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令和7年度 「革新的先端研究開発支援事業(AMED-PRIME)」に採択

横浜市立大学大学院医学研究科  生理学 波多野真依 助教の研究課題が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和7年度革新的先端研究開発支援事業(AMED-PRIME)「性差・個人差の機構解明と予測技術の創出」研究開発領域において採択されました。
■研究課題名:「更年期の個人差に基づく脳内AMPA受容体動態の評価と更年期障害診断支援技術の構築」

■研究期間: 令和7年10月1日から令和11年3月31日

研究代表者らは、これまでに世界で初めて AMPA 受容体をヒト生体脳内で可視化できる PET 薬剤 [¹¹C]K-2 を開発し、精神神経疾患における脳内シナプス機能の変化を明らかにしてきました。本研究では、この技術を更年期女性に応用し、性ホルモンの急激な変化が脳の AMPA 受容体に与える影響を明らかにします。さらに、症状の重症度や血中ホルモン濃度、脳機能画像、プロテオミクスデータを統合することで、更年期障害の客観的診断指標の開発につなげることを目指しています。将来的には、認知症リスクやメンタルヘルスの予防・早期診断にも貢献し、女性の健康寿命延伸に寄与することが期待されます。

(用語説明)

AMPA受容体:脳内の興奮性神経伝達の約9割を担い、記憶や学習などの高次脳機能に深く関わっている。

PETPositron Emission Tomography, 陽電子放射断層撮影):体内の分子や受容体の分布を画像として可視化できる検査方法。


波多野真依 助教のコメント


このたび、AMED PRIME に採択いただき大変光栄に存じます。更年期障害は、症状の個人差が大きく、また客観的に捉えにくいために軽視されがちですが、患者さんにとっては生活や心身の大きな負担となっています。その苦しさを科学的に証明し、適切な診断や治療につなげることが喫緊の課題だと考えています。人生100年時代において、更年期は折り返し地点にあたります。本研究を通じて、更年期を過ごす方々の次の50年を支える医療へと発展させていきたいと考えています。さらに、本研究の成果を医療技術の発展につなげるとともに、本学全体で女性のライフステージに寄り添う研究の推進を目指しています。