肥満でなくても脂肪肝は要注意、カギは「肝臓の線維化」
—世界41か国・約1万8千人のデータを解析した国際共同研究成果が『JAMA』に掲載—
概要
横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵消化器病学の小林貴助教、中島淳名誉教授らが参加する国際共同研究グループは、世界41か国で肝生検*1により診断された代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)*2の患者18,326人のデータを解析し、肥満でない人のMASLD(lean MASLD)の特徴と将来のリスクを明らかにしました。
本研究成果は、米国医師会の学術誌「JAMA」に掲載されました(2026年9月30日オンライン掲載)。
MASLDは肥満の人に多い病気ですが、肥満でない人にも起こります。今回の解析では、肥満でない人は全体の6.7%で、肥満の人に比べて2型糖尿病が少なく、肝臓の線維化*3が進んだ人の割合も低いことが分かりました。一方で、死亡や、肝がんなどの重い肝臓病を起こすリスクには、統計的に意味のある差はありませんでした。また、肥満でない人の中でも、線維化が進んでいる人では死亡のリスクが約2倍、重い肝臓病のリスクが約4倍に高まっていました。さらに、線維化を調べる検査のうち、血液検査による指標(FIB-4)*4の精度は肥満でない人でやや低く、肝臓の硬さを測る検査*5の精度はむしろ高いことも分かりました。
これらの結果は、体型にかかわらず、すべてのMASLD患者で肝臓の線維化を評価することが重要であり、肝臓の硬さを測る検査は肥満でない人でも高い精度で線維化を評価できることを示しています。
研究成果のポイント
● 世界41か国、肝生検で診断されたMASLD患者18,326人を解析した国際共同研究
● 肥満でない人は糖尿病や肝線維化が少ないが、死亡や重い肝臓病のリスクは過体重・肥満の人と同等
● 肥満でない人でも線維化が進むとリスクが上昇し、体型によらず線維化の評価が重要
図表
掲載論文
著者:de Avila L, AlNaamani KM, … Nakajima A, … Kobayashi T, … Younossi ZM; Global MASLD Study Investigators on behalf of the Global NASH/MASH Council
掲載雑誌:JAMA(2026年9月30日オンライン掲載)
DOI:10.1001/jama.2026.18491
用語説明
*2 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD):非飲酒者において肝臓に脂肪がたまる病気のうち、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの代謝の異常を伴うもの。2023年に、従来の「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」から名称と定義が改められた。
*3 肝線維化(かんせいいか):肝臓の炎症が続くことで、組織が硬くなっていく変化。進行すると肝硬変となり、肝がんや肝不全の発症リスクが上がる。
*4 FIB-4:年齢と血液検査の値(AST、ALT、血小板数)から計算する、肝線維化の程度の目安となる指標。
*5 肝臓の硬さを測る検査(肝硬度測定):体の外から肝臓に振動を加え、その伝わる速さから肝臓の硬さを測る検査(エラストグラフィ)。痛みがなく、短時間で行える。
お問合せ先
mail: koho@yokohama-cu.ac.jp
