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JICA横浜で、坪谷ゼミ主催の多文化イベントが開催されました!

2025.01.21
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多文化ルーツを持つ参加者、イベントを主催した関係者や坪谷ゼミの学生たち

~スタンプラリーで海外移住の歴史と自分のルーツを知る~

10月20日、JICA横浜 海外移住資料館にて、横浜市立大学国際教養学部の坪谷美欧子ゼミが主催するイベントが開催されました。このイベントは、外国にルーツのある子どもたちの学習をサポートしている「トレボルNIHONGO教室」に通う子どもたちとその家族を対象に、多文化共生の価値を共有することを目的としたものでした。参加者は、スタンプラリーを通して、南米日系人の歴史や背景といった自分のルーツ、そして日本人の海外移住の歴史に触れ、異文化理解を深めました。イベントでは、参加者と大学生が交流し、笑顔あふれるひと時が広がりました。

スタンプラリーで学ぶ移住の歴史
坪谷ゼミでは、日本に暮らす外国にルーツを持つ子どもや多文化共生などなどについて幅広く研究しています。トレボルNIHONGO教室(横須賀市追浜町)は、坪谷ゼミの卒業生が運営しており、2年生前期の「プレゼミB」という科目では、その教室を訪問し、実際に外国にルーツを持つ生徒の学習支援のお手伝いをするインターンを行っています。今回、JICA横浜の協力のもと、ゼミの学生が中心となってこのイベントを企画しました。

参加者は、坪谷ゼミの学生たちが出題するクイズや資料館各所の説明を聞きながら、館内を巡るスタンプラリーを楽しみました。JICA横浜の資料館では、北米・中南米への日本人移住の歴史や日系人の現在の姿が紹介されています。学生たちがその内容を丁寧に解説することで、ペルーやブラジルへの移住の歴史やその意義についても学ぶことができました。参加した子どもたちは、楽しく歴史に触れながらスタンプを集め、すべてのスタンプを集めた参加者には記念品が贈られました。また、事前の申し込みに基づき、自分の家族や先祖の移住背景を調査した結果を会議室で個別に伝えるセッションも行われました。

独立行政法人 国際協力機構 (JICA)横浜センター海外移住資料館担当の三浦さんに、お話を伺いました
今回イベントの目的は、日系人(特に子どもたち)が自身のルーツを知り、アイデンティティを認識することで、未来と前向きに向き合えるよう支援することです。このイベントのために行った先祖調査は、希望者から提供いただいた情報(移住者の名前、出身地、家族情報など)を基に、資料館の学芸担当職員が移民記録やデータベース、現地の日本人会や県人会が発行した記念誌・住所録を活用して実施しました。その結果、移住者の詳しい出身地や渡航経路、現地での生活の詳細が明らかになり、新たな発見を得られたと話す参加者も多くいました。
自分の家族の歴史を知ることで、日本や出身国とのつながりを再確認した参加者の中には、日本に住む親戚を訪ねてみたいと話す方もいて、非常に意義深い機会となりました。
海外へ移住した日本人の持ち物
ルーツを知り、多文化共生を未来へつなぐ旅
本イベントでは、日本に暮らす多様なルーツを持つ子どもたちやその家族に対して、移住の歴史や先人たちが築いてきた絆を学ぶ機会を提供しました。この学びを通じて、自らの背景に誇りを持つことを促すとともに、異文化理解の重要性を伝えることを目指しました。
また、学生たちとの交流により、子どもたちに学びの楽しさや新たな発見の喜びを体験してもらうことも意図しました。未来を担う世代が、多文化的な価値観を共有しながら共存できる社会を目指すきっかけとなるような体験型プログラムで、参加者全員が、自分や他者のルーツを理解する貴重な機会となりました。
奥村 ディエゴ 亮さん
イベントに参加した学生や卒業生の声

奥村おくむら ディエゴ 亮                  りょうさん
国際教養学部 2年

私は、日本人とペルー人のハーフですが、今回のイベントを通じて改めて自分のルーツについて考える良い機会になりました。参加者の方とスペイン語で話すことで、文化や背景を共有する喜びを感じました。また、トレボルNIHONGO教室の子どもたちが自分のルーツに誇りを持てるように説明を工夫しました。このようなイベントがきっかけとなり、自分のルーツを知る大切さを他の人々にも伝えていければと思っています。大学生活を通じて、多文化社会の理解を深め、将来は日本とペルーの架け橋になりたいです。
参加者に説明をする吉村 恵里菜さん(中央)
吉村よしむら 恵里菜 えりなさん
国際教養学部 3年

私の地元である鶴見には、日系人の方が多く住んでいますが、これまで深く関わる機会はあまりありませんでした。今回のイベントでは、資料館を案内しながら、自分自身が日系移民の歴史を学び直す機会にもなりました。特に印象的だったのは、参加された日系人の子どもたちや家族の方々がご自身のルーツや祖先の移住の歴史について興味を持ち、たくさん質問してくれたことでした。その姿を見て、自分ももっと日系社会の歴史や文化について学びたいと感じました。今後は、多文化共生をテーマにした活動をさらに深め、多くの人と交流できる場を作りたいです。
Café Poco a Pocoについて説明をする石原さん
石原優花いしはら ゆうかさん
国際教養学部 2022年度卒業生

高校生の時に台湾へ旅行をした経験から、海外に興味を持ち、坪谷ゼミに入りました。ゼミで神奈川県営いちょう団地の取り組みを学び、日本に住む外国人や多文化共生について考えるようになりました。また、学生時代にはトレボルのスタッフとして働きながら、ペルーの人たちとのイベントを主催するなど、多文化共生に関する活動を積極的に行ってきました。
今回のイベントに参加したのは、これまでの経験が少しでも役に立つのではないかと感じたこと、そして学生たちの活動を応援したいという思いからです。現在は、学生コミュニティ「Café Poco a Poco」を運営し、坪谷ゼミの有志メンバーと共に、料理を通じて多文化コミュニティをつなげる活動を行っています。今回のイベントは、自分の学びを生かして次世代に伝えられる貴重な場でした。
坪谷 美欧子先生(国際教養学部)のコメント

海外移住資料館は、日本人の海外移住の歴史を詳しくかつ楽しく学ぶことができるきわめて優れた歴史博物館ですので、毎年坪谷ゼミでは見学を行っています。昨年度より、ゼミ生が主体的にかかわるプロジェクトが立ち上がり、移住資料館とトレボルNIHONGO教室のご協力の下、約1年がかりでこのようなイベント開催に至りました。イベントに向けて、ゼミ生は時間をかけ準備をしましたが、展示の説明やスタンプラリーを通して、来場した方々から、ご自身のルーツや在日ペルー人について教えてもらう多くの対話が生まれたことが、大学生にとって得難い学びの機会となりました。トレボルNIHONGO教室、生徒と保護者の方々には、日ごろから坪谷ゼミの教育や研究活動にご協力いただいていたので、こうしてゼミ生から少しでも恩返しができたこともよかったと思います。 今後もこのような取り組みを続けていきたいと考えています。
トレボルNIHONGO教室 教室長 西 涼光にし りょうこうさんのコメント
(横浜市立大学卒業生)

まずはこのような素晴らしいイベントに弊教室の学生や保護者と一緒に参加できたことをとても嬉しく思います。参加者の皆様もこれまで知ることのなかった日系人の背景や歴史について触れることができ、また中には自身のルーツを知ることができて感激していた方もおり本当に有意義なものになったと思います。彼ら自身からも勉強になったととても好評で、この資料館自体を知らない友人・知人もまだまだいるので伝えていきたいとの声も聞かれました。個人的には、日本人もこれらのことについてもっと知るべきであり、私たちからも伝えていきたいと感じる機会となりました。今後も、同じようなイベントをやっていけたらと思います。
 
大学生が伝える神奈川の多文化共生の現場
今回のイベントと同じ時期に、JICA横浜の海外移住資料館前回廊ギャラリーにて、坪谷ゼミの学生による「多文化共生」に関する研究発表展示が行われました。テーマは、「災害時における多文化共生」「エスニック・レストランの借り傘戦略」「高齢化した公営団地における多文化共生」の3つで、神奈川県内の調査結果をパネルで紹介しました。
JICA横浜2階展示スペースで開催された坪谷ゼミ3年生のグループ研究のポスター展示(一部)
今回のイベントは、JICA横浜 海外移住資料館、トレボルNIHONGO教室、そして坪谷ゼミが連携し、多文化共生の重要性を次世代に伝える場となりました。海外移住の歴史を学べる資料館を舞台にしたスタンプラリーやルーツ調査を通じ、参加した子どもから大人まで、楽しみながら歴史や自身のルーツに触れることができました。イベントを企画・運営した学生たちは、大学で学んだ知識や経験を生かして地域社会に貢献しました。異なる文化や言語を背景に持つ参加者の方々との交流は、学生にとっても貴重な学びの場となりました。参加者たちの笑顔と学びの姿は、多様な背景を持つ人々が共に歩む未来への希望を感じさせるものでした。
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