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買い物の「移動時間」と「滞在時間」の関係を国際比較
—都市圏を越えて共通する買い物行動の時間配分を明らかに—

横浜市立大学大学院データサイエンス研究科 山田崇史准教授らの研究グループは、日本(東京)、ベトナム(ホーチミン、ダナン)、バングラデシュ(ダッカ)、ケニア(ナイロビ)の5都市圏におけるパーソントリップ調査データを用いて、買い物目的の移動時間と滞在時間の関係を国際比較しました。

本研究では、経済規模や交通システムが異なる一方、買い物行動を同条件で比較できる各都市圏を対象に、平日の買い物行動を抽出し、移動時間と滞在時間の関係を分析しました。その結果、いずれの都市圏においても、買い物先での滞在時間は移動時間のおおむね3~5倍(図1(c))であり、買い物行動には都市や国を越えて一定の共通性があることが明らかになりました。

本研究成果は、「Journal of Asian Architecture and Building Engineering」でオンライン公開されました(2026年6月18日)。

 研究成果のポイント 

  • 東京、ホーチミン、ダナン、ダッカ、ナイロビの5都市圏における買い物行動を、共通の指標で国際比較しました。
  • すべての都市圏で、買い物先での滞在時間は移動時間のおおむね3~5倍でした。
  • 買い物行動は、出発時刻、移動時間、滞在時間に基づき、4つの共通パターンに分類されました。
  • 都市別の滞在係数は、ナイロビで最も低く、ダナンで最も高い結果となりました。
(a)
(b)
(c)

図1 都市圏別の買い物時の時間配分:(a)移動時間、(b)滞在時間、(c)滞在時間/移動時間の比率

研究背景

買い物は、都市住民が日常的に行う代表的な活動です。通勤や通学と比べて、買い物は目的地や滞在時間を比較的自由に選びやすく、都市住民の生活行動や都市構造の特徴を反映しやすい行動と考えられます。

一方で、買い物先までの移動には時間的な負担が伴います。日常的な買い物で長い時間をかけて移動する場合、移動時間に見合った滞在時間を確保すると考えられます。しかし、買い物の移動時間と滞在時間の関係を、複数国の都市圏で比較した研究は限られていました。

そこで本研究では、各都市圏のパーソントリップ調査データを用い、買い物行動における移動時間と滞在時間の関係を、滞在係数という共通指標で分析しました。

研究内容

本研究では、東京、ホーチミン、ダナン、ダッカ、ナイロビの5都市圏を対象としました。分析対象は、平日に自宅から買い物先へ向かい、買い物先で滞在した後、自宅へ戻る買い物行動です。通勤途中の買い物や複数の目的を含む移動は除外しました。

まず、都市圏ごとに移動時間、滞在時間、滞在時間を移動時間で割った比率を集計しました。その結果、すべての都市圏で、買い物先での滞在時間は移動時間の約3~5倍であることが確認されました(図1(c))。

次に、出発時刻、移動時間、滞在時間を用いたクラスター分析を行い、買い物行動を4つのパターンに分類したところ、全都市圏で共通して以下のタイプが確認されました。

・ 早い時間に出発し、自宅周辺で買い物するタイプ
・ 早い時間に出発し、遠方へ移動するタイプ
・ 早い時間に出発し、長時間滞在するタイプ
・ 遅い時間に出発し、自宅周辺で買い物するタイプ

さらに、移動時間と滞在時間の関係を回帰分析により検討し、滞在係数を算出しました。その結果、都市別の滞在係数は、ナイロビで1.201、ダッカで1.376、東京で1.503、ホーチミンで1.535、ダナンで1.568でした。これにより、移動時間が長くなるほど滞在時間も長くなる一方、その増え方には都市ごとの差があることが示されました(図2)。
図2 大都市圏ごとの滞在係数に基づく移動時間と滞在時間の関係

今後の展開

本研究で用いた滞在係数は、買い物行動における移動時間と滞在時間の関係を簡潔に示す指標であり、都市交通計画、商業施設の立地計画、商圏分析に応用できる可能性があります。例えば、想定される滞在時間から利用者が許容し得る移動時間を推定することや、滞在時間を延ばす施策が商圏の広がりに与える影響を検討する際の基礎資料として活用できます。

今後は、より多くの都市圏や時系列データを用いた分析、商業施設情報との連携、複数目的の買い物行動を含めた分析を進めることで、都市構造や交通環境が買い物行動の時間配分に与える影響をより詳細に明らかにしていくことが期待されます。

研究費

本研究は、横浜市立大学 学長裁量事業 第5期 学術的研究推進事業 「国際共同研究プロジェクト(カテゴリA アカデミックコンソーシアム推進)」の支援を受けて実施されました。

論文情報

タイトル:Cross-country comparison of metropolitan area stay coefficients: the relationship between shopping stay time and travel time from person trip surveys
著者:Takashi Yamada, Masatomo Suzuki, Eri Aoki, Hoàng Bảo Ngọc, and Akio Onishi
掲載雑誌:Journal of Asian Architecture and Building Engineering
DOI:10.1080/13467581.2026.2687958

お問合せ先

横浜市立大学 広報担当
mail: koho@yokohama-cu.ac.jp
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