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附属2病院における新型コロナウイルス感染症への対応

附属2病院における新型コロナウイルス感染症への対応

附属病院(左)、附属市民総合医療センター(右) 附属病院(左)、附属市民総合医療センター(右)
横浜市立大学附属病院と附属市民総合医療センターは、市民に最先端で高度な医療を提供する医療機関として、また、市民の健康と命を守る最後の砦として、合計約1,400床の規模で日夜診療にあたっています。
今般の新型コロナウイルス感染症の爆発的流行においては、ダイヤモンドプリンセス号の重症患者の受け入れに始まり、横浜市内の重症・中等症患者受け入れの中核的医療機関として積極的に患者の治療にあたるとともに、横浜市のコロナウイルス感染症対策行政においても、患者搬送の調整等、様々な場面で新型コロナウイルス感染症に対応をしてきました。

ダイヤモンドプリンセス号での対応

横浜港に接岸した大型客船ダイヤモンドプリンセス号では、およそ3,700人の乗員・乗客のうち700人を超える陽性患者が確認され、多数の患者の搬送先が課題となりました。この時、新型コロナウイルスがどんなウイルスか、まだ未知な部分も多かったのですが、本学の附属2病院は重症患者を多数受け入れて治療にあたりました。また、本学救急医学教室主任教授・附属市民総合医療センター高度救命救急センターの竹内一郎センター長は、神奈川県DMAT(Disaster Medical Assistance Team 災害派遣医療チーム)の統括として、船内で発生した陽性患者を人工呼吸器が必要な重症者と、中等症者、軽症者にそれぞれ層別化して、搬送先を調整し、近隣の医療機関への患者の集中により医療崩壊が起きないよう、行政と連携して対応しました。

Y-CERTの取組み

横浜市は、横浜市新型コロナ対策感染症・医療調整本部、通称Y-CERT(Yokohama coronavirus emergency response team)を3月末に立ち上げました。ここでも、横浜市立大学から横浜市災害医療アドバイザーでもある竹内教授が中心となって、市全体の新型コロナウイルス感染症対策にあたりました。この組織は、横浜市の各部局横断的組織で、健康福祉局が感染者数を、医療局が市内の受け入れ可能病床数を、消防局が救急搬送数を、それぞれが持つ情報を集約し、俯瞰的に市内の新型コロナウイルス感染症患者の状況を把握し、市医療機関が医療崩壊を招かないようコントロールする重要な役目を担います。各医療機関の患者収容能力を見定めながら、通常の救急医療を止めることなく新型コロナウイルス感染症患者の受け入れを調整することに、本学救急医学教室は大きく貢献しました。
林市長による新型コロナウイルス感染症病棟の視察(附属病院) 林市長による新型コロナウイルス感染症病棟の視察(附属病院)

附属2病院の患者受け入れ

3月末頃から市中感染の拡大が懸念される局面となり、本学附属2病院はいち早く、新型コロナウイルス感染症専用病床を確保して、感染爆発に備える体制を整えました。その後も重症患者を中心に依頼された患者は全て受け入れ、これまでに疑い患者も含めると、2病院で180人以上(5月11日現在)もの患者の治療に対応。これは県内でも最大規模の受け入れ数です。一方で、大学病院にしかできない高度な医療を提供する使命も並行して果たすため、院内における感染対策を徹底し、これまで院内感染をゼロに押さえ込んでいます。
5月1日には、横浜市の林文子市長が附属病院を訪れ、病院の状況を視察するとともに、医療従事者との意見交換を行いました。そこで林市長は「ダイヤモンドプリンセス号の着岸以来、横浜市の病院の核となり、強い使命感を持って働いてくださっていることに、心より感謝しています。」と述べ、さらに「皆様の献身的な努力が、横浜市民の命を支えてくださっていることを実感しました。横浜市としても全力でバックアップしていきたいと思います。」と、横浜市立大学附属2病院の貢献への感謝を述べられました。

医学研究科における研究成果

横浜市立大学では、新型コロナウイルス患者さんの診療から得られた知見を学術的に発信するとともに、大学院医学研究科では、世界でも最高レベルの精度をもつ抗体検査および抗原検査を開発しました。今後、この検査法の医学的役割についての科学的検討を行いつつ、附属2病院も協力して、実用化に向けた研究を進めていきます。

今後は、第2波、第3波の感染拡大を十分に警戒し、大学病院として担うべき高度急性期医療と新型コロナウイルス感染症治療・研究の両立を図りながら、中核的医療機関として引き続き大学一体となって地域の医療を守り続けていきます。


(2020/5/26) 

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