YCU 横浜市立大学
search

生命医科学研究科 生体膜ダイナミクス研究室の学生が、笹川科学研究奨励賞を受賞!

2025.06.12
  • TOPICS
  • 学生の活躍

公益財団法人日本科学協会が実施する「2024年度笹川科学研究助成」に採択され、昨年度の研究成果、論文発表、学会発表等が評価されました。

生命医科学研究科の博士後期課程を修了した高橋捷也さん(現 ハイデルベルク大学博士研究員)が、2025年4月18日に開催された笹川科学研究助成 2024年度奨励賞受賞者研究発表会及び2025年度研究奨励の会において、「笹川科学研究奨励賞」を受賞しました。
笹川科学研究助成は、日本科学協会が実施する若手研究者を対象とした研究助成制度で、課題の設定が独創性・萌芽性をもつ研究、発想や着眼点が従来にない新規性をもつ若手の研究を支援するものです。高橋さんは、博士後期課程3年時に2024年度助成者に選出され、このたび研究内容などが評価され受賞しました。
受賞者
生命医科学研究科 博士後期課程3年(2025年3月修了)
高橋 捷也たかはし かつやさん

指導教員
生命医科学研究科
西澤 知宏教授(生体膜ダイナミクス研究室)

受賞内容
笹川科学研究助成 2024年度奨励賞受賞者研究発表会及び2025年度研究奨励の会
笹川科学研究奨励賞

研究課題名
クライオ電子顕微鏡を用いた立体構造解析によるワニヘモグロビン特有のアロステリック制御の解明
今回の研究内容について高橋さんに解説していただきました。
ヘモグロビンは血液中で酸素運搬の役割を担うタンパク質であり、全ての脊椎動物において共通の機能を果たします。ほとんどの脊椎動物において、有機リン酸の作用によって酸素の放出が制御されますが、脊椎動物で唯一、ワニのヘモグロビンは重炭酸イオン(HCO3)の作用によって酸素の放出が制御されます。この仕組みにより、より多くの酸素を供給することができるため、ワニは息を止めた長時間の潜水が可能で、それを活用した狩りを行うことが可能です。この仕組みは40年以上前に報告されましたが、長年の試みにも関わらずX線結晶構造解析による構造決定に成功していないため、詳細な分子レベルでの機序が解明されていませんでした。本研究では、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法を用いてワニヘモグロビンの分子構造を決定し、その構造からワニヘモグロビンに特有な2つのアミノ酸置換がHCO3作用獲得に重要であることを特定しました。40年以上も謎であったワニにしかない仕組みを構造生物学の観点から新たな知見を提供しました。

論文DOI: 10.1038/s41467-024-49947-x
プレスリリース: ワニはどうして長時間水に潜れるのか? ~クライオ電子顕微鏡によってワニのヘモグロビンのもつ特徴的なアロステリック制御のしくみを解明~
高橋 捷也さんのコメント
このたびは、たくさんの採択研究の中から選出していただき、光栄に存じます。ジェレミー・テイム教授、西澤知宏教授ならびに多くの共同研究者の方々、そして、研究室の皆さまの協力に心より感謝申し上げます。この受賞を励みに、今後もさらなる面白い研究の展開と向上に努めてまいります。

指導教員 西澤 知宏教授のコメント
ヘモグロビンのように小さな標的で重炭酸イオンのようなリガンドの密度が観察できるのか?共同研究が始まった当初はさまざまな心配がありましたが、高橋君が多くの検討を行い、最終的に大阪大学の嫌気性チャンバー内で調製した試料で見事に目的の密度を観察することができました。今回の成果をもとに、今後もさらに面白い研究を続けてもらえればと思います。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOAL

  • 04.質の高い教育をみんなに