YCU 横浜市立大学
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令和6年度学術院全体会開催報告

令和6年度学術院全体会開催報告

開催日

令和6年4月2日(火) 9:30~10:30

出席者数 

合計158名
※内訳
国際総合科学群:121名
医学群:37名

内容:方針説明

1. 学長挨拶
2. 副学長挨拶
3. 学群長挨拶

 学術院は全ての専任教員が所属する組織で、国際総合科学群、医学群から成り、教員はいずれかの学群に所属しています。学術院では全学的な視点から、領域横断的な研究や、新たな課題に対し、臨機応変に対応していきます。学術院および本学の方向性への意識を高めるとともに円滑な運営の推進のため、4月2日(火)に令和6年度学術院全体会を開催しました。

 当日は、石川学長以下、橘副学長、宮城副学長、小川副学長、大澤国際総合科学群長、中島医学群長から次のとおり挨拶及び方針説明が行われました。

会場写真
石川学長

石川学長

これからの本学にとっては、これまで経験したことがないようなピンチにどのように対応してくかが重要であり、限られた資源をどのように有効に使い、迫りくるピンチをどのようにチャンスに変えていくのかということが、一番大きな課題です。
 
現在、18歳人口減少や運営交付金削減の問題に直面しています。また、国立大学と公立大学、私立大学同士等の連携統合といった民間企業に見られるような大きな動きが加速化しています。国による医療・臨床研究拠点の整備の推進、DX化・データサイエンス・リカレント教育の需要が多くなっています。そのような中で、本学が生き残っていくために、取り組むべきことがあります。
 
本学の強みは、歴史ある中規模の総合大学であり、優れた研究実績があることです。また、我が国の大学の中でも先駆けて開設したデータサイエンス学部や医学部を有しています。反対に、本学の弱みは、宣伝力が不足していることだと考えています。これだけの実力があるにもかかわらず、宣伝力が不足しているため、「本学はトップクラスの大学である」という教職員の誇りが低いと考えています。
 
現在、本学では、医理連携、DS商連携、文医連携等が活発化し、様々な研究プロジェクトを申請する等、中規模大学のメリットを最大限に生かせる対応策がとれるようになってきています。
 
大学運営は、教員と職員の皆さんの両輪で成り立っており、お互いを尊重して運営していくことを基本的な考え方とします。学部間の融合は、文系理系という旧来的な枠にとどまらず、文理融合、領域横断を心がけていきます。もちろん、自前で行うのだけでなく、横浜市や企業等の外部の力も活用して、社会変化に柔軟に適応していかなければなりません。また、財政面において困難な場面でも、大学の教育研究を縮小する方向にはいきたくないと考えています。むしろ、このピンチをチャンスとして捉えて、外部資金を積極的に獲得して大学をより発展させていきたいと思います。補助金は、一つ獲得することができると、それが呼び水となり次の資金が獲得できる仕組みとなっています。「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に再申請し、「研究の横浜市立大学」を目標に取り組んでいきます。
 
令和6年度の最重要点課題は、データサイエンス学部・研究科の機能強化と産学官共創オープンイノベーション研究施設の整備です。データサイエンス学部・研究科の機能強化は、日本全体及び世界全体の大きなメガトレンドの一つです。そのメガトレンドをしっかりと追いかけていきたいと考えています。
 
本学も昨年から運営交付金の縮減が実施されました。大きなピンチですが、逆にチャンスと捉え、組織自体の効率化を図り、学内の皆さんの力を合わせてピンチを乗り越えて大学の機能を進化、成長させて大きく変えていきましょう。
橘副学長

橘副学長

今年度より副学長を拝命しました。大学全体を見て運営し、学長を支えていきたいと思います。
 
大学の存在意義は、研究あっての教育、地域貢献だと考えています。第4期中期計画にも、「研究の横浜市立大学」との記載があり、それに基づいて大学運営を行っていきたいです。「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の申請が今年度の一番の目標になると思います。
 
「COI-NEXT共創分野本格型プログラム」や「地域中核・特色ある研究大学の連携による施設整備事業」に採択されましたが、それに合わせて共創イノベーションセンターが設置されました。
 
「大学・高専機能強化支援事業」にも令和5年度に採択され、データサイエンス学部・研究科の強化のための施設設備整備費を含めた大型予算が割り当てられました。令和7年4月から研究科の定員増、令和9年4月から新データサイエンス学部の開設となります。先の話に思えますが、実際は準備期間がほとんどありません。データサイエンス学部・研究科の先生方を中心に全学的に進めていくことになります。
 
併せて、「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」も、令和5年度末に採択されました。これは、博士後期課程への進学率向上を企図した学生支援となります。3年前に開始した大学フェローシップ事業の後継プログラムで、開始時より博士後期課程への進学者が2倍近く増加しました。各研究科の先生方の想いが着実に現実に繋がっています。SPRINGは、本学の全6研究科が対象となるため、着実に進めていきます。
 
教育では、教育の質保証のため、3ポリシーに基づく特色出しを明確にしていきます。YCU-Boardの有効活用がまだ進んでいない面もあり、効果的な運用ができるよう取り組みます。データ思考を涵養するADEPTプログラムは、全学部をまたいだプログラムで、推奨していきます。グローバル教育も以前から実施している2Qプログラムや海外フィールドワークを拡充し、各学部の特色をより出していきたいです。リカレント教育では、社会のニーズに沿った企画をしていきたいと考えています。
 
研究は、一番重要な部分です。研究成果の創出と発信が重要になります。基礎研究の維持については、オリジナリティを出す上で非常に重要な基盤研究を推進し、新しい研究成果を創出できるように先生方にも認識してほしいです。また、オープンサイエンスが世界的な流れになっており、オープンアクセス、機関リポジトリの推進も重要になり、先生方に対応していただくこととなります。研究倫理の遵守にも対応していきます。
 
学内業務では、予算面でも厳しい状況の中、学部長・研究科長の先生方のリーダーシップで乗り切るようお願いしたいです。特に、教職協働と役割分担を見直し、人材の有効活用、適材適所、風通しの良い組織運営を進めていきます。
 
コンプライアンスの遵守、ハラスメントの防止に努めてください。特に、学生や院生は研究補助者ではなく、教育すべき対象であることを忘れず、教員間、教職員、学生と積極的にコミュニケーションをとってほしいと思います。
 
ピンチはチャンスということで、風通しのよい環境、研究重視で教育・地域に貢献できればと考えています。ご協力よろしくお願いします。
宮城副学長

宮城副学長

 医学群の副学長として、少し厳しいお話になってしまいますが、4つの取り組むべき事項についてお話します。
 
 まずは、「研究の横浜市立大学」を目指すということで、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の採択は、大学の発展のために必須です。なぜこの採択が必要であるかということを教職員の皆様の意識に浸透していたでしょうか。採択のためには、「ALL YCU体制」で、協働していく必要があります。
 
 それから、臨床研究中核病院の取り下げとなってしまった理由について、短期間で要件を充足しようとしたこと、特定の診療科のみが参画し全体で一丸となれなかったこと、臨床研究の論文の質が低かったことでした。厚生労働省より論文の質の低さが指摘されています。そのような中で、臨床研究中核病院を取ることができたら、本学のブランド力となり、研究実績のある大学として認めてもらえます。しかし、現時点で、論文要件や研究・治験数の要件が不足しています。臨床研究中核病院の申請は、諦めざるを得ないのではとの意見があることも事実です。もう一度、申請を目指す場合は、こちらも「All YCU体制」で一丸となりましょう。
 
 次に学生の教育についてです。これからは、多様性に柔軟に適応できる、グローバルな視野を持ち、社会で活躍する学生を育成することです。そして、卒業生や在校生に「YCU」の学生であることに誇りをもってもらうことが何より重要で、寄付にも繋がります。また、柔軟な様々な方向での大学の発信力も重要です。研究や学問というと難しく感じられてしまいますので、市民の目線で、情報を公開していきます。
 
 3点目に外部資金の獲得についてです。URA、共創イノベーションセンター、Y-NEXT、研究支援部門等が団結して、効率的に外部競争的大型研究費を取得していきます。産官学連携も必要です。また、寄付を集めるために、クラウドファンディングを活用することも一案だと考えています。本学のスポークスウーマンとして、情報発信をしていきます。
 
 最後に、女性職員の活躍支援と期待についてです。毎年発表されるグローバルジェンダーギャップレポートによると、日本は、今回もとても低い評価でした。また、日本、イギリス、韓国と比較すると、政治参画および経済参画で日本は最も低いです。経済参画というのは、労働参加率の男女比や賃金の男女格差や管理職・専門技術者の男女差となっていますが、日本の男性社会の伝統がまだ美徳としている風土が残っているのではないかと考えています。今後、大きく変わっていけるように、皆さんと一緒に頑張り、女性職員や女性教員も支援していきます。女性が働きやすい職場は必ず男性にとっても働きやすい職場となることは、長年の経験で確信しています。
 
 自分自身も精進し、力を発揮しピンチを乗り切りチャンスに変えていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
小川副学長

小川副学長

研究担当の副学長として、学内全体のことを考えていけるよう視野を広げていきたいと思います。
 
今年度は、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の申請を行い、採択されるよう取り組みます。経済的な利点があるだけではなく、一つの大きなプロジェクトで大学を盛り上げていくことは重要であります。
 
研究の目的とは、研究成果がどのように社会に還元されるのだろうと考えてみました。「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」のパンフレットには、「価値の創造」という言葉が多用されており、まさにそのとおりですが、言葉が少し飛躍しているように思います。まずは、自分の領域を深化させることを目指していくのが、日々の研究活動だと考えています。自分の領域を深めると、他の領域への理解も進みます。それが、研究をしてこそ得られる視点であると感じています。若い研究者の皆様には、研究経験をたくさん積んでもらい、大学院を目指す学生が増えるような取組を行っていきます。「研究の横浜市立大学」の実現に向けて、教員や研究者の研究生活が充実し、その研究が社会貢献やスタートアップに繋がり実現化していくことが理想です。
 
これから、どうぞよろしくお願いします。
大澤国際総合科学群長

大澤国際総合科学群長

学長、副学長の方針に沿った形で、学群の運営をしていきたいと考えています。
 
学術院の中には、国際総合科学群と医学群があり、教員はこのいずれかに所属しています。また、学術院規程に基づき、国際総合科学群と医学群の所属を移動することも可能です。
 
国際総合科学群の主な組織は、国際教養学部、国際商学部、理学部、データサイエンス学部、都市社会文化研究科、国際マネジメント研究科、生命ナノシステム科学研究科、生命医科学研究科、データサイエンス研究科です。教員の皆さんは、学部や研究科所属であるとの意識が高いと思いますが、国際総合科学群、学術院、市大のメンバーであることを念頭においていただくことで、学部間・学部内・大学院の研究教育体制の協力がスムーズに進んでいきます。国際総合科学群は、特に、領域横断的な教育研究の推進、学部間・学部内・大学院の研究教育体制の確立、全学的な取組が求められる分野への対応について、検討し意思決定をしていく場です。
 
学術院の機能は、4つあります。1つ目は、人事的交流の促進です。対面授業に戻り、先生方一人ひとりが顔の見える形でコミュニケーションを進めてほしいです。2つ目は、リソース・マネジメントです。各学部・研究科での適正な人材配置や新採用教員について、国際総合科学群としての方針を決定していきます。3つ目は、様々な問題解決です。研究教育や教員自身の問題を国際総合科学群の中で解決していきます。4つ目は、質の向上です。大学、学部、研究科の質向上に繋げていける取り組みをしていきます。
 
最後に、教員の考えを実現するための国際総合科学群における審議プロセスは、学部教授会、研究科教授会、各種委員会を起点とします。その後、学部長会議などに諮り、国際総合科学群調整会議、国際総合科学群運営会議で学群としての意思統一を行います。最終的には、教育研究審議会で審議や報告をします。このように、本学は、理事長、学長のリーダーシップのもと、すべて合議制で意思決定をしています。国際総合科学群長として、学群の意思統一を図ることに従事して参ります。一年間、よろしくお願いします。
中島医学群長

中島医学群長挨拶

医学部の状況は、病院を中心に非常に厳しい状況であります。医学部のミッションは、教育・研究に加え、診療、地域貢献が大きなファクターとなっています。神奈川県を中心に医師を派遣しており、非常に重要なミッションになっています。
 
本学に一番不足しているところは、グローバルレベルでの活躍の宣伝です。特に、医学系のグローバル連携を重視していきたいと考えています。
また、未来の主役になる研究が行われるような基礎系教室再編にも取り組むことが重要です。さらに、病院経営にも大きなメスを入れていく必要があります。病院経営が黒字になると、収入になります。運営交付金が削減され、2病院の建て替えも控えており、厳しい状況が待ち構えています。
 
先端医科学研究センター長時代に、コロナ禍での横浜は大都市であるにもかかわらず、感染症に対する発信力が非常に弱かったと感じました。感染症は、数年に一回起こっています。専門的な発信をするため、横の繋がりをもったデータサイエンスを活用できる新興感染症研究センターを設置しました。今年度は、さらに飛躍させていきます。
 
また、昨年、がんゲノム医療拠点病院に指定され補助金も獲得できました。専門家を引き抜いたのではなく、ゼロから立ち上げました。大学病院ならではの医療を提供することができており、取扱い件数も増加しています。現在、補助金が獲得できる難病拠点の申請が開始される予定です。どの大学も、難病センターを設置する等の準備をしている中、本学は準備が不足していますので、取り組む必要があります。
 
基礎と臨床の研究者が連携した7つのコアユニットを設置し、研究費申請時には、お互い顔が見えるような異文化交流を実施してきました。さらに、コアユニットの一つが独立し、神奈川県内での新興感染症研究の司令塔を目指して新興感染症研究センターが設置されました。来るべき新興感染症の再来に備えたセンターが横浜にはありませんでしたので、センターの設置は横浜市が大学を持つ大きな意義であると考えます。
 
看護は、ブランド化および発信力が特に重要になります。新たに設置したYCU看護キャリア開発支援センターを活かし、看護学科が附属2病院看護部と連携し、選ばれる大学となるよう取組を行っていきたいと考えています。
 
また、教員の博士取得率が低く、大きな課題になっています。博士取得率の向上に取り組まなければなりません。
 
最後に、病院経営問題では、非常に厳しい状況です。本学の全体像を見渡しつつ、医学群が変わっていけるよう取り組みます。痛みを伴いながら実行することを覚悟していますので、支援をお願いいたします。

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