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第6回教育研究審議会

第6回教育研究審議会

議事録

日時:令和6年11月5日(火)16:10~17:29
開催形式:Zoom開催
中継拠点:金沢八景キャンパス 第一会議室
委員:石川学長、橘副学長、宮城副学長(議長)、小川副学長、大澤国際総合科学群長、本多共通教養長、
鈴木国際教養学部長、和田国際商学部長、佐藤理学部長、山崎データサイエンス学部長、
赤瀬医学部看護学科長、松本都市社会文化研究科長、白石国際マネジメント研究科長、
池口生命医科学研究科長、土屋データサイエンス研究科長、緒方医学研究科長、
田村附属市民総合医療センター病院長、嶋田木原生物学研究所長、古久保学術情報センター長、
山口先端医科学研究センター長、松井事務局長、森谷学長室長、小林学務・教務部長、黒部研究推進部長、
清水松本大学・松本大学松商短期大学部 学長
欠席:中島医学群長 兼 医学部長、立川生命ナノシステム科学研究科長、遠藤附属病院長、
梶原東京科学大学 教育研究組織 生命理工学院 教授

1前回議事録について
令和6年度第5回教育研究審議会の議事録について確認し、了承された。

2審議事項
(1)令和7年度 金沢八景キャンパス学年暦について
教務担当係長より、説明があり、審議の結果、承認された。なお、鶴見キャンパス・舞岡キャンパス・みなとみらいサテライトキャンパスとは共通で使用され、福浦キャンパスの学年暦は、医学教育推進課にて作成されること、入試・広報日程およびTOEFL-ITP等の日程については、今後変動する可能性がある旨が説明され、了承された。

【清水委員より今後の他大学との連携を検討するうえでの注意点等のコメント】
・山梨大学と山梨県立大学の際は、大学等連携推進法人という新しい枠組みの中で、共通の連携開設科目を設置するため、カレンダーを統一するまでに2年かかった。
・両大学の共通科目は、現在156科目あり、教養教育を中心に約7割が統一されている。
・一番苦労したのは、時間の統一化。その他、シラバスの様式の違いもあった。
・共通科目の教育の質保証という課題もあり、在職時に作成した客観的な指標や定性的な評価項目により、授業の質保証に取り組んでいる。
・日本は75年間セメスター制を敷いているのに、クォーター制やクォーター科目というのは違和感を感じる。
・初等教育のように1単位時間が規則で決まっていないため、多くの大学は90分で1単位時間は45分にしている。
筑波大は1単位時間50分で計算しており、大学によっては1単位時間40分にしているところもある。
・現在では、90分を2時間にカウントしている。中世の大学では、鐘が鳴ってから教員と学生が集まるまでに15分ほどかかり、そのクォーターアワーは1時間の中に含めて考えられていた。よって、45分を1時間としてカウントするのは、アカデミックの世界では根拠がある(実労働時間ではないが)。1単位時間45分というのは、歴史的に、あるいは慣行的に認められている。
・124単位のうち4単位は、新制大学ができて、実技と講義2単位ずつの体育が加わったことによる4単位である。1991年の大学設置基準の大綱化で、体育はその基準から必須ではなくなったため、本来であれば、全体の卒業単位を120単位に戻すべきだった。これは、4年間1日8時間勉強すると120単位になるという、平均的な労働時間で考えられた時間で、文科省が単位数を戻さなかったことは腑に落ちないが、そういった経緯がある。
・15回の授業+1回の試験というのは、2年前の設置基準の改正によって、試験期間を設けなくてもよくなり、平時の授業で行う確認テストや小テスト、プレゼンテーション等を総括評価して単位認定するという基準に変わった。試験を15回の外に出しても、中に含めてもよいということなので、横浜市大でも是非協議してもらいたい。
・今回の設置基準の改正で、卒業要件についても変更された。これまで四年制大学では4年以上で124単位以上が必要要件だったが、124単位以上の単位履修だけが求められ、後は各大学で定めることになった。4年以上いなくても卒業できるというのはグローバル化を推進するために考えられた改正であり、今後効果的に運用していけば、さらにグローバル化が進むだろう。

(石川学長より清水委員への質問)
・現在では山梨大と山梨県立大の連携推進法人よりも、緩やかな一体化も可能になるということだが、本学が近隣の他大学との連携を考えたときに、まず進めるべき第一歩は何か。
→2年前の設置基準の改正で、連携推進法人の緩和が特例制度としてできたため、一般社団法人を作らなくても、大学間で連携協定を締結し、文部科学省の審査に合格すれば、連携開設科目も設置できるようになった。内部質保証のできている大学なので、横浜市大も問題ないだろう。今検討しているのは固定時間である。例えば月曜の1・2限に共通科目を持っていけば、学生の履修上のメリットがあるので、大学間で協議して固定時間割を設けることが推奨される。

(2)札幌医科大学大学院医学研究科と横浜市立大学大学院医学研究科との間における特別研究学生交流に関する協定書の締結について
医学教育推進課学務・教務担当係長より、令和2年度末をもって失効となっていた本学大学院医学研究科と札幌医科大学大学院医学研究科との間における協定書の再締結についての説明があり、審議の結果、承認された。なお、平成27年度締結時は、両研究科間における教育・研究に関する協定書及び特別研究学生交流に関する覚書をもとに特別研究学生交流を行うこととしていたが、今後は内容を一元化し「協定書」のみで運用される旨が説明された。

3報告事項
(1)学長裁量事業 第5期 学術的研究推進事業「YCU 未来共創プロジェクト」「若手研究者支援プロジェクト」の採択課題について
研究企画担当係長より、公募審査の結果、「YCU 未来共創プロジェクト」は4件、「若手研究者支援プロジェクト」は7件、採択されたことが報告された。

【清水委員よりコメント】
若手の研究を奨励することが増えていくとよいだろう。現在、松本大でも学内科研費と外部資金の両方を申請できるようにしてあるが、どちらも採択された場合は10万円支給するという制度がある。山梨大は、外部資金を獲得し、間接経費が30万以上の人は、その6%にあたる額を年末の給与として支給する制度も実施している。他にも、筑波大では、博士論文の主査には1件あたり6万円、副査には2万円ずつ支給しているが、このように、博士論文の指導に対して手当を設けることも研究力を上げるために良いと思うので検討してほしい。

【橘副学長】
「YCU 未来共創プロジェクト」は倍率も高く、新しいコラボレーションにも繋がり、非常に良い共同研究が立ち上がった。「若手研究者支援プロジェクト」は特に理学部は若手でネイチャーサイエンスも掲載された先生方ばかりだったので、今後にも期待したい。終了後はプロジェクトの報告会も重要だと思うが、その後どのようなプロジェクトに繋げられるかという評価までできればよいと思う。

【小川副学長】
「YCU 未来共創プロジェクト」は、学内のコラボレーションという形での応募であったが、6月頃の研究交流会で知り合った人たちが意気投合して応募してきたという案件が審査した中でも3チームほどあり、研究交流会が契機となり学長裁量費と結びつくことが興味深かった。

【大澤国際総合科学群長】
「YCU 未来共創プロジェクト」は実績主義ということで異分野の先生方が学内で連携しているところを重視して評価してきた。「若手研究者支援プロジェクト」は、理系・医系ばかりだが、既に外部資金を獲得している方々で、学長裁量経費も獲得できたというモチベーションでますます飛躍してほしい。年々スケールアップし、若手研究者の実力も上がっていることが客観的に分かった。

4意見交換
少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について中教審答申(中間まとめ)
菊池学務准教授より、中教審答申中間まとめへの反応と学費問題について説明がされた。
また、学術企画担当係長より、横浜4大学職員研修で近隣大学と以下のような意見交換が行われた旨の報告が
あった。
・私学では少子化に伴う学生確保は昔からの課題であり、今後も基本的に大学の規模を縮小するつもりはない
・横浜4大学で連携していくとしても、共通教養科目の基礎学力が異なることが課題として挙げられる
・リカレント教育など、ある程度の層が集まるところで4大学が様々なメニューを提供していくことはできるのではないか

【石川学長】
・2040年の18歳人口は現在の7割になると言われている。仮に国公私立すべて7割に減っていくとすると、国立大の入学定員に変化がなければ、これまでの国立大・公立大の入学者がすべて国立大に入学したとしても、国立大の入学定員が埋まらないと試算されている。こういった中で我々が何を考えていかなければならないかというのが大きな課題。
・仮に学生が7割になった場合、教職員も今ほど必要ない。適正水準も7割になるだろう。教職員は一度採用されたら原則定年まで在籍することになるので、すぐにいきなり定員を減らすことはできない。どのタイミングで教職員の定員を減らしていくかという極めて後ろ向きな議論も出てくる。
・そうならないためにどうすればよいか。学生数も教員数も維持し、大学を小さくしないために何をやっていったらいいのかを考えていかなければならないので、皆さんにも考えていただきたい。

【和田国際商学部長】
・全国データを見ても意味がない気がする。例えば、都市部では人口の割に、国公立を目指す学生は、かなり少なくな
ってしまっている。
・国際商学部は、地方出身者が多くなっている。私立文系の3教科型と国公立の5教科型の入学後の学生の成績を調べてみると5教科型の方が遥か上に来る。ところが、河合塾の2025年度のランキング表等を見てみると、横浜市大の3教科型の上には東大、一橋大、京大、大阪大しかいないほど難易度が高いが、5教科型の方が入学後の成績が良い。こう見ると、特に都市部の私立の教育が日本の教育をダメにしているのではないか、とかなり強く感じている。
・文系と理系では話が異なり、人口の割に都市部の理工系や、5教科型の社会科学系が少ないという状況があるのではないか。全国データではなく、特に都市部の教育がいかにあるべきなのかということも議論していただきたい。
・都立大と大阪公立大が授業料を無料にした。今後名古屋や横浜の動きがどうなるか気になっている。横浜市もそうだが、博士号を持つ市長が選出されると都市部の公立大学の方向性を変えてくる可能性があるのでないか。私立に対して、国公立が質の高い教育をどうやっていくべきなのかという視点が欠けている。お金の話だけでなく、地域ごとの話もしないといけないのではないか。

【佐藤理学部長】
・社会人でリタイアされた方々で、リカレントではなく、大学にもう一度入って勉強したいという方もいるが、大学入試というハードルがあってなかなか挑戦できないという現状がある。そのため、欧米型のように入学のハードルを下げて、卒業を厳しくすることで、そういう方を受け入れる道もあるのではないか。そのような方は熱心に勉強されると思う。多少時間がかかっても、若い学生と一緒に勉強することで、若い学生たちにも良い刺激になると思う。

【山崎データサイエンス学部長】
・企業にいた身として考えると、子供が減るから大学も減るべきだ、成熟しきった縮小する市場で企業をどうやって残し続けるかと議論することはありえない。普通ならM&Aなどをしつつ、企業が減っていくのが当たり前なので、文科省の議論や私学のように国が補助金を出して経営を持たせるというような発想はおかしいと思う。
・学生数が減るということは、需要も減っているので供給も減らすしかない。ただし、質のよい供給の維持は必要であり、質の競争をして、質のよいところだけ生き残るような文科省の施策が必要な気がする。
・和田国際商学部長の話からもあったように、首都圏の私立文系は質のよい供給をしているのかよくわからない。大学の質で評価する指標を元に、質で淘汰させ、基準に到達しない大学は縮小されるなど、今後は淘汰されるべきだと思う。

◆外部委員より以下のコメントがあった
・石川学長の問題提起は非常に重要な課題だと思う。アメリカでも30年前に大規模な経費削減があり、その時の生き残りの指標は、一番目に強力なリーダーシップ。二つ目が質的向上を目指した明確な将来計画の策定、三つ目に、世界レベルでその分野の存在意義や価値を明示すること、という定性的な評価と、客観的な指標としては、学生数、外部資金獲得数、全国的ランキングといったことが理事会のリストラ委員会の基準にあり、それに基づいて4つの学科が廃止される、といったような動きがあちこちで起こった。アメリカは、高等教育システムがパブリックセクターですみ分けができている。日本の場合は、そういったすみ分けができないまま、国公私立が同じように学部から修士・博士まで設置と乱立しているため、全体としてシステムの整理が必要だと感じている。
・学生も教員も減らさず教育の質を保つ一番の解決策は、教員組織と教育組織を分離すること。そうすると、教員の身分も安定するし、社会や時代のニーズに応じて自由に編成し直すことができる。現在のように学部学科に教員が張り付いている状況だと、石川学長が懸念する問題の解決はなかなか難しいのではないか。この教教分離という教員組織と教育組織を分離するというのは一つの糸口になるのではないか。

◆学長より以下のコメントがあった
筑波大は教教分離で成功している大学だと思う。私も様々な文献を読んだが、アメリカでは学部という概念がほとんどなく、教員と教育の組織がしっかり両立されていると思う。本学がどういった方向に進んだらいいのかまだわからないが、もうそんなに時間的余裕がないことがわかってきたので、学内の皆様、委員の先生方の知恵を絞っていただき、本学の生き残りについて引き続き検討していきたい。
以上

次回開催予定:令和6年12月3日(火)16:10~
Zoom開催(中継拠点:金沢八景ャンパス 第一会議室)

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