢中になるほどでした。活動後には「魚の本*1」を持ち帰ってもらい、家庭でも学びが続く仕組みをつくりました。また、作品は学童や小学校で展示され、地域の方々にも活動が広がっています。廃棄されるはずだったシールが子どもたちの創造力を育む教材に生まれ変わる姿は、CSRとしても大きな意義があると感じています。
これをきっかけに、「さかな文化祭」や「Fish‐1グランプリ」などの大規模なお魚イベントの水産庁ブースでワークショップも実施させていただきました。
左:量販店で販売される魚パックに貼られる販売促進シールの余剰 右:廃棄シールをちぎって作成したおさかなアート(学生見本)
青木さん
企業の現場体験を通して、どのような学びがありましたか?
国際商学部3年 青木優弥さん
アルバイトとして現場に入ることで、企業の「こだわり」と「伝わりにくさ」の両方を実感しました。横濱屋本舗では、ご飯の炊き方や出汁の取り方など、食への強いこだわりが徹底されています。しかし、その魅力が十分にお客さまに伝わっていない場面もあり、ブランド戦略の必要性を改めて感じました。また、食品安全認証(FSSC)を取得しているため、衛生管理や作業手順が非常に厳格で、現場の負担も大きいことを理解しました。忙しい時期には新しい施策を実施する余裕がないこともあり、企業の理想と現場の現実のギャップを肌で感じました。こうした経験は、ブランドづくりを考えるうえで欠かせない視点となり、学生としての提案に深みを与えてくれました。
国際商学部3年 青木優弥さん
アルバイトとして現場に入ることで、企業の「こだわり」と「伝わりにくさ」の両方を実感しました。横濱屋本舗では、ご飯の炊き方や出汁の取り方など、食への強いこだわりが徹底されています。しかし、その魅力が十分にお客さまに伝わっていない場面もあり、ブランド戦略の必要性を改めて感じました。また、食品安全認証(FSSC)を取得しているため、衛生管理や作業手順が非常に厳格で、現場の負担も大きいことを理解しました。忙しい時期には新しい施策を実施する余裕がないこともあり、企業の理想と現場の現実のギャップを肌で感じました。こうした経験は、ブランドづくりを考えるうえで欠かせない視点となり、学生としての提案に深みを与えてくれました。
今後の展望と、活動を通して大切にしたいことを教えてください。
打合せの様子
今後は、店頭・EC・SNSの連携を強化し、ブランドイメージの統一をさらに進めていく必要があります。また、シールアート活動については、学童や保育園への展開を広げ、子どもたちが魚に親しむ機会を増やしていきたいと考えています。魚食量が減少する中、次世代に魚食文化をつなぐことは大きな社会的意義があります。私たちは「日常のささやかな贅沢」というブランド価値を軸に、地域と企業、大学をつなぐ架け橋として活動を続けていきたいと思います。
国際商学部 柴田典子教授のコメント
本ゼミでは、理論と実践の往来によって、実社会での経験を通じて体感しながら学びを深化させることを大切にしています。ねぎとろのメンバーは、マーケティング論やブランド論、マーケティング・リサーチを学びながら、企業のリアルな経営課題の抽出から解決まで、正面から向き合いました。
単なるアイデア提案に留まらず、学生が携わるにはハードルの高いブランドマニュアルの制定や、店頭販促物の実装など、現場への深い介入を伴う貴重な経験をさせていただきました。試行錯誤を繰り返しながら形にしていくプロセスは、学生たちにとって何物にも代えがたい成長の糧となったはずです。学生たちに学びの場を惜しみなくご提供くださった株式会社横浜食品サービス(横濱屋本舗)さまをはじめ、「お魚かたりべ*2」の小谷様、水産庁の皆様、そして多大なるご厚意を賜りました関係各所の皆様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
本ゼミでは、理論と実践の往来によって、実社会での経験を通じて体感しながら学びを深化させることを大切にしています。ねぎとろのメンバーは、マーケティング論やブランド論、マーケティング・リサーチを学びながら、企業のリアルな経営課題の抽出から解決まで、正面から向き合いました。
単なるアイデア提案に留まらず、学生が携わるにはハードルの高いブランドマニュアルの制定や、店頭販促物の実装など、現場への深い介入を伴う貴重な経験をさせていただきました。試行錯誤を繰り返しながら形にしていくプロセスは、学生たちにとって何物にも代えがたい成長の糧となったはずです。学生たちに学びの場を惜しみなくご提供くださった株式会社横浜食品サービス(横濱屋本舗)さまをはじめ、「お魚かたりべ*2」の小谷様、水産庁の皆様、そして多大なるご厚意を賜りました関係各所の皆様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
まとめ
チーム名「ねぎとろ」には、魚の骨に残った身を“ねぎ取る”ように、活動の中で生まれる小さな課題や見落とされがちな声を丁寧に拾い上げたいという想いが込められています。英語表記の「NEGITOLO」は Never Give Up To Love の頭文字でもあり、魚や地域、そして活動に関わる人々への“愛をあきらめない”姿勢を象徴しています。ブランド戦略でもCSR活動でも、目の前の小さな気づきを大切にしながら、地域に寄り添う取り組みを続けていきたいというチームの価値観が、この名前に込められています。
横濱屋本舗との連携活動は、学生が企業のリアルな課題に向き合いながら、地域の魚食文化を未来へつなぐ挑戦です。ブランドの一貫性や価値の伝え方といった企業の課題に対し、学生ならではの視点で分析し、売り場改善やブランドガイドライン整備など具体的な提案を行いました。また、廃棄されるシールを活用した「お魚シールアート」は、CSRと教育を両立する取り組みとして地域に広がり、子どもたちの創造力と魚への興味を育てています。
こうした取り組みは高く評価され、「もったいないシールを救え!おさかなシールアート」は横浜アクションアワード*2準大賞を受賞しました。さらに、活動全体が地域社会への貢献として認められ、2026年度の YCU Student Award(社会・地域貢献分野)を受賞する成果にもつながりました。
企業との議論や現場での経験を通じて、学生たちは「伝わるように伝える」ことの重要性を学び、社会で求められる実践的な力を身につけました。今後も地域と大学、企業をつなぐ活動として、魚食文化の継承とブランド価値向上に貢献していくことが期待されます。
用語説明
*1 魚の本:大日本水産界様ご提供。子どもから大人まで楽しみながら学べる、
日本の魚食文化を次世代に伝えるための食育冊子
*2 お魚かたりべ:水産庁が魚食文化の普及・伝承を目的として任命するメンバーのこと。
*3 横浜アクションアワード:NPO法人アクションポート横浜主催の若者と地域のNPOや団体がパートナーシップを組んで活動している事例を広めるためのアワード
チーム名「ねぎとろ」には、魚の骨に残った身を“ねぎ取る”ように、活動の中で生まれる小さな課題や見落とされがちな声を丁寧に拾い上げたいという想いが込められています。英語表記の「NEGITOLO」は Never Give Up To Love の頭文字でもあり、魚や地域、そして活動に関わる人々への“愛をあきらめない”姿勢を象徴しています。ブランド戦略でもCSR活動でも、目の前の小さな気づきを大切にしながら、地域に寄り添う取り組みを続けていきたいというチームの価値観が、この名前に込められています。
横濱屋本舗との連携活動は、学生が企業のリアルな課題に向き合いながら、地域の魚食文化を未来へつなぐ挑戦です。ブランドの一貫性や価値の伝え方といった企業の課題に対し、学生ならではの視点で分析し、売り場改善やブランドガイドライン整備など具体的な提案を行いました。また、廃棄されるシールを活用した「お魚シールアート」は、CSRと教育を両立する取り組みとして地域に広がり、子どもたちの創造力と魚への興味を育てています。
こうした取り組みは高く評価され、「もったいないシールを救え!おさかなシールアート」は横浜アクションアワード*2準大賞を受賞しました。さらに、活動全体が地域社会への貢献として認められ、2026年度の YCU Student Award(社会・地域貢献分野)を受賞する成果にもつながりました。
企業との議論や現場での経験を通じて、学生たちは「伝わるように伝える」ことの重要性を学び、社会で求められる実践的な力を身につけました。今後も地域と大学、企業をつなぐ活動として、魚食文化の継承とブランド価値向上に貢献していくことが期待されます。
用語説明
*1 魚の本:大日本水産界様ご提供。子どもから大人まで楽しみながら学べる、
日本の魚食文化を次世代に伝えるための食育冊子
*2 お魚かたりべ:水産庁が魚食文化の普及・伝承を目的として任命するメンバーのこと。
*3 横浜アクションアワード:NPO法人アクションポート横浜主催の若者と地域のNPOや団体がパートナーシップを組んで活動している事例を広めるためのアワード

