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化学療法センター

研究テーマ

新型コロナウィルス(COVID-19)によるがん診療への影響の研究

当化学療法センターの研究グループは、全国のがん患者の7割をカバーする院内がん登録の全国集計データのデータ解析を行いました。その結果、日本人で患者数の多い10がん種(食道がん・胃がん・結腸がん・直腸がん・膵がん・非小細胞肺がん・乳がん・膀胱がん・前立腺がん・子宮頚がん、以下10大がん)について、2019年度以前と比べた場合、2020年度・2021年度と連続して切除患者数(外科切除+内視鏡切除)が大幅に抑制されていることを確認しました。
 
Horita et al. Eur J Cancer. 2022 Apr;165:113-115。
Horita et al. J Am Coll Surg. 2023 Aug 1;237(2):380-381。
 
早期がんの切除は根治を目指せる重要な治療法となり、低用量胸部CT(肺がん)、便潜血(大腸がん)、パップテスト(子宮頸がん)、マンモグラフィー(乳がん)等のマススクリーニングは死亡リスクを減少させることが以前から知られています。そのため、感染対策がなされていることが前提ではありますが、本研究が健康診断実施・受診の促進に繋がれば良いと考えています。  

抗がん剤の有効性安全性に関する研究

抗がん剤治療は、臨床試験で評価されることが一般的です。しかし、個別の臨床試験では患者数が不足しており正確な評価ができない、臨床試験により条件が異なり結果が一致しない、などの問題があります。これらの問題を克服するためにシステマティックレビューとメタ解析という手法が用いられることが多く、医師の治療指針となるガイドライン作成にも必須の解析となっております。
当化学療法センターでは、システマティックレビューとメタ解析を用いたエビデンス作成に力を入れており、世界中に抗がん剤治療のエビデンスを発信しています。

Fujiwara Y, Horita N, et al. Lancet Oncol. 2024 Jan;25(1):62-75.
Fujiwara Y, Horita N, et al. Cancer Immunol Immunother. 2022;71(12):2837-2848.
Somekawa K, Horita N, et al. Ther Adv Med Oncol. 2022;14:17588359211058393.
Chen H, Katakura S, Horita N, et al. Ther Adv Med Oncol. 2022;14:17588359211065152.
Fukuda N, Horita N, et al. Thorac Cancer. 2022:84-94.
Fukuda N, Horita N, et al. Transl Lung Cancer Res. 2021;10(8):3550-3566.
Fujiwara Y, Horita N, et al. Eur J Cancer. 2021;150:168-178.
Fukumoto T, Horita N. Eur J Cancer. 2021;147:140-141.
Tateishi Y, Horita N, et al. J Thorac Oncol. 2021;16(4):677-685.
Chen H, Horita N, et al. Ther Adv Med Oncol. 2020;12:1758835920965841.
Ito M, Horita N, et al. Asia Pac J Clin Oncol. 2019;15(2):e3-e10.
Horita N, et al. Sci Rep. 2017;7(1):13185.
Horita N, et al. Sci Rep. 2016;6:18999.
Horita N, et al. Sci Rep. 2015;5:15437.
Horita N, et al. Transl Lung Cancer Res. 2015;4(1):8-14.
Horita N, et al. Clin Lung Cancer. 2013;14(5):488-94. 

抗がん剤の有効性を評価する指標に関する研究

近年の抗がん剤治療の進歩によりがん患者さんの生命予後(余命)は大幅に改善しています。抗がん剤治療の目的は患者さんが長生きできるお手伝いをすることですので、臨床研究では患者さんが治療により長生きできたかを評価することが基本です。しかし、余命が伸びたことにより観察期間が延長し、臨床研究の遂行が徐々に難しくなるという問題が生じています。
そのため、抗がん剤治療の臨床研究では、長生きできたかどうか(全生存期間, overall survival, OS)の代わりに、がんが小さくなること(客観的奏効率、objective response rate、ORR)がんが大きくならないこと(病勢制御、disease control、DC)、がんが大きくならずに長生きすること(無増悪生存期間、progression-free survival, PFS)を評価するようになりつつあります。しかし、これらの指標が長生きの指標として適切かどうかはっきりしない面があります。
世界中で行われている臨床研究の発展に寄与し、患者さんに適切な抗がん剤治療を提供できるようになることを期待し、抗がん剤の有効性を評価する指標に関する研究を行っています。
 
Horita et al. Cancers (Basel). 2022 Dec 28;15(1):185。
Chen, Horita, et al. Transl Lung Cancer Res. 2020 Aug;9(4):1333-1342。
Matsumoto, Horita el al. Transl Lung Cancer Res. 2021 May;10(5):2278-2289。
Nakashima, Horita, et al. J Thorac Oncol. 2016 Sep;11(9):1574-85。