第2期 平成22年度追加採択 研究開発プロジェクト
1.シーズ開発プログラム
プロジェクト名 | プロジェクトリーダー | サブリーダー | |
---|---|---|---|
18 | 免疫系転写因子ファミリーに着目したがんの病態解明と治療法開発 | 田村 智彦 (医学研究科 免疫学 教授) |
前田 愼 (医学研究科 分子消化管内科学 教授) 石ヶ坪 良明 (医学研究科 病態免疫制御内科学 教授) 遠藤 格 (医学研究科 消化器病態外科学 教授) |
19 | 新興・再興感染症に対する次世代ワクチンの開発型研究 | 梁 明秀 (医学研究科 微生物学 教授) |
後藤 隆久 (医学研究科 麻酔科学 教授) |
20 | 難治性小児がんの病態解析と新規治療法の臨床開発 | 横田 俊平 (医学研究科 発生生育小児医療学 教授) |
緒方 一博 (医学研究科 生化学 教授) |
2.先端研究推進支援プログラム
プロジェクト名 | プロジェクトリーダー | サブリーダー | |
---|---|---|---|
21 | 横浜市立大学を中核とした子宮頸がんの地域予防体制の構築 | 宮城 悦子 (附属病院 化学療法センター 准教授) |
佐藤 美紀子 (医学研究科 産婦人科学 助教) |
22 | 再生細胞治療センターを利用したGMP/TR支援拠点の整備 | 上條 亜紀 (附属病院 輸血・細胞治療部 准教授) |
谷口 英樹 (医学研究科 臓器再生医学 教授) 窪田 吉信 (医学研究科 泌尿器科学 教授) |
シーズ開発プログラム
免疫系転写因子ファミリーに着目したがんの病態解明と治療法開発
医学研究科 教授(免疫学) 田村 智彦
045-787-2612
免疫はがんを抑制する働きも、逆に促進してしまう働きも持っている。本研究では、Interferon Regulatory Factor(IRF)とNF-κBという、免疫とがんを繋ぐ二つの代表的な転写因子ファミリーに着目して、がんの新しい病態理解と治療法の開発に向け、固形がんと血液のがんに関する以下の研究を行う。
(1)炎症性腸疾患由来の大腸腫瘍:最近、多くのがんが炎症に伴って発症する事が示されている。IRFとNF-κBが、免疫応答においては分担・協調する一方、がんに対する作用においては逆に拮抗する可能性に着目し解析する。
(2)慢性骨髄性白血病(CML):IRFの発現消失が病態に深く関わっていると考えられるCMLについて、IRF発現消失の機序とその免疫学的影響を解析し、さらにはIRFの発現を回復させる方法を追求する。
(1)炎症性腸疾患由来の大腸腫瘍:最近、多くのがんが炎症に伴って発症する事が示されている。IRFとNF-κBが、免疫応答においては分担・協調する一方、がんに対する作用においては逆に拮抗する可能性に着目し解析する。
(2)慢性骨髄性白血病(CML):IRFの発現消失が病態に深く関わっていると考えられるCMLについて、IRF発現消失の機序とその免疫学的影響を解析し、さらにはIRFの発現を回復させる方法を追求する。
新興・再興感染症に対する次世代ワクチンの開発型研究
医学研究科 教授(微生物学) 梁 明秀
045-787-2602
近年新型インフルエンザや家畜の口蹄疫が流行し、エイズ、結核、ウイルス性肝炎などの患者数は依然として多く、これらの新興・再興感染症に対する国民や市民の不安は日々増大している。このような状況に対し、横浜市立大学として先端的な感染症研究を実施できる拠点を整備し、感染症対策を支える基礎研究、臨床研究および疫学的研究を集中的かつ継続的に進めて行くことが必要不可欠である。本研究プロジェクトでは、学内外のウイルス・感染症研究者が集結、連携し、当面の課題であるインフルエンザウイルス、エイズウイルスおよびがんウイルスの3つのウイルス感染症に焦点を絞り、基礎的知見の集積を基盤とした次世代ワクチンや新規の抗ウイルス薬の開発を目指した研究を行う。また、ウイルスと宿主の相互作用を分子レベルで詳しく調べることで、ウイルスの複製や増殖に必須な宿主因子を同定し、それらを標的とした新しいタイプの治療薬の開発を目指す。
難治性小児がんの病態解析と新規治療法の臨床開発
医学研究科 教授(発生生育小児医療学) 横田 俊平
045-787-2671
小児悪性腫瘍の病態を、腫瘍細胞と正常組織との相互作用という観点から明らかにし、その知見を新規治療方法に応用する。本研究では代表的な小児悪性腫瘍である急性白血病と神経芽腫をモデルとして利用する。神経芽腫細胞は骨髄ストローマ細胞に作用し、炎症性サイトカインのひとつであるIL-6の産生を促し、一方で産生されたIL-6が神経芽腫の増殖を促進していることが報告されている。IL-6をはじめとする液性因子や骨髄ストローマ細胞など正常細胞の存在が腫瘍細胞にどのような細胞内変化をもたらすか、また、化学療法や放射線療法に対する腫瘍細胞の応答にどのように影響を与えるかを解析する。小児がんの病態を単純にがん細胞レベルの解析にとどまらず、腫瘍細胞の存在によって引き起こされる正常細胞・組織の変化や免疫応答を含めて理解することにより、従来の治療法とはまったく異なる、より有効かつ障害の少ない治療法を開発することが目的である。
2. 先端研究推進支援プログラム
横浜市立大学を中核とした子宮頸がんの地域予防体制の構築
附属病院 准教授(化学療法センター) 宮城 悦子
045-787-2800(病院代表)
本邦における若年者の子宮頸がん罹患率の増加が社会的問題となっていることを背景として、横浜市立大学附属病院で2010年1月より「子宮頸がん予防外来」を開始した。本研究では、「子宮頸がん予防外来」でのワクチン接種者の動向および受診者のアンケート調査から、予防ワクチン接種率と検診受診率の向上の方策を検討する。本外来受診者の子宮頸がん予防への意識調査、子宮頸がん検診受診動向から明らかになる基礎データより、横浜市立大学附属病院を中核として、将来的に横浜市・神奈川県・全国の頸がん罹患率・死亡率の低下へと結びつく医療行政の取り組みに対して、実効力のある施策を提言していく。さらに、先端医科学研究センターと附属病院の自由診療外来との共同研究の新たな協力関係を構築する。
再生細胞治療センターを利用したGMP/TR支援拠点の整備
附属病院 准教授(輸血・細胞治療部) 上條 亜紀
045-787-2950
平成22年4月に横浜市立大学附属病院4階に、再生医療・細胞治療の実践に必要な施設(再生細胞治療センター)が完成した。再生医療を健全な形で根付かせるためには、医療関係者は常に安全性と倫理性を念頭に置くことが必要である。具体的には厚労省の【ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針】に従い、GMP(good manufactureing product)に準拠した、安全性の高い細胞を調整することが要求されている。当再生細胞治療センターはGMPに準拠した構造設備を有しているので、運用マニュアルを整備する。これを本学GMPの中心的存在とし、本学の基礎研究から創出されてきた技術を速やかに医療現場で検証・実用化するためのトランスレーショナルリサーチの実践の場とする。