当科のご紹介
疾患別に専門外来を設け消化器外科全般における正確な診断、治療を提供します
診療は、1)食道、胃、2)大腸、3)肝、胆、膵、の疾患別グループを構成し、専門医が治療にあたっています。
外科というと、手術ばかりしているように思われがちですが、私たちは手術療法のみならず抗がん剤、放射線治療などを組み合わせて患者さんにとって最良の治療法を選択しています。また、手術に関しても「病気のところは取り除いたけれど、手術後、元の生活に戻れない」では困りますので、神経温存術、内視鏡下手術など、患者さんの負担の少ない手術に積極的に取り組み、患者さんの満足と治療成績の向上を目指しています。
患者さんへ
当診療科は、初診は紹介状が必要です。
・肝胆膵領域の悪性腫瘍(原発性肝がん、転移性肝がん、膵がん、神経内分泌腫瘍、胆道がんなど)の外科的治療・抗がん剤治療
・生体肝移植
・良性胆道疾患(胆石症、膵胆管合流異常症など)の外科的治療
・食道・胃の良性・悪性疾患の外科的治療、抗がん剤治療、放射線治療
・大腸(結腸・直腸)の良性・悪性疾患の外科的治療、抗がん剤治療、放射線治療
・その他小腸・後腹膜原発腫瘍の外科的治療など
これらの疾患を、各専門領域別に専門医が診療を行います
主な対応疾患
肝細胞癌、肝内胆管癌、転移性肝癌に対して治療を行います。当科では年間80例以上の肝切除を行っており、その高い技術力は評価されております。 他の病院で手術できない症例も化学療法や術前門脈塞栓、多段階肝切除により積極的に手術していますので是非ご相談ください。
また内視鏡外科技術認定医(肝臓)による低侵襲手術(腹腔鏡下肝切除)も行っており、難度の高い腹腔鏡下系統的肝切除も施行しています。 一方で安全性、根治性を担保するために複雑な術式の際は不向きな事も多くあります。 疑問などあれば担当医にご相談ください。
胆道悪性疾患の手術件数は年間40-50例程度であり、臨床、研究ともに日本でトップ施設のひとつです。他院では治療困難と判断されて患者さんも多く、消化器内科と連携して胆道ドレナージから、化学療法、手術、術後化学療法と幅広く行っております。
当科では術前の進行度に応じて、手術の前に化学療法を組み合わせる治療も積極的に行っています。 また、切除不能と診断された症例に対しても長期間の化学療法を行い、病勢が進行しなければ切除を検討するConversion surgeryを行っております。
当科では年間50-70例程度の膵切除をおこなっており、症例数は神奈川県内トップクラスです。膵癌は未だに根治が難しく難治癌のひとつに挙げられます。
膵癌の中でも切除可能、切除境界型、切除不能膵癌の大きく3つに分類されます。膵癌は術前に化学療法を行ってから切除を行うことが、ガイドラインでも推奨されています。切除可能性分類に従って化学療法の導入を行った後に切除を行うことを目指します。根治切除(R0)のため、血管合併切除を伴う膵頭十二指腸切除や腹腔動脈幹合併膵体尾部切除も積極的に施行しています。また、腹腔鏡補助下膵切除やロボット支援下膵切除も導入しており、適応症例には導入しております。
食道がんに対する治療法は手術、抗がん剤、放射線治療があります。手術については腹腔鏡・胸腔鏡を用いた低侵襲手術を基本としており、術後の早期回復を目指して周術期の腸瘻を用いた経腸栄養・ICU在室中のリハビリテーションを積極的に行っています。抗がん剤・放射線治療についても積極的に行っています。免疫チェックポイント阻害剤や放射線によるさまざまな副作用についてもきめ細かく対応します。
腹腔鏡手術・ロボット手術による手術創が小さい低侵襲手術を行っています。また最近増加傾向にある上部胃癌に対しては噴門側胃切除+ダブルトラクト再建、中部早期胃癌に対して幽門輪温存胃切除術など、今までは胃を全摘していたような場合でもできるだけ胃を残す手術を積極的に施行しています。これにより術後の体重減少や退院後の肺炎発生を予防でき、患者さんの術後のQOLを向上させることができています。
当科では開腹手術に比べて小さな傷ですむ腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術を積極的に取り入れ、患者さんにやさしい手術を行っています。
腹腔鏡下手術やロボット支援下手術では傷が小さく、痛みが少ない、手術後の回復が早いなどの特徴があります。またすべての手術には日本内視鏡外科学会で認定された技術認定医(大腸)が関わり、質の高い手術を行っています。
直腸癌に対する手術は、本邦では手術+骨盤内リンパ節郭清(骨盤内のリンパ節を摘出)が標準治療とされていますが、肛門に近く進行した下部直腸癌では、手術前の化学放射線療法(抗がん剤治療+放射線治療)を導入し、がんを小さくしてから手術することにより、できる限り自然肛門を温存し、術後のQOL(生活の質)が悪くならないような治療を行っています。また臨床試験では手術前の放射線化学療法後に手術を行わず肛門機能を温存する治療なども行っています。(詳しくは担当医にご相談ください)
対応疾患・診療内容の詳細
主な検査・設備機器
所要時間:3-8時間
入院期間:8-10日間
説明:肝細胞癌、転移性肝腫瘍またその他の肝腫瘤に対し、腹腔鏡下肝切除を施行しています。肝切除は特に腹腔鏡手術の利点を最大限に活かせる術式であり、創部が小さい以外にも画像技術の進歩により緻密な手術が可能となりました。
所要時間:3-6時間
入院期間:10-12日
説明:膵切除の中でも膵体部および尾部側を切除するいわゆる膵体尾部切除に関しては良性・悪性問わず腹腔鏡手術を施行しております。膵臓は腹腔内臓器の中でも背側に位置するため従来は20-30㎝程の大切開を要しましたが、腹腔鏡により創部が目立たずさらに、細い血管まで認識可能なので精密な手術手技が可能となっています。ロボット手術も保険収載されたため、積極的に導入しております。
所要時間:手術時間5時間
入院期間:2週間
説明:胃上部、中部にできた早期胃癌に対しては、以前は胃全摘術を施行していましたが、残せる胃はなるべく残すように、胃の上側を切除する噴門側胃切除や胃の真ん中だけを切除する幽門保存胃切除といった機能温存手術を腹腔鏡・ロボットを用いて積極的に行っています。
所要時間:手術時間3-6時間
入院期間:7-14日間
説明:直腸は狭い骨盤内の臓器であり、肛門を含め周囲臓器と隣接し、手術が難しい部位です。ロボット手術は、このような狭い空間での手術に有用であり、術前化学療法・放射線療法を組み合わせて行うことにより、可能な限り肛門温存を目指します。
関連情報
施設認定
- 日本消化器外科学会専門医修練施設
- 日本外科学会外科専門医制度修練施設
- 日本消化器病学会認定施設
- 日本肝胆膵外科学会 高度技能修練施設(A)
- 日本がん治療認定医機構認定研修施設
- 日本肝臓学会認定施設
- 日本食道学会食道外科専門医認定施設
- 日本消化管学会胃腸科指導施設
- 日本大腸肛門病学会認定関連施設
- 日本膵臓学会認定指導施設
- 日本臨床腫瘍薬学会がん診療病院連携研修施設
- 日本胃癌学会認定施設A
- 日本消化器外科学会 専門医制度指定修練施設
診療実績
疾患 | 術式 | 2022 | |
---|---|---|---|
食道癌 | 食道切除術 | 6 | |
胃癌 | 噴門側胃切除術(開腹) | 9 | |
噴門側胃切除術(腹腔鏡) | 1 | ||
幽門側胃切除術(開腹) | 4 | ||
幽門側胃切除術(腹腔鏡) | 8 | ||
幽門側胃切除術(ロボット支援下) | 7 | ||
胃全摘術(開腹) | 3 | ||
胃全摘術(腹腔鏡) | |||
大腸 | 結腸癌 | 開腹腸切除術 | 2 |
腹腔鏡下切除術 | 47 | ||
ロボット支援下切除術 | 11 | ||
直腸癌・肛門管癌 | 開腹直腸切除術(切断含む) | ||
腹腔鏡下直腸切除術(切断含む) | 5 | ||
ロボット支援下直腸切除術(切断含む) | 29 | ||
肝胆道 | 肝臓がん | 肝切除術(開腹) | 16 |
肝切除術(腹腔鏡下) | 17 | ||
胆管癌 | 18膵頭十二指腸切除術 | 18 | |
胆道再建を伴う肝切除 | 11 | ||
膵癌 | 膵頭十二指腸切除術 | 20 | |
膵体尾部切除術 | 8 | ||
膵体尾部切除術( 腹腔鏡/ロボット) | 11 |
疾患 | 術式 | 2021 | |
---|---|---|---|
食道癌 | 食道切除術 | 2 | |
胃癌 | 噴門側胃切除術(開腹) | 6 | |
噴門側胃切除術(腹腔鏡) | 3 | ||
幽門側胃切除術(開腹) | 14 | ||
幽門側胃切除術(腹腔鏡) | 3 | ||
幽門側胃切除術(ロボット支援下) | 2 | ||
胃全摘術(開腹) | 4 | ||
胃全摘術(腹腔鏡) | 1 | ||
大腸 | 結腸癌 | 開腹腸切除術 | 3 |
腹腔鏡下切除術 | 54 | ||
ロボット支援下切除術 | 2 | ||
直腸癌・肛門管癌 | 開腹直腸切除術(切断含む) | ||
腹腔鏡下直腸切除術(切断含む) | 57 | ||
ロボット支援下直腸切除術(切断含む) | 40 | ||
肝胆道 | 肝臓がん | 肝切除術(開腹) | 15 |
肝切除術(腹腔鏡下) | 16 | ||
胆管癌 | 18膵頭十二指腸切除術 | 24 | |
胆道再建を伴う肝切除 | 17 | ||
膵癌 | 膵頭十二指腸切除術 | 20 | |
膵体尾部切除術 | 17 | ||
膵体尾部切除術( 腹腔鏡/ロボット) |
疾患 | 術式 | 2020 | |
---|---|---|---|
食道癌 | 食道切除術 | 6 | |
胃癌 | 噴門側胃切除術(開腹) | ||
噴門側胃切除術(腹腔鏡) | 2 | ||
幽門側胃切除術(開腹) | 6 | ||
幽門側胃切除術(腹腔鏡) | 6 | ||
幽門側胃切除術(ロボット支援下) | |||
胃全摘術(開腹) | 5 | ||
胃全摘術(腹腔鏡) | |||
大腸 | 結腸癌 | 開腹腸切除術 | 4 |
腹腔鏡下切除術 | 49 | ||
ロボット支援下切除術 | |||
直腸癌・肛門管癌 | 開腹直腸切除術(切断含む) | 1 | |
腹腔鏡下直腸切除術(切断含む) | 12 | ||
ロボット支援下直腸切除術(切断含む) | 42 | ||
肝胆道 | 肝臓がん | 肝切除術(開腹) | 20 |
肝切除術(腹腔鏡下) | 12 | ||
胆管癌 | 18膵頭十二指腸切除術 | 16 | |
胆道再建を伴う肝切除 | 11 | ||
膵癌 | 膵頭十二指腸切除術 | 35 | |
膵体尾部切除術 | 28 | ||
膵体尾部切除術( 腹腔鏡/ロボット) |
疾患 | 術式 | 2019 | |
---|---|---|---|
食道癌 | 食道切除術 | 4 | |
胃癌 | 噴門側胃切除術(開腹) | ||
噴門側胃切除術(腹腔鏡) | 3 | ||
幽門側胃切除術(開腹) | 9 | ||
幽門側胃切除術(腹腔鏡) | 7 | ||
幽門側胃切除術(ロボット支援下) | |||
胃全摘術(開腹) | 2 | ||
胃全摘術(腹腔鏡) | 3 | ||
大腸 | 結腸癌 | 開腹腸切除術 | 4 |
腹腔鏡下切除術 | 34 | ||
ロボット支援下切除術 | |||
直腸癌・肛門管癌 | 開腹直腸切除術(切断含む) | 1 | |
腹腔鏡下直腸切除術(切断含む) | 16 | ||
ロボット支援下直腸切除術(切断含む) | 19 | ||
肝胆道 | 肝臓がん | 肝切除術(開腹) | 55 |
肝切除術(腹腔鏡下) | |||
胆管癌 | 18膵頭十二指腸切除術 | 15 | |
胆道再建を伴う肝切除 | 13 | ||
膵癌 | 膵頭十二指腸切除術 | 35 | |
膵体尾部切除術 | 28 | ||
膵体尾部切除術( 腹腔鏡/ロボット) |
疾患 | 術式 | 2018 | |
---|---|---|---|
食道癌 | 食道切除術 | 7 | |
胃癌 | 噴門側胃切除術(開腹) | ||
噴門側胃切除術(腹腔鏡) | 1 | ||
幽門側胃切除術(開腹) | 7 | ||
幽門側胃切除術(腹腔鏡) | 16 | ||
幽門側胃切除術(ロボット支援下) | |||
胃全摘術(開腹) | 9 | ||
胃全摘術(腹腔鏡) | 2 | ||
大腸 | 結腸癌 | 開腹腸切除術 | 8 |
腹腔鏡下切除術 | 41 | ||
ロボット支援下切除術 | |||
直腸癌・肛門管癌 | 開腹直腸切除術(切断含む) | 1 | |
腹腔鏡下直腸切除術(切断含む) | 23 | ||
ロボット支援下直腸切除術(切断含む) | 11 | ||
肝胆道 | 肝臓がん | 肝切除術(開腹) | 51 |
肝切除術(腹腔鏡下) | |||
胆管癌 | 18膵頭十二指腸切除術 | 4 | |
胆道再建を伴う肝切除 | 10 | ||
膵癌 | 膵頭十二指腸切除術 | 34 | |
膵体尾部切除術 | 13 | ||
膵体尾部切除術( 腹腔鏡/ロボット) |