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化学療法センター

抗がん剤

抗がん剤とは

抗がん剤とはがんに対する効果の期待できる薬剤の総称です。「化学療法」は、ほぼ抗がん剤と同義です。(「結核に対する抗菌化学療法」のように、化学療法が抗菌薬を意味することもあります)
抗がん剤は、殺細胞性抗がん剤(狭義の抗がん剤)、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の3種類に分類することができます。実際の治療の場合は、これらの薬剤から1つ~5つ程度を組み合わせ、副作用を軽減する薬剤と合わせた「レジメン」という単位で治療を行います。

殺細胞性抗がん剤とは

殺細胞性抗がん剤は、がん細胞が正常な細胞と異なる特性を持つことを利用して、がん細胞を標的とします。通常、がん細胞は異常に分裂し、急速に増殖しますが、殺細胞性抗がん剤はがん細胞増殖を抑制したり、がん細胞のDNAやRNAの合成を妨害したり、細胞分裂を阻害したりすることによって効果を発揮します。このため、がん細胞は死にやすくなり、腫瘍の縮小や制御が可能になります。
殺細胞性抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞にも影響を及ぼすため、副作用が発生することがあります。副作用は薬剤により違いがあり、また個人差もありますが、吐き気、嘔吐、脱毛、免疫抑制、骨髄抑制などが頻度の高い副作用です。

分子標的薬とは

分子標的薬(Molecularly Targeted Therapy)は、がん細胞に存在する分子標的(特定の分子、通常は蛋白質や酵素)を標的にする薬剤です。がんの成長や増殖を抑制することを目指します。
がん細胞に存在する特定の分子標的に対して高い選択性を持ちます。そのため、正常な細胞には影響を与えず、副作用を最小限に抑えることが期待されます。一般に殺細胞性抗がん剤より副作用が少ないとされていますが、皮疹、消化器症状、高血圧、肝機能障害、間質性肺炎などがみられることがあります。

免疫チェックポイント阻害薬とは

免疫チェックポイント阻害薬(Immune Checkpoint Inhibitors)は、がん免疫療法の一部として使用される薬物です。免疫チェックポイントとは、免疫系の正確な調節を助けるために存在する分子やタンパク質です。これらのチェックポイントは、免疫応答を制御し、免疫系が異常な攻撃を行わないようにします。しかし、がん細胞は免疫系から逃れるためにこれらのチェックポイントを利用することがあります。免疫チェックポイント阻害薬は、このプロセスを妨害し、免疫系ががん細胞を攻撃する能力を回復させることを目指します。
免疫チェックポイント阻害薬の副作用は、免疫関連有害事象(immune-related adverse event, irAE)と総称されます。ホルモン異常、皮疹、消化器症状、糖尿病などが頻度の高い副作用です。

抗がん剤投与について

投与経路

多くの抗がん剤は経静脈的に投与されます。椅子に座ったりベッドに横になっている状態で、腕に針を刺して点滴します。腕に点滴針の留置が困難な患者さんの場合、中心静脈ポート(CVポート)を留置する場合があります。
近年経口抗がん剤(内服抗がん剤)の種類も増えています。一般的な風邪薬や高血圧の薬と同じように、自宅で食後などに内服します。経口抗がん剤と、化学療法センターにおける点滴抗がん剤とを併用することもあります。
その他には、皮下投与といい、腹部(おなか)や大腿部(ふともも)の皮膚の下に注射で投与することがあります。皮下投与はワクチン接種でも用いられる方法で、数秒で投与が終了します。
特殊な投与方法として、インヒューザーポンプという特殊な器具を自宅に持ち帰り、自宅に帰宅した後も点滴投与を継続する方法もあります。

投与タイミング・目的

進行がんの患者さんの場合、進行がんの増殖を防ぎ、がんを小さくするために抗がん剤が用いられます。
外科手術を受ける患者さんの場合、がんを完全切除した際に残存している可能性のあるがん細胞を標的にした術後化学療法(adjuvant chemotherapy)、手術の前にがんを小さくして、手術を行いやすくする術前化学療法(Neoadjuvant chemotherapy)などの周術期化学療法を行うことがあります。
放射線治療部と協力して、放射線治療と抗がん剤を併用する放射線化学療法などの集学的治療が行われることもあります。
より効果が高く安全な治療を探索するため、当院では多くの臨床研究や治験を行っております。患者さんが臨床研究や治験の対象となる場合、必ず事前に主治医からの説明がありますので、ご不明な点は主治医にお尋ねください。

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