YCU 横浜市立大学
search

第10回教育研究審議会

第10回教育研究審議会

議事録

日時:令和6年3月5日(火)17:00~19:00
開催形式:Zoom開催
中継拠点:金沢八景キャンパス 第一会議室
委員:相原学長、中條副学長、遠藤副学長(議長)、橘国際総合科学群長、鈴木国際教養学部長、大澤国際商学部長、横山理学部長、山崎データサイエンス学部長、寺内医学部長、赤瀬医学部看護学科長、本多共通教養長、松本都市社会文化研究科長、白石国際マネジメント研究科長、佐藤生命ナノシステム科学研究科長、朴生命医科学研究科長、土屋データサイエンス研究科長、小川医学研究科長、榊原附属市民総合医療センター病院長、石川学術情報センター長 兼 研究・産学連携推進センター長、木下木原生物学研究所長、吉泉事務局長、
小林学務・教務部長、渡邉研究推進部長、梶原東京工業大学生命理工学院長・教授、清水聖徳大学学長特別補佐・教授
欠席:中島医学群長 兼 先端医科学研究センター長、後藤附属病院長、

1前回議事録について
令和5年度第9回教育研究審議会の議事録について確認し、了承された。学術企画担当係長より、大学設置基準についての委員からのご意見をふまえて、本学の状況と今後の対応について補足説明があった。委員より、今後も学内で色々議論してほしいとの要望があった。基幹教員について、主要授業科目をどのように学内で規定するか、また、教育課程の編成の責任について、会議のメンバーを誰にするかがポイントであること、単位計算方法について、看護や専門職に対する厚生労働省の意向もふまえて検討してほしいこと、卒業要件について、学則変更を伴うため、停学等の懲戒処分を受けた学生の救済措置というより、学修成果の把握を踏まえた検討をするとよいことが共有された。

2審議事項
(1)令和6年度計画(案)について
企画財務担当係長より、YCU Plan 20024および令和6年度計画(案)の教育研究関連計画について説明があり、審議の結果、承認された。令和6年度計画(案)の教育の4の【9】多様で優秀な人材の獲得と輩出の①「新学習指導要領に対応した入学者選抜の実施」と②「新学習指導要領に対応した入学者選抜方法周知のための広報活動強化」の取組内容について、2025年度入試要項を作成済みであり、それを使用して相談会や学校訪問を行うことで広報を強化していくとの共有があった。高校生のみならず、学内の教員向けへの説明、広報も行ってほしいとの要望があった。令和6年度も「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に再応募することを、今後、学内会議で周知してほしいとの要望があった。

(2)共創イノベーションセンターの設置について
研究・産学連携推進課長より、説明があり、審議の結果、承認された。当面は医学系の研究を中心に支援を行うが、将来的には全学に拡大していくとの補足説明があった。所掌業務の一つである「横浜臨床研究ネットワーク活性化による治験・臨床研究の促進」について、関心度の高かった順から記載しただけであり、後ろ向き研究等の相談も実際には受けている状況で、すべて含めた運営を考えているとの報告があった。

(3)YCU看護キャリア開発支援センターの設置について
学務・教務担当係長より説明があり、審議の結果、承認された。規程のタイトルに、「公立大学法人」がついている規程とそうでない規程が混在しているため、庶務担当に確認し正しい名称で統一すべきとの要望があった。センター長について、まずは2名体制で設置し、軌道に乗ってから1名体制とすること、診療部門では看護部長が、教育部門では看護学科長がセンター長になること、2つの部門を連携する上位会議である四者会議でガバナンスを効かせることが補足された。1名体制に移行する時期をあらかじめ決めておくとよいとの意見があった。東京工業大学では、センター長を1名に絞れない場合、担当理事をセンター長にし、副センター長を2名体制にした後、最終的に1名を決めることが説明された。長が2名の場合、物事を決めることが難しいのではとの意見があった。

(4)テルモ株式会社との産学連携基本協定について
知財・契約担当係長より説明があり、審議の結果、承認された。協定書の名称について、「包括連携協定」や「包括的基本協定」が混在していることについて、企業の要望を聞き入れることもあり、統一とならない場合があるが、今後整理していくことが補足された。

(5)YCU Student Award 2023 受賞候補について
学生担当係長より説明があり、審議の結果、承認された。学術研究分野の選考について、シニアの研究歴を持っている大学院生も推薦対象となり、学部生が太刀打ちできないことが議論となったこと、課外活動・社会活動分野の選考について、全学生による事前投票の結果と選考委員会での結果が必ずしも一致するわけではないことが今後の課題である旨、共有された。シニアの研究歴のある学生やベトナムからの留学生が受賞候補となったことは多様性も意識した顕彰となったことが補足された。将来的に大学院生と学部生の受賞候補枠を別に作ることについて、今後委員の中で時間をかけて方針を決めていくとよいとの意見があった。

(6)令和6年度 経済状況アンケートの実施について
学生担当係長より説明があり、審議の結果、承認された。アルバイトが学業の妨げとなっているかを把握をするため、学生本人の収入を問う設問があってもいいのではとの質問について、検討したいとの回答があった。アンケートの回答対象者に交換留学生を除いた留学生も含んでいることから、学生の多様化に向けて、充実した市大独自の奨学金制度を構築してほしいとの意見があった。

(7)人事委員会委員の選出について
人事担当係長より、教育研究審議会から人事委員会委員を2名選出することについて説明があり、審議の結果、承認された。慣例上、国際総合科学群及び医学群の担当副学長2名を選出してきたが、次年度の管理職人事が副学長含め、一部公表前であるため、委員の選出は学長に一任し、人事が公表された段階で適任者を選出し、その結果は後日事務局を通じて報告することが補足された。人事委員会について、合議制で決定していることが説明された。

3報告事項
(1)公立大学ガバナンス・コードへの適合状況の公表について
コンプライアンス担当課長より、報告された。本学の適合状況について意見がある場合、コンプライアンス推進担当まで連絡をしてほしいとの補足説明があった。最終的に、学長、理事長とも諮った上で意見を反映させていくことが共有された。原則3-1-3の「教育成果と学修成果の把握と可視化」の項目の文言について、大学機関別認証評価受審を見据え、ディプロマポリシーを踏まえた学修成果の可視化をレーダーチャートで明示している等の具体的な表記に変更したほうがよいとの意見があった。

(2)令和4年度全国学生調査(第3回試行実施)の分析結果について
学術企画担当係長より、報告された。教学IR活動への学生参画の内容について、7名の学部生と大学院生に、どのようなスキルや知識を身に付けると成長を実感できるか、どのような授業がよいか、将来の仕事に繋がるような知識が身についたと実感するには何が必要か等を学生目線で分析を行ってもらい、報告書を提出してもらったことが共有された。学生の報告書について、3月中にまとめる予定であるとの補足説明があった。結果の分析について、授業への出席(項目39)と予習・復習・課題など授業に関する学修(項目41)はセットで考えるべきであるとの意見があった。日本の大学の授業の構造的問題により授業時間数が多すぎるため、予習復習の時間も考慮すると労働基準法にも違反するような学修時間の要求となってしまう一方で、アンケート結果だけを見て日本と海外の学生を比した場合、勉強時間が少ないということで日本の国際的評価が下がってしまう懸念点があるとの説明があった。日本の学生は授業を多く受けていることを鑑みて、数値分析時は、留意してほしいとの意見があった。また、各学部の強み、弱みについて、以下のとおり、各学部長から報告があった。

【国際教養学部】
(強み)
グループワークディスカッションの機会(項目7)や文理を超えた幅広い知識(項目31)の部分で高い評価に繋がっている。人文社会科学系の幅広い関心を持った学生が集まっているので、授業形態の中で意見交流できる機会を確保していくことを学部内で引き続き議論していきたい。
(弱み)
少人数授業の機会がある(項目10)、大学施設を利用した自主学習(項目19)、海外大学とのオンライン授業(項目17)、インターンシップ(5日以上)(項目15)の部分で、低い評価となってしまった。少人数授業について、国際教養学部は比較的少人数の授業が多いが、オンライン授業から対面授業に転換していったことで、評価が低くなってしまったと考えられる。今後も数値を注視したい。海外大学の交流は、予算的に厳しいこともあるが、まだ十分でないため引き続き努力していきたい。インターン科目について、都市学系においては、独自に科目があるが、教養学系については、改善できるよう検討していきたい。

【国際商学部】
(強み)
授業内容の説明(項目4)、グループワークディスカッションの機会(項目7)、教員との質疑・意見交換(項目8)、オフィスアワー(項目13)について、学生から高い評価を得た。国際的な学修においては、海外留学・海外研修(項目16)、異なる文化圏の学生との交流(項目18)、外国語の読み書き(項目26)、外国語の聞く話す(項目27)について、高い評価を得ている。各教員が個別に学生と向き合っていること、英語で行う専門の授業の改善が見られたことが高い評価につながったと考えている。また、数理・統計・データサイエンスに関する知識・技能(項目28)についても、国際商学部の強みとなることが確認できた。
(弱み)
課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却(項目6)で、想像していたとおり、学生の評価が低かった。また、授業と直接関係しない自主学習(項目42)も不足している。今後、改善していきたい。

【理学部】
(強み)
特に研究指導における教員との質疑・意見交換(項目8)について、丁寧な指導を受けているという高い評価が得られた。各教員が丁寧に指導していることが確認できる。
(弱み)
課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却(項目6)について、評価が低かった。他大学と比して、理系のTA数が圧倒的に少ない。実験等の学生数が少し多めの授業、ゼミ以外の演習等において、レポート等の提出物にコメントをつけることができていない。少ないTAを工夫しながら活用していくべきと考えている。

【データサイエンス学部】
(強み)
数理・統計・データサイエンスに関する知識・技能(項目28)について、大幅に上回っていた。予習・復習など授業時間外に行うべき学習の指示(項目5)について、昨年度は平均以下であったが、今年度は平均以上へ改善した。シラバス改善に関するFDを実施したことが奏功したと考えている。強みを伸ばすために、企業連携の取り組みを今後も強化していく。
(弱み)
グループワークディスカッションの機会(項目7)が平均より大きく劣っていた。アンケート回答時は、コロナの影響があり、ゼミですらリモートで行っていたことが原因であろうが、今後改善すると考えている。また、グループワークを通じて学修する科目がデータサインエス学部にはなかったが、今年度より新カリキュラムとなり、PBL演習科目でグループワークを通じた課題探求科目を設置した。今後のアンケート結果に、反映されると考える。課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却(項目6)について、今後は、FDを通じて教員の意識を改善していきたい。

【医学部医学科】
(強み)
強みと強みを伸ばす点は、少人数教育と繋がりである。さらに強化するために、TBLやPBLを取り入れた科目を拡充していく。また、様々なバックグラウンドを持った学生が入学してくるため、コミュニケーションをさらにとっていく。
(弱み)
カリキュラムの自由度が少ないため、医学以外の知識や経験を得る機会が少ない。課題を解決するため、適切な授業数を検討していく必要がある。また、国際化を見据え、英語での症例発表を徹底する。医学科の回答率が低かったことについて、学生代表を通じて働きかけることを怠ってしまった。学生は、SNS等で連絡すると一致団結して対応してくれる雰囲気である。今後は、学生に働きかけて、回答率を上げたい。

【医学部看護学科】
(強み)
グループワークディスカッションの機会(項目7)、異なる文化に関する知識・理解(項目32)について、高い評価を得ることができた。
(弱み)
予習・復習など授業時間外に行うべき学習の指示(項目5)、課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却(項目6)の項目が、平均より少なかった。また、海外留学・海外研修(項目16)、海外の大学等が提供するオンライン授業(項目17)の項目も、評価が低かった。予習や復習等の授業外に行うべき学修の指示を組織的に共有し実行していくことを検討する。次年度以降、長期の海外研修が可能なキャリアを見据えた科目が開始されるため、関心の高い学生を海外研修や語学を学修できるよう積極的に指導していきたい。

(3)令和5年度国際総合科学群学部長賞及び共通教養長賞について
教務担当係長より、報告された。

(4)令和6年度JST「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」の申請について
学術企画担当係長より、報告された。

(5)パリ・シテ(旧パリ・デカルト)大学医学部との交換交流協定の更新について
医学国際化等担当係長より、報告された。

◆外部委員より以下のコメントがあった
・共創イノベーションセンターの設置について、産学連携が中心のプロジェクトだと認識しているが、市大が積極的に企業との連携を実施し、政府等資金への申請書にも、産学でチャレンジしている姿が顕在化し、企業名がどんどん入ってくると、後から政府(官)も支援しなければならなくなる。それくらいの気構えでやってほしい。
・「女子中高生の理系進路選択支援プログラム」の申請について、採択後の運営をする上で、中高大の一連の教育プロジェクトとして推進するとよい。一流の人間になるためには、1万時間の学修時間が必要である。例えば、研究者や専門職となるには大学と大学院の9年間で1万時間、医学部6年間と研修医で1万時間である。大学のみの学修の場合は、5500時間で1万時間に達しないが、中高を合わせると1万時間になる。中高大のプロジェクトとして、女性人材の育成をしてほしい。

◆学長より以下のコメントがあった
今年度最後の教育研究審議会であった。外部委員の先生方には、ご多用のところ貴重なご意見や文部科学省や国立大学の教育研究に関する情報などご紹介いただき感謝申し上げる。先生方には次年度も外部委員を引き受けていただくこととなった。来年度もご意見をいただきたい。学長最後の教育研究審議会となった。この4年間、色々と勉強させてもらった。皆様に感謝して、今回終えたい。

以上
次回開催予定:令和6年5月7日(火)17:00~ Zoom開催(中継拠点:金沢八景ャンパス 第一会議室)

法人情報Corporate Information