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世界とつながる「税関」の仕事とは
—前WCO事務総局長が語る国際協力と貿易の今

2025.06.27
  • TOPICS
  • 教育
  • 国際教養学部
2025年6月6日(金)、横浜市立大学国際教養学部の授業「国際機構論」(担当:髙橋力也准教授)にて、世界税関機構(WCO)*1の前事務総局長である御厨邦雄みくりやくにお氏を講師に迎えた特別講義が行われました。国際貿易や安全保障、環境問題までを含む多角的な「税関」の役割と、国際機関で活躍するキャリアについて、第一線のご経験を交えながらお話しいただきました。
前WCO事務総局長の御厨邦雄氏
【講義の概要】
講義では、まず税関の歴史や基本的な役割として、「国家財政の基盤」「国内産業の保護」「貿易円滑化」「社会の安全確保」といった機能が紹介されました。さらに、WCOの設立背景、グローバル基準の策定プロセスやキャパシティ・ビルディングについても、具体的に語られました。

後半では、近年の国際貿易を取り巻く課題、例えば、めまぐるしい動きをみせるグローバル化、コロナ禍や紛争に起因するサプライチェーンのあり方の見直しや経済安全保障、デジタル貿易への対応、環境保護の問題等について、日本がどのような視点で世界と向き合っていくべきかについて、話されました。
講義を受講する学生たち
髙橋力也 准教授のコメント】
国際機構論は主に国連について学ぶ授業です。講義で教えるにあたっては、国連の活動を、理論や抽象的な概念の話に押し込めないよう心がけています。国連を動かすのは、あくまでも現実の「人」です。ですので、学生には、国連職員や外交官の目線に立って、国連実務で起きている具体的な事象を題材に、国際機関をめぐる国際関係の理想と現実に向き合ってもらっています。今回の特別講義は、まさに国際機関の現場の第一線で20年以上の長きにわたり活躍されてきた「人」によるものということで、話に聞き入る受講者の目は普段の授業では見られないほどに爛々としていました。大変貴重な機会になったと思います。


【受講した学生の感想】
・税関を中心に国際機関についてお話を聞くことができ、また国際機関の職員についても知ることができて、とても良い機会となりました。

・WCOのみならず、各大陸の貿易の状況を含めて世界情勢を理解することができました。

・貿易の自由化が推進された時代から、グローバル化の進んでいる現代まで、税関がどのように対応しているのかを知ることができました。
用語説明
*1 世界税関機構(WCO)は、各国の税関制度の調和・統一および国際協力の推進によって、国際貿易の発展に貢献することを目的として1952年に設立された国際機関。2025年1月現在、186か国・地域がメンバーとして加盟。日本は1964年に加入している。

【御厨邦雄氏 略歴】
東京大学法学部卒業後、1976 年大蔵省(現・財務省)入省。パリ政治学院等での留学を経て、在ジュネーブ日本政府代表部参事官、主計局給与課長、同局主計官、関税局監視課長、同局国際調査課長等を歴任。2002年にWCO事務総局次長に就任し、2009年から 2023年までWCO 事務総局長を務める。英国ケント大学博士(国際関係学)。2024年、瑞宝重光章を受章。

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