大学院生の髙橋淳さんが行動経済学会でポスター報告奨励賞を受賞!
2025.01.15
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国際マネジメント研究科 博士後期課程1年(中園善行研究室所属)の髙橋 淳さんが、2024年12月6日~12月8日に立命館大学いばらきキャンパスで開催された「行動経済学会第18回大会」において、ポスター報告奨励賞を受賞しました。

受賞者
国際マネジメント研究科
博士後期課程1年
国際マネジメント研究科
博士後期課程1年
髙橋 淳さん
指導教員
国際マネジメント研究科
中園 善行教授(マクロ経済学)
受賞内容
「行動経済学第18回大会」
ポスター報告奨励賞
発表題目
Rational Inattention and the Effects of Complex Tax Incentives on Labor Supply
(日本語訳:複雑な税制下における労働供給と合理的無関心モデル)
今回の発表内容について髙橋さんに解説していただきました。
収入が一定の金額を超えると、税率が急に上がったり、さまざまな控除が受けられなくなったりして、手取り収入の増加が抑えられることがあります。それを避けるために、わざと収入をそのギリギリのラインに抑えている、ということは、世界中でよく見られることです。日本では、これは「年収の壁」と呼ばれています。特に、一部の既婚女性の多くが年収103万円以下に就業調整*1を行っていることから、「年収103万円の壁」とも呼ばれています。しかし、現行の税制では年収が103万円を超えても追加の税負担は極めて少ないため、実際には「年収103万円の壁」は存在しないはずです。そこで本研究は、税制に関する誤解に着目し、「年収103万円の壁」の実態を検証しました。具体的には、納付税額に関する情報提供実験を行い、税制への誤解を解消することで労働供給に与える影響を分析しました。分析の結果、情報提供により労働供給が増加することが確認されました。また、納付税額を過大に誤解している人ほど、情報提供による効果が大きいことも明らかになりました。今後は追跡調査を実施し、情報提供による効果が時間とともにどのように変化するのかを検証する予定です。
髙橋 淳さんのコメント
今回、素晴らしい賞を頂くことができて大変光栄に存じます。このような評価をいただけたのは、指導教員の中園先生や研究室の方々のおかげです。
また、本研究はJST次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)JPMJSP2179や公益財団法人横浜学術教育振興財団の支援を受けて進めることができました。心より感謝申し上げます。今後も研究活動に一層励んでまいります。
指導教員 中園 善行教授のコメント
髙橋さんは、国家公務員として内閣府で「経済白書」を執筆された経験があります。白書で賃金や労働需給の分析に取り組んだ経験から、日本の労働問題に高い関心があり、現在は、日本のマクロ経済分析とともに家計の労働供給問題等テーマとした研究に取り組んでいます。奇しくも「年収の壁」を巡って政治的な駆け引きが高い関心を集める中、この問題に多くの政策的含意を持つ髙橋さんの研究が学会から高い評価を受けたことをうれしく思います。受賞おめでとうございました。
用語説明
*1就業調整:所得税や社会保険料などの負担を避けるために就業時間や就業日数を調整すること。
収入が一定の金額を超えると、税率が急に上がったり、さまざまな控除が受けられなくなったりして、手取り収入の増加が抑えられることがあります。それを避けるために、わざと収入をそのギリギリのラインに抑えている、ということは、世界中でよく見られることです。日本では、これは「年収の壁」と呼ばれています。特に、一部の既婚女性の多くが年収103万円以下に就業調整*1を行っていることから、「年収103万円の壁」とも呼ばれています。しかし、現行の税制では年収が103万円を超えても追加の税負担は極めて少ないため、実際には「年収103万円の壁」は存在しないはずです。そこで本研究は、税制に関する誤解に着目し、「年収103万円の壁」の実態を検証しました。具体的には、納付税額に関する情報提供実験を行い、税制への誤解を解消することで労働供給に与える影響を分析しました。分析の結果、情報提供により労働供給が増加することが確認されました。また、納付税額を過大に誤解している人ほど、情報提供による効果が大きいことも明らかになりました。今後は追跡調査を実施し、情報提供による効果が時間とともにどのように変化するのかを検証する予定です。
髙橋 淳さんのコメント
今回、素晴らしい賞を頂くことができて大変光栄に存じます。このような評価をいただけたのは、指導教員の中園先生や研究室の方々のおかげです。
また、本研究はJST次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)JPMJSP2179や公益財団法人横浜学術教育振興財団の支援を受けて進めることができました。心より感謝申し上げます。今後も研究活動に一層励んでまいります。
指導教員 中園 善行教授のコメント
髙橋さんは、国家公務員として内閣府で「経済白書」を執筆された経験があります。白書で賃金や労働需給の分析に取り組んだ経験から、日本の労働問題に高い関心があり、現在は、日本のマクロ経済分析とともに家計の労働供給問題等テーマとした研究に取り組んでいます。奇しくも「年収の壁」を巡って政治的な駆け引きが高い関心を集める中、この問題に多くの政策的含意を持つ髙橋さんの研究が学会から高い評価を受けたことをうれしく思います。受賞おめでとうございました。
用語説明
*1就業調整:所得税や社会保険料などの負担を避けるために就業時間や就業日数を調整すること。