第5回教育研究審議会
議事録
日時:令和6年10月1日(火)16:10~17:38
開催形式:Zoom開催
中継拠点:金沢八景キャンパス 第一会議室
委員:石川学長、橘副学長、宮城副学長(議長)、小川副学長、大澤国際総合科学群長、
中島医学群長 兼 医学部長、鈴木国際教養学部長、和田国際商学部長、佐藤理学部長、
山崎データサイエンス学部長、赤瀬医学部看護学科長、松本都市社会文化研究科長、
白石国際マネジメント研究科長、立川生命ナノシステム科学研究科長、池口生命医科学研究科長、
土屋データサイエンス研究科長、緒方医学研究科長、嶋田木原生物学研究所長、
古久保学術情報センター長、山口先端医科学研究センター長、松井事務局長、森谷学長室長、
小林学務・教務部長、黒部研究推進部長、
梶原東京科学大学 教育研究組織 生命理工学院 教授、清水松本大学・松本大学松商短期大学部 学長
欠席:本多共通教養長、遠藤附属病院長、田村附属市民総合医療センター病院長
1前回議事録について
令和6年度第4回教育研究審議会の議事録について確認し、了承された。
2審議事項
(1)湘南鎌倉総合病院との包括連携協定の締結について
企画財務担当係長より、これまでも医療、研究における個別の連携・協力を行ってきた湘南鎌倉総合病院との包括連携協定の締結について説明があり、審議の結果、承認された。10/23(水)に協定締結式・記者発表を実施する方向で調整中との補足説明があった。
(2)東京大学大学院工学系研究科と横浜市立大学大学院医学研究科との間における特別研究学生交流に関する覚書の再締結について
学務・教務担当係長より、令和2年度末をもって失効となっていた本学大学院医学研究科と東京大学大学院工学系研究科との間における覚書の再締結についての説明があり、審議の結果、承認された。なお、先方からの提案により、それぞれの大学を主とするという理由から、内容は同一で大学名のみ入れ替えた形で2部の覚書が作成される旨が補足説明された。
3 報告事項
(1)医学教育分野別評価における認定結果について
医学教育推進課長より、医学教育分野別評価認定結果通知について報告された。
今後、認定証と評価報告書(確定版)が届く予定となっており、これにより、本学医学部が世界医学教育連盟(WFME)のグローバルスタンダードに基付く医学教育プログラムであると認定された旨の説明があった。
指摘事項の改善時期等の戦略はあるのかという質問に対しては、今後の関連会議にて検討を進めていく予定との説明があった。
(2)海外大学との交換留学協定書の更新について
国際交流担当係長より、メモリアル大学(カナダ)との交換留学協定書の更新について報告された。
本学からの派遣実績はあるものの受入実績がなく、メモリアル大学に確認したところ、学生の海外留学志向
が低いため、YCU学生の受入を続けたいという意向から更新にいたった旨の説明があった。
4 意見交換
少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について中教審答申(中間まとめ)
菊池学務准教授より、中教審答申の内容や状況・課題について説明がされた。
【梶原委員】
・日本の人口減少回避について2000年に国連で考えられているが、2000年現在の人口を維持するためには、総計1700万人の移民が必要となり、外国人の割合は2050年に約18%になると試算された。
・しかしながら、近年の出生率急減に伴い、現在の人口を維持するためには、年間75万人程度の外国人の移民が必要になり、2100年には外国人の割合が44%になるとされ、現在の人口を維持するのは難しいとなっている。
・人口戦略会議では、様々なケースが想定されているが、2100年に8000万人の人口を維持するパターンが有力視されており、それによると、出生率が少し増加したとしても、外国人の割合は10%が必要となる。(現在は2.3%)
・東工大(現:東京科学大)では、人口減少を見据え、特に学部の留学生の受け入れを10年以内に10倍に増やす方針を打ち出している。大学院は留学生の割合が増えてきているが、学部は割合が低い。将来的には、10年ほどで、約1100人の学部生に対し、留学生は300人ほどにし、その後もその数を維持し続けていくという計画だが、本当にできるのかと学内に様々な声がある。一方で、初中等教育からバイアスがかかり、女性の学生が理系に進まない現状があるが、優秀な理系の人材を女性から確保するため、入学者の女性枠を増やすということも打ち出している。
【清水委員】
・松本大学は、地元学生が8割、地元就職も8割という地域密着型の小規模な私立大学だが、厳しい現状にあることは間違いない。
・現在では、文部科学省では専門学校の学位レベル化の動きがある。
・専門学校は生徒→学生となり、単位制度も導入され、特別の専攻科も認められ、大学への接続と大学院への接続が考えられており、専門学校を大学と同レベルに位置付けて国際発信しようとしているようなので、今後、専門学校も大学と同レベルの枠組みが発信されるだろう。
・文部科学省は、2040年代には、約920校ある私立大学のうち、2割にあたる約170校が不要になると想定している。
・少子化の対策として、1つ目の対策戦略は、リスキリングやリカレント教育に対する戦略計画を立てること。おそらく次年度の予算にリスキリングに関する大規模な補助金事業が入ると思われる。
・2つ目は、留学生。情報公開において特に強調されているのは、外国人留学生に関する情報公表。単なる数だけではなく、その学生が何を学びどこに就職し、活躍しているかというところまで公表するような方向で進められている。
・世界トップレベルの大学の留学生の割合の国際標準は、20%だが、日本でその割合に達している大学はないと思われる。ただし、それが1つの目安になると思うので、横浜市大も中長期的な対策を検討してほしい。
・現在、ベトナムやミャンマーで日本語を学ぶ学生が非常に増えている。日本の外国語関係のある大学も、ミャンマーにターゲットを絞り、日本語を学んだ学生を受け入れるという戦略を進めている。
・3つ目は、専門学校の大学レベル化に伴う受け入れについて。ただし、専門学校は学位ではなく称号になるので、大学側がどのように受け止め、受け入れていくのかを今のうちから準備しておくとよいだろう。
・筑波大学ではキャンパスインキャンパスを約14つくり、ダブルディグリーやジョイントディグリーを行っているが、日本で初めて、マレーシアに学位を与える分校を作り、開始された。
・山梨県立大学に在籍していた時に、山梨大学といち早く連携協定を結び、日本初の大学等連携推進法人を作った。現在では、山梨大を筆頭に、信州大、岐阜大、山口大、宮崎大、熊本大など、国立大学が中心となり、設置者を超えた大学等連携推進法人の枠組みを作っている。共通事項は、単位互換に代わる連携開設科目。現在山梨大では、大学院の科目を含めて156科目が共通の科目で、教養科目の7~8割は共通科目になっている。これによって、学生の履修の幅も広がり、高度化も図れるのがメリットの1つ。もう1つは、企業や自治体、団体を含めた地域連携プラットフォームの構築。この二つが、大学等連携推進法人の大きな目玉となっている。そういった中で、山梨大をはじめとする6つの大学は、補助金1~2億円で文理融合型学部や学科を作ることが進められている。
・相原前学長から、大学等連携推進法人について聞かれたことがあるが、横浜の場合は、横浜市立大学は横浜市立大学として確立しているので、横浜国立大学と大学等連携推進法人で連携する必要はないという話をした。現在は、設置基準の改正で特例制度ができたので、一般社団法人を作らなくても、複数の大学間で協議会や連携協定を結べば、連携開設科目も認められる。ぜひこの特例制度を使って横浜地区の国公私立大で協定を結んでみてはどうか。連携開設科目は様々な節約にも繋がる。カリキュラムを担当する人件費も減り、カリキュラムも精選されるので、連携協定を結び、連携開設科目、特に、教養教育中心に考えた方がよい。よって、必ずしも大学等連携推進法人に進む必要はない。
・山梨大と山梨県立大で協定を結んでよかった点は、教育上の利点はもちろんだが、共同調達ができたこと。例えば電気代を一緒に調達して山梨大は約2000万円、山梨県立大は約500万円節約した。人事交流や建物・宿舎等の共有も今でも行われている。
・また、山梨大では、学長主導のもとで徹底した節約を強力に進め、市場調査チームを結成し、高度な専門的知識を持った民間企業の経験者を配置し、医療機器等の学内の様々な機器を、徹底的に調査して調達した。その結果、1年間で6億円ほど節約できた。一方では、外に向けた改革、教育革新イノベーションが必要だが、他方では、前述のような連携によって節約したり、あるいは、市場調査チームを作って調査したりすれば相当の節約ができることを実体験してきたので、参考にしてほしい。
【鈴木国際教養学部長】
・社会情勢的にも国際化と地域社会との連携は力を入れていかなければならない分野だと思うが、運営交付金の削減によってその予算も削減されるのではないかという危惧がある。研究面では、企業との連携は共創イノベーションセンターの設置等でかなり強力に進んでいくと思われるが、その一方で地域貢献センターを核にして、もう少し幅広い意味での社会連携やリカレント教育の課題にもうまく組み込んだ体制づくりが必要ではないか。
・(清水委員への質問)横浜では、大学間のアカデミックカレンダーや登録スケジュールの違いが課題となり、単位互換がなかなか進まないが、どの大学が主導権を持って制度の課題を克服されたのか、アドバイスをいただきたい。
→山梨大と山梨県立大もカレンダーや授業の時限等異なっていたが、大学等連携推進法人を機に統一し、まったく同じにした。現在、山口大、山口県立大、山口学芸大の国公私立で大学等連携推進法人を作っており、そこでもカレンダーを合わせるようにしたと聞いている。オンデマンドを活用すればともかくだが、統一しないと、難しい。山梨でも対面とオンラインは併用しており、比較的距離も近いが共通のバスも購入した。信州大、長野大、佐久大の場合は、かなり距離があるので、オンラインに中心にならざるを得ない。そのためにも、特定の曜日・時間で固定時間割を作るなど、カレンダーや時間割にある程度の工夫が必要。
◆外部委員より以下のコメントがあった
・人口減少は間違いないので、今後対策の検討を進めてほしい。石川学長もおっしゃっているように、今後研究大学としてやっていくためには、研究能力の高い人材を増やす必要があるので、海外からの若手人材の獲得対策プラス国内での若手人材の研究力強化を並行して行ってほしい。
・兵庫県知事の兵庫県立大を無償化するという公約のように、横浜市長の英断を一方では期待する。
・大学自身がその質を上げる努力が必要だが、松本大の学長に就任して半年が経過したので、三本の矢ならぬ、3つの教育改革案と教職員に提示した。1つ目は、使命でもある地域貢献に関わること。2つ目は、教育と研究能力の向上に関わるもの。3つ目は、松本大の将来発展に関わるもの。この3つの柱で教育改革案提示し、具現化を進めている。
◆学長より以下のコメントがあった
本日の教研審は、いい意味で非常に刺激を受けた。意見交換では、菊池先生から全体の問題提起をしていただき、外部委員の先生方からも、具体的にそれがどう意味するのか、日本ではどういった対応をしているのか等改めてお話を伺い、非常にいい意味で背中がぞくぞくした。人口減少については、我々一つの大学で何かができるようなことではないが、本学がどうやって生き残っていくか、そして、研究の横浜市立大学としてのプレゼンスを保ちながら、どのようにこの地域、日本に貢献していくのかを改めて考えさせられた。感謝申し上げる。
以上
次回開催予定:令和6年11月5日(火)16:10~
Zoom開催(中継拠点:金沢八景ャンパス 第一会議室)
開催形式:Zoom開催
中継拠点:金沢八景キャンパス 第一会議室
委員:石川学長、橘副学長、宮城副学長(議長)、小川副学長、大澤国際総合科学群長、
中島医学群長 兼 医学部長、鈴木国際教養学部長、和田国際商学部長、佐藤理学部長、
山崎データサイエンス学部長、赤瀬医学部看護学科長、松本都市社会文化研究科長、
白石国際マネジメント研究科長、立川生命ナノシステム科学研究科長、池口生命医科学研究科長、
土屋データサイエンス研究科長、緒方医学研究科長、嶋田木原生物学研究所長、
古久保学術情報センター長、山口先端医科学研究センター長、松井事務局長、森谷学長室長、
小林学務・教務部長、黒部研究推進部長、
梶原東京科学大学 教育研究組織 生命理工学院 教授、清水松本大学・松本大学松商短期大学部 学長
欠席:本多共通教養長、遠藤附属病院長、田村附属市民総合医療センター病院長
1前回議事録について
令和6年度第4回教育研究審議会の議事録について確認し、了承された。
2審議事項
(1)湘南鎌倉総合病院との包括連携協定の締結について
企画財務担当係長より、これまでも医療、研究における個別の連携・協力を行ってきた湘南鎌倉総合病院との包括連携協定の締結について説明があり、審議の結果、承認された。10/23(水)に協定締結式・記者発表を実施する方向で調整中との補足説明があった。
(2)東京大学大学院工学系研究科と横浜市立大学大学院医学研究科との間における特別研究学生交流に関する覚書の再締結について
学務・教務担当係長より、令和2年度末をもって失効となっていた本学大学院医学研究科と東京大学大学院工学系研究科との間における覚書の再締結についての説明があり、審議の結果、承認された。なお、先方からの提案により、それぞれの大学を主とするという理由から、内容は同一で大学名のみ入れ替えた形で2部の覚書が作成される旨が補足説明された。
3 報告事項
(1)医学教育分野別評価における認定結果について
医学教育推進課長より、医学教育分野別評価認定結果通知について報告された。
今後、認定証と評価報告書(確定版)が届く予定となっており、これにより、本学医学部が世界医学教育連盟(WFME)のグローバルスタンダードに基付く医学教育プログラムであると認定された旨の説明があった。
指摘事項の改善時期等の戦略はあるのかという質問に対しては、今後の関連会議にて検討を進めていく予定との説明があった。
(2)海外大学との交換留学協定書の更新について
国際交流担当係長より、メモリアル大学(カナダ)との交換留学協定書の更新について報告された。
本学からの派遣実績はあるものの受入実績がなく、メモリアル大学に確認したところ、学生の海外留学志向
が低いため、YCU学生の受入を続けたいという意向から更新にいたった旨の説明があった。
4 意見交換
少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について中教審答申(中間まとめ)
菊池学務准教授より、中教審答申の内容や状況・課題について説明がされた。
【梶原委員】
・日本の人口減少回避について2000年に国連で考えられているが、2000年現在の人口を維持するためには、総計1700万人の移民が必要となり、外国人の割合は2050年に約18%になると試算された。
・しかしながら、近年の出生率急減に伴い、現在の人口を維持するためには、年間75万人程度の外国人の移民が必要になり、2100年には外国人の割合が44%になるとされ、現在の人口を維持するのは難しいとなっている。
・人口戦略会議では、様々なケースが想定されているが、2100年に8000万人の人口を維持するパターンが有力視されており、それによると、出生率が少し増加したとしても、外国人の割合は10%が必要となる。(現在は2.3%)
・東工大(現:東京科学大)では、人口減少を見据え、特に学部の留学生の受け入れを10年以内に10倍に増やす方針を打ち出している。大学院は留学生の割合が増えてきているが、学部は割合が低い。将来的には、10年ほどで、約1100人の学部生に対し、留学生は300人ほどにし、その後もその数を維持し続けていくという計画だが、本当にできるのかと学内に様々な声がある。一方で、初中等教育からバイアスがかかり、女性の学生が理系に進まない現状があるが、優秀な理系の人材を女性から確保するため、入学者の女性枠を増やすということも打ち出している。
【清水委員】
・松本大学は、地元学生が8割、地元就職も8割という地域密着型の小規模な私立大学だが、厳しい現状にあることは間違いない。
・現在では、文部科学省では専門学校の学位レベル化の動きがある。
・専門学校は生徒→学生となり、単位制度も導入され、特別の専攻科も認められ、大学への接続と大学院への接続が考えられており、専門学校を大学と同レベルに位置付けて国際発信しようとしているようなので、今後、専門学校も大学と同レベルの枠組みが発信されるだろう。
・文部科学省は、2040年代には、約920校ある私立大学のうち、2割にあたる約170校が不要になると想定している。
・少子化の対策として、1つ目の対策戦略は、リスキリングやリカレント教育に対する戦略計画を立てること。おそらく次年度の予算にリスキリングに関する大規模な補助金事業が入ると思われる。
・2つ目は、留学生。情報公開において特に強調されているのは、外国人留学生に関する情報公表。単なる数だけではなく、その学生が何を学びどこに就職し、活躍しているかというところまで公表するような方向で進められている。
・世界トップレベルの大学の留学生の割合の国際標準は、20%だが、日本でその割合に達している大学はないと思われる。ただし、それが1つの目安になると思うので、横浜市大も中長期的な対策を検討してほしい。
・現在、ベトナムやミャンマーで日本語を学ぶ学生が非常に増えている。日本の外国語関係のある大学も、ミャンマーにターゲットを絞り、日本語を学んだ学生を受け入れるという戦略を進めている。
・3つ目は、専門学校の大学レベル化に伴う受け入れについて。ただし、専門学校は学位ではなく称号になるので、大学側がどのように受け止め、受け入れていくのかを今のうちから準備しておくとよいだろう。
・筑波大学ではキャンパスインキャンパスを約14つくり、ダブルディグリーやジョイントディグリーを行っているが、日本で初めて、マレーシアに学位を与える分校を作り、開始された。
・山梨県立大学に在籍していた時に、山梨大学といち早く連携協定を結び、日本初の大学等連携推進法人を作った。現在では、山梨大を筆頭に、信州大、岐阜大、山口大、宮崎大、熊本大など、国立大学が中心となり、設置者を超えた大学等連携推進法人の枠組みを作っている。共通事項は、単位互換に代わる連携開設科目。現在山梨大では、大学院の科目を含めて156科目が共通の科目で、教養科目の7~8割は共通科目になっている。これによって、学生の履修の幅も広がり、高度化も図れるのがメリットの1つ。もう1つは、企業や自治体、団体を含めた地域連携プラットフォームの構築。この二つが、大学等連携推進法人の大きな目玉となっている。そういった中で、山梨大をはじめとする6つの大学は、補助金1~2億円で文理融合型学部や学科を作ることが進められている。
・相原前学長から、大学等連携推進法人について聞かれたことがあるが、横浜の場合は、横浜市立大学は横浜市立大学として確立しているので、横浜国立大学と大学等連携推進法人で連携する必要はないという話をした。現在は、設置基準の改正で特例制度ができたので、一般社団法人を作らなくても、複数の大学間で協議会や連携協定を結べば、連携開設科目も認められる。ぜひこの特例制度を使って横浜地区の国公私立大で協定を結んでみてはどうか。連携開設科目は様々な節約にも繋がる。カリキュラムを担当する人件費も減り、カリキュラムも精選されるので、連携協定を結び、連携開設科目、特に、教養教育中心に考えた方がよい。よって、必ずしも大学等連携推進法人に進む必要はない。
・山梨大と山梨県立大で協定を結んでよかった点は、教育上の利点はもちろんだが、共同調達ができたこと。例えば電気代を一緒に調達して山梨大は約2000万円、山梨県立大は約500万円節約した。人事交流や建物・宿舎等の共有も今でも行われている。
・また、山梨大では、学長主導のもとで徹底した節約を強力に進め、市場調査チームを結成し、高度な専門的知識を持った民間企業の経験者を配置し、医療機器等の学内の様々な機器を、徹底的に調査して調達した。その結果、1年間で6億円ほど節約できた。一方では、外に向けた改革、教育革新イノベーションが必要だが、他方では、前述のような連携によって節約したり、あるいは、市場調査チームを作って調査したりすれば相当の節約ができることを実体験してきたので、参考にしてほしい。
【鈴木国際教養学部長】
・社会情勢的にも国際化と地域社会との連携は力を入れていかなければならない分野だと思うが、運営交付金の削減によってその予算も削減されるのではないかという危惧がある。研究面では、企業との連携は共創イノベーションセンターの設置等でかなり強力に進んでいくと思われるが、その一方で地域貢献センターを核にして、もう少し幅広い意味での社会連携やリカレント教育の課題にもうまく組み込んだ体制づくりが必要ではないか。
・(清水委員への質問)横浜では、大学間のアカデミックカレンダーや登録スケジュールの違いが課題となり、単位互換がなかなか進まないが、どの大学が主導権を持って制度の課題を克服されたのか、アドバイスをいただきたい。
→山梨大と山梨県立大もカレンダーや授業の時限等異なっていたが、大学等連携推進法人を機に統一し、まったく同じにした。現在、山口大、山口県立大、山口学芸大の国公私立で大学等連携推進法人を作っており、そこでもカレンダーを合わせるようにしたと聞いている。オンデマンドを活用すればともかくだが、統一しないと、難しい。山梨でも対面とオンラインは併用しており、比較的距離も近いが共通のバスも購入した。信州大、長野大、佐久大の場合は、かなり距離があるので、オンラインに中心にならざるを得ない。そのためにも、特定の曜日・時間で固定時間割を作るなど、カレンダーや時間割にある程度の工夫が必要。
◆外部委員より以下のコメントがあった
・人口減少は間違いないので、今後対策の検討を進めてほしい。石川学長もおっしゃっているように、今後研究大学としてやっていくためには、研究能力の高い人材を増やす必要があるので、海外からの若手人材の獲得対策プラス国内での若手人材の研究力強化を並行して行ってほしい。
・兵庫県知事の兵庫県立大を無償化するという公約のように、横浜市長の英断を一方では期待する。
・大学自身がその質を上げる努力が必要だが、松本大の学長に就任して半年が経過したので、三本の矢ならぬ、3つの教育改革案と教職員に提示した。1つ目は、使命でもある地域貢献に関わること。2つ目は、教育と研究能力の向上に関わるもの。3つ目は、松本大の将来発展に関わるもの。この3つの柱で教育改革案提示し、具現化を進めている。
◆学長より以下のコメントがあった
本日の教研審は、いい意味で非常に刺激を受けた。意見交換では、菊池先生から全体の問題提起をしていただき、外部委員の先生方からも、具体的にそれがどう意味するのか、日本ではどういった対応をしているのか等改めてお話を伺い、非常にいい意味で背中がぞくぞくした。人口減少については、我々一つの大学で何かができるようなことではないが、本学がどうやって生き残っていくか、そして、研究の横浜市立大学としてのプレゼンスを保ちながら、どのようにこの地域、日本に貢献していくのかを改めて考えさせられた。感謝申し上げる。
以上
次回開催予定:令和6年11月5日(火)16:10~
Zoom開催(中継拠点:金沢八景ャンパス 第一会議室)