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診療科・部門案内

脳神経外科

当科のご紹介

特定機能病院の指定を受けた大学病院の脳神経外科として、脳卒中や脳腫瘍、難治てんかんなど、多岐にわたる診療分野に対応しています。脳だけでなく、脊髄、末梢神経、眼窩腫瘍など、どこの科に受診もしくは紹介したら良いか迷われる場合も、ぜひご相談ください。

治療においては神経モニタリングやナビゲーションをはじめ、手術ロボットアームや3D外視鏡といった最先端機器を備えています。また、遺伝子診断にもとづく分子標的治療の提案や、国内の研究治療についての情報を得ることができます。

脳卒中に対しては、脳血管内カテーテル治療および開頭による直達外科手術の学会認定有資格者を複数配置しています。脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった一般的な脳血管障害だけでなく、希少疾患や高難度の治療、特に最新のデバイスを使用した脳動脈瘤治療や血管奇形(シャント疾患)に対しても経験豊富なスタッフが対応いたします。頭蓋底・後頭蓋窩腫瘍や小児脳腫瘍のように術者の経験値が求められる高難度手術の領域では、年間100件以上の開頭腫瘍摘出術の経験を有するメンバーが対応いたします。

私たちは、医学的なエビデンスを重視した診療の判断を提案します。また同時に、患者さんの仕事や学校、子育ての状況、ライフイベントを重視し、それぞれの立場をお聞きし、温かい医療を提供することをめざしています。治療方針の決定に際しては、十分な相談を行うことを心がけています。また、かかりつけ医の先生とも協力しながら、診断から治療、術後の外来通院まで、地域ぐるみで患者さんの健康と生活を守れるよう、全力で取り組んでおります。

患者さんへ

横浜市立大学附属病院・市民総合医療センターの脳神経外科は2つの病院が連携し分野ごとに高度に専門化されており、地域からご紹介を受け最先端・高難度の治療を行う役割を担っています。取り扱う疾患としては、脳腫瘍(良性・悪性)、脳卒中、神経外傷、脊椎脊髄末梢神経疾患、機能的脳神経疾患(てんかん、顔面痙攣、三叉神経痛、パーキンソン病など)、水頭症、小児神経疾患など、全ての脳神経外科疾患を網羅しています。高度な専門性を必要とする疾患に、領域ごとの専門医が最適な診断・治療を患者さんに提供しています。

主な対応疾患

カテーテル治療として一般に行われている血栓回収療法に加え、フローダイバーターやWEBを用いた新たな脳動脈瘤の治療、onyxやNBCA等の液体塞栓物質にコイルなどを組み合わせた複雑な脳動静脈奇形・硬膜動静脈瘻などのシャント疾患の治療など、高度な治療に対応しています。

横浜市立大学附属病院は、がんゲノム医療拠点病院の指定を受けており、当科でもがん遺伝子のパネル検査の診断に参加しています。手術では高い切除率と脳機能温存(安全性)の両立を目指し、ロボット支援手術、術中覚醒下手術や術中神経生理モニター、ナビゲーションシステム、術中蛍光診断を導入しています。研究治療として、摘出した腫瘍細胞を特殊な手法で培養して放射線や薬剤の感受性を確認し、個別的な治療方法を提案しています。また、小児の悪性脳腫瘍の治療も増加しており小児科の腫瘍グループと連携しながら対応しています。

経錐体骨法や経鼻アプローチ、眼窩アプローチの他、両側前頭葉下・半球間裂アプローチ、経テントアプローチをはじめ、深部、小児、脳幹部の病変に対する手術といった難易度の高い術式に対応しています。神経内視鏡や外視鏡、各種モニタリング、術前3D画像シミュレーションによる手術計画を導入しています。

薬剤抵抗性てんかん、すなわち複数の抗てんかん薬によってもてんかん発作が抑制されない状態には、正確な診断が不可欠であり、それに基づいた適切な治療が求められます。YCUてんかんセンターでは、主に長時間のビデオ脳波検査を通じて正確な診断を行い、薬の見直しや手術治療など、適切な治療方針をご提案いたします。驚くべきことに、薬剤抵抗性てんかんの2割以上の患者さんで、てんかんではないことが判明し、適切な治療方針をご提案することがあります。難治てんかんと診断が確定した場合、てんかん外科治療も一つの選択肢となります。脳梁離断術、焦点切除術、側頭葉切除術、迷走神経刺激装置植え込み術など、外科的に発作制御を目指した様々な手術を行っています。

顔面神経モニター、脳幹聴性モニターなど各種モニタリングを用い、手術顕微鏡・外視鏡・内視鏡を必要に応じて使用しながら、低侵襲に微小血管減圧術を施行しています。血管や癒着による神経圧迫が確実な方、長期間のボトックス治療で費用面・整容面で問題が生じた方、薬物治療の効果が安定しないか副作用で継続できない方、症状により生活や仕事の質に問題を生じている方が外科治療の対象です。

指導医1名、専門医1名が対応しています。顕微鏡・内視鏡を用い、安全性を第一に考えた治療を徹底しています。脊髄腫瘍の治療実績が多いことが特徴です。末梢神経疾患では、最も頻度の多い手根管症候群を始め、足根管症候群、胸郭出口症候群など幅広く対応しております。

対応疾患・診療内容の詳細

主な検査・設備機器

従来の手術用顕微鏡に代わる新たな手術用外視鏡を用いることで、今までアプローチが難しかった部位の手術をより安全に行うことが可能になりました。

手術用外視鏡の画像

MRIやCTで確認された病変の位置が、脳のどこに相当するかを可視化する手術支援機器です。この機器を手術などに用いることで、より正確で安全な手術の施行が可能となります。

手術支援機器の画像

ナビゲーションシステムと高度に連動した手術支援ロボットアームを用いることで脳深部の病変に正確に生検用穿刺針や頭蓋内電極を施入することができます。当院では世界で初めて深部脳腫瘍の定位生検術や定位頭蓋内電極留置術(SEEG)に本機器を導入しており、脳深部病変に対しても正確な手術を行っています。

手術支援ロボットアームを使用する様子

手術中に言語・運動・感覚・視覚・聴覚機能を守るために神経機能モニタリングを行います。当院では特に、言語機能を温存する手術では覚醒か手術も行っています。こうした先進的な手術を安全に行うために、本機器による神経機能モニタリングを行っています。

神経機能モニタリングの画像

関連情報

施設認定

診療実績

脳腫瘍 139
脳血管障害 31
外傷 36
奇形 5
水頭症 48
脊髄・脊椎 77
機能的手術 23
血管内手術 61
その他 9
合計 429
脳腫瘍 149
脳血管障害 40
外傷 38
奇形 3
水頭症 24
脊髄・脊椎 72
機能的手術 21
血管内手術 79
その他 17
合計 443
脳腫瘍 159
脳血管障害 32
外傷 31
奇形 3
水頭症 31
脊髄・脊椎 72
機能的手術 40
血管内手術 50
その他 11
合計 429
脳腫瘍 179
脳血管障害 93
外傷 30
脊髄・脊椎 38
機能的手術 25
その他 52
合計 417
脳腫瘍 198
脳血管障害 90
外傷 18
脊髄・脊椎 37
機能的手術 25
その他 47
合計 415

横浜市立大学医学部脳神経外科では横浜市立大学附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センターの2大学病院で高度先進医療を担っております。手術数は年々増加し、2017年度には2大学病院合計で700件を超え、2021までの5年平均でも年間700件を上回っております(放射線治療を除く)。この日本有数の診療実績を生かし、ますます安全で確実な治療の確立に貢献していきます。

手術件数内訳のグラフ手術件数内訳のグラフ