YCU Research Portal

YCU Research Portal

多様な分子設計を統一的に扱うAI基盤「ChemTSv3」を開発

概要

横浜市立大学大学院生命医科学研究科 生命情報科学研究室の藤井慧博士研究員、寺山慧研究教授、理化学研究所(理研)革新知能統合研究センター分子情報科学チームの隅田真人研究員、津田宏治チームリーダー、九州大学情報基盤研究センター 先端計算科学研究部門の美添一樹教授らの共同研究グループは、分子設計AIにおいて、探索する分子の範囲や生成方法を目的や状況に応じて柔軟に変更できるフレームワーク「ChemTSv3」を開発しました。

従来の分子設計AIでは、分子の表現や生成方法によって探索できる範囲が事実上固定されることが多く、課題に応じて探索空間を変更することや、探索の途中で「広い範囲から候補を探す」段階から「有望な候補を細かく改良する」段階へ移行するなどの柔軟な制御が困難でした。ChemTSv3は、探索に用いる分子表現や生成・編集方法を独立した変更可能な部品として扱うことで、このような多様な課題への対応力や探索の柔軟性を実現しました。これまで開発してきた分子生成AI ChemTSv2*1の機能を引き継ぎつつ、より高度な分子設計が可能になっています。

医薬品候補となる低分子の設計、タンパク質の設計、標準ベンチマークを用いた検証により、最先端の分子設計AIに並ぶ性能や探索空間変更の有効性を示しました。本成果は、創薬や材料開発などにおける、より柔軟で実践的なAI分子設計への応用が期待されます。

本研究成果は、科学雑誌「Communications Chemistry」に掲載されました(2026年8月21日)。

研究成果のポイント


● 分子の生成・編集方法を柔軟に切り替えられるAI基盤を開発

● 低分子からタンパク質に渡る分子設計を一つの枠組みで実現

● 探索空間を柔軟に変更することの有効性を実験やベンチマークで確認

図表

図1 ChemTSv3は、分子の表現方法や生成・編集の方法を変更することによって低分子からタンパク質に渡る多様な課題に適用できる。更に、探索中にもこれらを切り替えて局所的な集中探索への移行や異なる探索領域への移動を行うことで、より効率的に分子を設計できる。

掲載論文

タイトル:Generalizing Molecular Design via Flexible Search Space Control
著者:Satoru Fujii, Yuki Murakami, Tatsuya Yoshizawa, Shoichi Ishida, Nobuo Cho, Masateru Ohta, Teruki Honma, Kazuki Yoshizoe, Masato Sumita, Koji Tsuda, Kei Terayama
掲載雑誌:Communications Chemistry
DOI:10.1038/s42004-026-02172-7

用語説明

*1 ChemTSv2:薬から材料まで様々な機能性分子を設計可能なAIを開発。
https://www.yokohama-cu.ac.jp/news/2023/20230818terayama.html

お問合せ先

横浜市立大学 広報担当
mail: koho@yokohama-cu.ac.jp
  • 3 全ての人に健康と福祉を
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう