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第6回教育研究審議会

第6回教育研究審議会

議事録

日時:令和2年10月6日(火)16:30~17:50
開催形式:zoom開催 
中継拠点:金沢八景キャンパス大会議室
委員:相原学長、中條副学長、遠藤副学長(座長)、石川副学長(研究担当)兼 学術情報センター長、高山国際総合科学群長、寺内医学群長、佐藤国際教養学部長、大澤国際商学部長、篠﨑理学部長、汪データサイエンス学部長、益田医学部長、叶谷医学部看護学科長、小野寺共通教養長、齊藤都市社会文化研究科長、白石国際マネジメント研究科長、橘生命ナノシステム科学研究科長、朴生命医科学研究科長、田村医学研究科長、榊原附属市民総合医療センター病院長、木下木原生物学研究所長、下澤事務局長、小林学務・教務部長 兼 学長室長、渡邉研究推進部長、篠崎国立研究開発法人理化学研究所環境資源科学研究センター特別顧問、西村慶應義塾大学名誉教授
欠席:山中データサイエンス研究科長 兼 学長補佐(特命研究担当)、後藤附属病院長、折舘先端医科学研究センター長、井村学長補佐(国際化推進担当)

1前回議事録について
令和2年度第5回教育研究審議会(9/1)議事録について確認し、了承された。

2審議事項
(1) 神奈川県立循環器呼吸器病センターと公立大学法人横浜市立大学大学院医学研究科との連携大学院協定について
医学教育推進課学務・教務担当係長より、神奈川県立循環器呼吸器病センターと医学研究科との連携・協力に関する協定書と覚書を締結することについて説明があり、審議の結果、承認された。委員より、事務局機能についての確認があり、本学が中心となり運営していく旨、回答があった。

(2)横浜市立大学大学院生命医科学研究科と慶應義塾大学大学院薬学研究科との間における特別研究学生・協定研究生交流に関する協定書ついて
鶴見キャンパス担当係長より、生命医科学研究科と慶應義塾大学大学院薬学研究科との特別研究学生・協定研究生交流に関する協定を更新することについて説明があり、審議の結果、承認された。委員より、今後は本学の医学研究科との連携も検討してもらいたいとの意見があった。

3報告事項
(1)ウィーン大学との交流協定の更新について
グローバル推進室国際交流担当係長より、ウィーン大学との交流協定の更新について報告があった。

(2)学長裁量事業 学術的研究推進事業 新プロジェクトについて
研究企画担当係長より、学長裁量事業である学術的研究推進事業の新規採択プロジェクトについて報告があった。委員より、今回は人文社会科学系と医系の領域横断型の共同研究が含まれていることが、補足された。
委員より、分野が融合した研究プロジェクトは、継続が困難なケースが多いため、プロジェクト終了後の評価や、発展させていく仕組みが必要であるとの意見があった。また、大型の外部資金を取るための体力を付ける取組となることを期待しているとの意見があった。

4その他
(1)篠崎理化学研究所環境資源科学研究センター特別顧問の国際生物学受賞について
篠崎理化学研究所環境資源科学研究センター特別顧問の第36回国際生物学受賞について報告があり、篠崎外部委員より受賞についてコメントがあった。

(2)全国学生調査の結果について
令和元年度「全国学生調査(試行実施)」の結果について、各学部での検討結果について報告があった。
◇国際教養学部:評価が低かった項目について教授会で情報共有・意見交換を行った。ゼミなどの少人数講義では、提出物に赤入れをし、返却している。大人数講義では次回講義の冒頭で10分~15分程度教員かフィードバックを行っている。今年度の遠隔授業ではチャットによりリアルタイムで回答すると質問が続くなどの効果があった。

◇国際商学部:アンケート結果の大半が全国平均を上回っているが、問1の全国平均を下回っている4項目について、今後力点を置いていくべき点として学部内で共有した。主に英語で行われる授業に関する項目は評価が高く、英語による専門科目を選択必修としている効果が表れていると考えられる。また、授業外学習時間は平均を大きく上回っていることや、アルバイト・就職・部活・サークル等に関わる活動の時間が平均より上回っていることは、本学の学生の評価できる点であると考えられる。

◇理学部:補助的な指導については、ティーチングアシスタントを使って実験・レポートの指導や相談を行っている。実験ではレポートを課しているが、提出物へのコメントはできていないため、改善が必要である。また、実験・実習は個人で行うため、グループワークやディスカッションは少なくなる。英語で行われる授業については、外国人教員による授業やサイエンスライティングなど学生からの評価の高い科目も提供しているが、もう少し充実の必要があると考えられる。アルバイトの時間が全国平均より多い理由として、学費のためという可能性が考えられる。

◇データサイエンス学部:データサイエンス学部は対象外であったが、平均値より低い項目については、特に注意を払い指導を行うよう、学部内で共有した。
また、問4については平均より低い項目が多いため統計的分析を行った。ほとんどの項目で有意差は見られなかったものの、統計数理の知識・技能という項目においてのみ、看護学科は分布的にも有意差が見られた。

◇医学部医学科:医学科3年次はまだ座学の途中であり、授業時間が長い傾向が見られる。医学科生は就職活動をほとんど行わないため、項目によっては医学部の実情に合わないものがある。

◇医学部看護学科:統計数理の知識・技能という項目は全国平均より低いが、4年次で卒論研究を行う際にかなり時間を割いて指導を行っており、3年次生を対象とした本調査では低い値となったと考えられる。また「保健医療統計学」という講義では、令和2年度よりヘルスデータサイエンス専攻と連携し、知識の習得から実践という講義内容に変更して改善を図っている。共通教養科目の「データサイエンスリテラシーⅠ」の履修を推進しているが、必修科目と重なっており、履修者増が難しい。そのため、現在検討中の新カリキュラムでは、取得した統計的知識や技能を活用して研究分析を実施する科目を系統的に学べる予定である。キャリアカウンセリングについては、分野の特性上低くなる傾向はあるが、新カリキュラムでは、キャリア形成を意識した科目を設ける予定であり、改善されると考えている。
   
(3) レポート等の不正行為に係る学生生活アンケートの結果を受けて
学生生活アンケートの結果を踏まえ、共通教養および各学部・研究科の会議の検討結果について報告があった。
◇共通教養:全学部1年次の必修科目である教養ゼミでは、研究不正防止の教育の第一歩として、レポートの書き方、引用の方法、剽窃・捏造にかかる指導をしてきた。今年度は遠隔授業への対応として、学術情報センターの協力を得て、動画の教材を作成した。本年9月に教養ゼミのFDを行い、オンライン授業では、学生が意欲的であり、レポート指導も丁寧に行われていることが共有された。

◇国際教養学部・都市社会文化研究科:設問の文言が「これまで『不正行為』に関する何らかの指導を受けたことがありますか」となっていたが、設問の意図と違った理解で回答していると考えられるため、設問を見直す必要がある。1年次後期の基礎ゼミでは、学術情報センターと共同で講座を開始した。レポートを課す際には引用方法の指導を行い、剽窃への警告を行う、また剽窃チェッカーをかけた例を見せるなどの不正行為の指導を行っているなどの事例を共有し、後期の各ゼミにおいて再度注意喚起をすることとした。

◇国際商学部・国際マネジメント研究科:不正行為について、学部はゼミ、大学院は研究指導において指導を行っている。今後、入学してから卒業まで実施している指導の見える化を考えている。

◇理学部・生命ナノシステム科学研究科・生命医科学研究科:理学部では、基礎ゼミで研究不正に対する指導をしている。特に理数自主研究(理数マスター)では、研究活動を1年次から開始するため、大学院生が受けるAPRINのeラーニングを1年次に必修としている。2年次には、「科学の倫理学」、4年次には各研究室で個別指導をしている。生命医科学コースでは、3年次には、必修の「生命医科学演習Ⅰ」で、少人数グループで研究不正をテーマにした演習を実施、卒業研究でも同じように実施している。生命ナノシステム研究科では、eラーニングの受講が義務付けられており、「生命ナノシステム科学総論」「生命ナノシステム科学概説」の中で研究倫理不正等の講義だけでなく、意見交換や感想を文章で提出させる等の指導をしている。生命医科学研究科博士前期課程では、必修の「生命医科学特別講義」で外部講師による研究不正をテーマにした講演を行っている。博士後期課程では「サイエンスマネジメント講究」で研究不正についての講義を実施している。アンケートの設問については、学生の受け取り方や意識を学生に確認する必要があると考えている。

◇データサイエンス学部・データサイエンス研究科:学部・研究科共通で「情報倫理・コンピューター利用ガイドライン」を策定した。1年次の必修「統計の数理Ⅰ」ではデータガバナンス、データバイアス、普遍的な倫理規範について講義の中で取り上げている。「調査設計論」では一年前にあった統計不正の事例について、倫理、プライバシー、セキュリティについて講義を行っている。3年次には、PBLという企業での実習に際し、全ての学生に誓約書を書かせている。学部では卒業論文作成の際に、大学院では研究発表や論文作成に際し、研究不正がないように指導教員による指導を行う。

◇医学部・医学研究科:研究不正や教育にかかる主要な教員で打合せを行い、医学部のアンケートに答えた学生数が一桁であることから、現状を適切に把握するため、新たにアンケートを行うこととした。学部生と大学院生では、質問のレベルを変えて作問し、回答率を上げるため、授業中に回答させる予定である。

レポート等の不正行為に係る学生生活アンケートの結果を踏まえて、今後の対応方針等について、研究基盤課長・学生支援課長より説明があった。学生アンケートの再実施について、予防倫理と志向倫理の考え方を踏まえた内容とし、学生の意識を上げるため、今後は学生生活アンケートとは切り離して毎年実施する。Microsoft Formsを活用し、学部・大学院で内容を分け実施するが、設問については、教員の意見を聞きながら作成するとの補足がなされた。委員より、教員が設問の確認に積極的に関わるべきである。研究不正や研究倫理の内容を含む授業を一度集計し、みえる化した上でアンケートを実施するという段階を踏むことで改善のサイクルにつながるのではないか。委員より、個人の相談窓口があるといいのではないか。不正行為にあたるかどうかというような時の対応など、第三者的に判断する部署があると、不正防止につながるのでないかとの質問があり、相談窓口はなく、指導教員へ相談することになっているとの回答があった。また、学術情報センターのレファレンス担当に相談するという方法があるが、不正行為の窓口ではないため、第三者的な相談窓口、連絡先を設ける事は検討すべきとの回答があった。委員より、学生が授業を聞くだけでなく、確認テストや、不正指導を受けてどう思ったかなど、能動的に作業をさせることで、記憶が定着するのではないかという意見があった。委員より、教育的立場とプロの研究者としての立場は違い、研究者であればコンプライアンス窓口でよいが、学生の場合は相談窓口が別に必要である。高校でのレポート作成との違いを指導する必要があるとの指摘があったが、特にインターネットでの検索は注意が必要とのコメントがあった。委員より、アンケートの実施を再度するのは良いが、その前に研究室での研究不正について意見交換をするなどまず学生への指導を行ってから実施すべきではないかとの意見があり、学長からアンケートの準備を進めながら、現場での取組も両方同時に進めてもらいたいとの回答があった。

・学長より以下のメッセージがあった。
来年度のカリキュラム編成が始まっていることと思います。その際、各教員に理解して欲しいことは、教員のエフォートは一律ではない、ということです。教育も研究もどちらが重要ということではなく、教員の長い何十年かのキャリアの中でそれぞれ旬があり、今は、研究に力を入れる方、教育の経験が豊富で、学生に慕われ、よく教えてくださる方、大学の運営に力を尽くされる方、それぞれの役割に応じたエフォートの分配があると思います。原則5コマの授業と言っていますが、それは目安であって、それ以上でもそれ以下でもいけないという訳ではありません。ただ教育がゼロというエフォートはないと思います。優れた研究をされている方は、魅力的な教育もされると思います。本学は専門学校でもなければ研究所でもありませんので、教育も研究も必要ですが、エフォートの配分は各学部または研究科でどうしたら一番進歩・活躍できるかを考慮し、各教員のバランスを考えていただきたいと思います。

以上
次回開催予定:令和2年11月10日(火)16:30~金沢八景キャンパス 大会議室(予定) 
第6回教育研究審議会

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