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第7回教育研究審議会

第7回教育研究審議会

議事録

日時:令和6年12月3日(火)16:10~17:26
開催形式:Zoom開催
中継拠点:金沢八景キャンパス 第一会議室
委員:石川学長、橘副学長、宮城副学長(議長)、小川副学長、大澤国際総合科学群長、鈴木国際教養学部長、和田国際商学部長、佐藤理学部長、山崎データサイエンス学部長、赤瀬医学部看護学科長、松本都市社会文化研究科長、白石国際マネジメント研究科長、池口生命医科学研究科長、土屋データサイエンス研究科長、緒方医学研究科長、田村附属市民総合医療センター病院長、嶋田木原生物学研究所長、古久保学術情報センター長、山口先端医科学研究センター長、松井事務局長、森谷学長室長、小林学務・教務部長、梶原東京科学大学 教育研究組織 生命理工学院 教授、清水松本大学・松本大学松商短期大学部 学長
欠席:中島医学群長 兼 医学部長、本多共通教養長、立川生命ナノシステム科学研究科長、遠藤附属病院長、黒部研究推進部長

1前回議事録について
令和6年度第6回教育研究審議会の議事録について確認し、了承された。

2審議事項
(1)海外大学との交流協定の締結について
国際交流担当係長より、ブリティッシュコロンビア大学オカナガン校(カナダ)とトゥウェンテ大学(オランダ)との交流協定の新規締結について説明があり、審議の結果、承認された。今後の協定締結や更新の際には、可能な限り、国際カンファレンス等への参加も追記することが補足説明された。また、トゥウェンテ大学の2つの学部との交流となるが、医学部以外の内容を含む学部のため、派遣も受入もほぼ全学的な交流が可能である旨が補足説明された。

(2)キヤノンメディカルシステムズとの産学連携基本協定について
知財・契約担当係長より、キヤノンメディカルシステムズ株式会社と産学連携基本協定の締結について説明があり、審議の結果、承認された。

(3)学長裁量事業における研究代表者への称号付与及び要綱の制定について
研究企画担当係長より、学長裁量事業「戦略的研究推進事業」および「学術的研究推進事業」において研究プロジェクトを遂行する研究代表者に対し、令和6年度プロジェクトより称号を付与することおよび学長裁量事業に関する要綱を制定することについて説明があり、審議の結果、承認された。なお、現在「戦略的研究推進事業」は約30名、「学術的研究推進事業」は11名の研究代表者がいることが補足説明された。

3報告事項
(1)海外大学との交流協定書の更新について
国際交流担当係長より、マレーシア科学大学(マレーシア)との交流協定書の更新について報告された。交流実績は多いが定期的な交流が行われていないものもあり、その理由として以下のような補足説明があった。
・「JSTさくらサイエンスプログラム」は、本学教員からの申請がなければ実施されない
・SUDP、IUPWは、毎年アカデミックコンソーシアムの開催校国で実施されるため実施有無は開催校による。
また、ハラルや礼拝の施設等の対応については、学生や研究者を受け入れる前に、礼拝時間を確認し、スペースも確保していること、ハラル料理は横浜市が公表しているレストランリストを共有することで対応しているという説明があった。

4意見交換
地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)の申請概要と研究推進における考えについて
初めに石川学長より、J-PEAKS申請概要の説明、続いて、本学の研究推進における考えについて、以下のメッセージが述べられた。その後、各委員において意見交換がなされた。
【石川学長】
・J-PEAKS の採否に関わらず本学が研究大学として強化していくことは重要。採用されれば、大学全体のプレゼンスを上げ、研究環境を改善していくことができるが、本学は未曾有の財政危機に直面しているため、J-PEAKSの採否に関わらず、先生方には、国内外や国・民間問わず外部資金獲得の意識を持っていただきたい。先生方が蓄積されてきた研究・知見は、本学にとって重要な財産であるため、外部に提供することでその対価を受け取ってほしい。また、外部資金は、研究の社会的な評価とも言える。先生方の研究をさらに発展させ、その研究の価値を示すことで、研究費の獲得を目指していただきたい。
・どのように外部研究費を獲得できるのか、どのように研究の価値を外部に発信していくのか、ということに関しては、URAや共創イノベーションセンター、次世代臨床研究センターといった研究支援人材や組織の力が必要。研究支援体制の増強はまだ途上だが、財政難の中でも確実に強化し、先生方と事務部門がタッグを組み、外部資金獲得に繋がる支援体制を構築していきたい。
・外部資金の獲得によって先生方の研究が進み、その成果を人材育成、社会還元し、それによって得られる対価を次の研究、次の研究環境の充実に投資し、発展させていきたい。そのような好循環を生み出すエコシステムを形成することで、「研究の横浜市立大学」を実現させていきたい。

【小川副学長】
・半年前からJ-PEAKSの申請に向け様々行ってきたが、大学が変わっていかなければならないということをつくづく感じた。これからの大学に求められているのは研究力アップ、産学連携・社会実装、そして地域貢献である。
・研究力アップと言っても、それをどう評価するのかが問題。そこで、研究力評価機構を作り、自分の大学の研究力を正確に把握すべきと考えた。個人個人の評価に直接繋げて管理するのではなく、教員の強みを評価し、さらに発展させていきたい。
・今後はURAがますます重要になるが、本学は少し遅れているため、J-PEAKSが採用されたら、URAも補強し、研究力アップ、産学連携に繋げていきたいと考えている。また、全学的に先生方に十分に理解いただけていないことが課題。全教員の意識改革を今後進めていく必要がある。

【橘副学長】
・ボランティアで、企業の相談にのる等の地域貢献をされている先生も多いと思うが、それは非常に価値があることなので、そういったところから資金獲得に繋がればよいのではないか。
・国総群は外部資金獲得に向けての意識が医学群より低いため、先生方には今後も素晴らしい研究を続けていただきつつ、URAや事務部門と共同で、研究体制や支援体制を充実させていきたい。
 
【宮城副学長】
・研究費を多く申請していくことが重要である。

【梶原委員】
・横浜市大で考えられている研究や地域貢献であれば、総務省系に地域創生の大きなプロジェクトがある。採用されると、大学と自治体に資金が入るので、今後J-PEAKSの課題等を拡大するために、獲得を目指すのも良いのではないか。また、産学連携であれば、経産省のプロジェクトがあり、経産省が注力しているスタートアップに展開していくというストーリーで、予算を取っていくと産学連携もやりやすくなると思う。このように、文科省だけではなく、マルチに資金を獲得していくとよいのではないか。もしくは、地域連携から寄附も獲得していくなど、多角的に事業展開ができればよいと思う。

【清水委員】
・ブリティッシュコロンビア大学は、職員が教員の倍はいる。また、学生職員も職員と同じくらいいるため、日本の大学とは比べ物にならないほど研究サポートスタッフが多くいるということになる。これは日本全体の大きな課題だと思うが、研究力を上げるためには、サポートスタッフが充実していく必要があるので、横浜市大がその方向に進んで行くことを期待している。
・日本の大学は、教育機能と研究機能が一体になっており、組織上は機能分化していない。筑波大は、50年前から、教員組織と教育組織を分離し、教教分離体制を取っている。近年日本の大学でもそのような動きがあるが、教育組織を作ることで社会のニーズにも柔軟に応えられ、教員組織を作ると、教員を守ることに繋がる。研究力を上げるために、教員のスタンスを安定的なものにする必要がある。今後は同じ分野領域を共にする研究組織としての教員組織の構築を是非検討してもらいたい。
・日本は教育と研究、社会貢献、ならびに学内運営と医療行為に多くの時間とエネルギーを使っている。今後は、研究の教授や教育の教授など、教員組織のあり方を欧米などに学び、サポートスタッフの充実と教員組織の確固たる位置づけを改革の中で検討してほしい。
・松本大では、法人内に一般社団法人を作り、学外のホテル等と連携し、当大学で養成している運動指導士や保健指導士を派遣することで、企業の健康向上に役立てる、ヘルスプロモーション事業を一大事業として行うことになった。横浜市大のヘルスウェルビーイングとも同じ方向だと思うので、是非発展されることを願っている。

【松本都市社会文化研究科長】
・都市社会文化研究科はまちづくりや法・行政など社会問題を相対化、普遍化する学問分野の教員が多く、そういった部分で、研究に参加することができるのではないかと想定している。教員の意識改革という話があったが、学内の体制が整っても、その教員が動かないと難しく、教員の意識をどのように持っていくか、どのように協力を求めていけばよいのかが心配ではある。日本に二つとないヘルスウェルビーイングの拠点を作るという強い意志が教員に伝われば、協力を得ることができる。財政面のこともあり、外部資金を獲得していくことはもちろんだが、理念的な側面からも教員を説得していくことも重要ではないか。

【土屋データサイエンス研究科長】
・教員の意識改革について、教員へキーワードだけが伝わってくる。例えば、資金がない、今回であれば、ヘルスウェルビーイングに注力していく、というキーワードだけが伝わってきて、その背景や文脈が分かりにくいのが現状。ぜひ学長から全教員に向けて、本日のようなプレゼンテーションをしていただけると、教員も、なぜこのような方向に舵を切ろうとしているのかを理解できると思う。

【緒方医学研究科長】
・J-PEAKSが中身を伴って実施できたら本当に素晴らしい発展に繋がると思う。神奈川科学技術アカデミーでは、事務組織のサポートが非常に手厚く、事務組織のサポートの重要性を強く感じた。
・大学はオリジナルな研究を大切にし、伸ばしていく必要がある。素晴らしい先生方が集まっているにも関わらず、今回のJ-PEAKSも少なくとも基礎系教員は関わっておらず、状況もわからない。是非、オリジナルな研究を丁寧に育てていくことも大学として行っていただきたい。

【石川学長】
・J-PEAKSの申請は教員と職員の共同作業のため、対等の立場でこれまで進めてきた。是非これを本学の教員と職員が連動する、共同する一つのモデルとして作っていけたらと考えている。今回、「ヘルスウェルビーイング」とした最大の理由は、どの分野でも参加できる内容になっているということ。今後採用されたら、全学をあげてこのプロジェクトに対応していきたい。不採用であっても、研究支援体制は構築していきたいと考えている。

◆外部委員より以下のコメントがあった
・東工大(現:東京科学大)では、学長・副学長などの執行部が高頻度で各部局を回って説明会を行ったりし、各部局の意見を直接聞く機会を繰り返し持っているので、横浜市大でも是非行っていただきたい。また、外部資金獲得後、そこから出てくる間接経費や寄付金をオリジナル研究に活用し、研究を支援してもらいたい。そういった部分も含め、是非石川学長から全教員に向けて説明されると、賛同してもらえるのではないか。
・石川学長が述べられた教職協働のモデルを推進していくことに賛成する。設置基準の改正によって、教員や職員が一つになって、教育研究実施組織ということになった。横浜市大には、優秀な学生も多いと思うので、是非学教職協働のモデル化を目指してほしい。
・松本大では、ヘルスプロモーション事業で、毎年健康首都会議(松本大=首都)と題して講座や企業展示等を大規模に行っている。健康は人類共通の課題なので、幸せと豊かさをもたらす「ヘルスウェルビーイング」を実現して、J-PEAKSも採択されることを願っている。

◆学長より以下のコメントがあった
毎回貴重なコメントをいただき感謝申し上げる。とても身に染みるので、少しでも先生方に示していただいた方向性を実現できるよう、大学全体として力をあげていきたいと思う。       

以上

次回開催予定:令和7年2月4日(火)16:10~ Zoom開催(中継拠点:金沢八景ャンパス 第一会議室)

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