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新学長就任インタビュー

新学長就任インタビュー!

2024年4月より学長に就任した石川義弘新学長は、横浜市立大学医学部在学中にイエール大学医学部への留学を経験。その後、コロンビア大学医学部、ハーバード大学医学部などで教員を経験してきたグローバル派です。これまで医学部循環制御医学教室の主任教授を務めた石川新学長に、就任の抱負や在任中のビジョンを語っていただきました。

「デジタル」「医療」「グローバル」という
現代のトレンドを網羅した5学部が結集


— 気候変動や紛争など世界は多くの課題を抱えています。さらに、社会のデジタル化、グローバル化もますます加速しています。現在の世界をどのようにご覧になっていますか?
世界はまさに『不確実性の時代』に突入しています。これは、1977年に刊行された経済学者ジョン・ガルブレイスの著書『The Age of Uncertainty』の邦訳ですが、約半世紀を経て、今まさにそんな時代が訪れている感じがします。 世の中のメガトレンドは見えるものの、マイクロトレンドは掴みづらく常に未来は予測できません。ここで言うメガトレンドとは、内閣府が提唱するSociety 5.0に代表されるようなデジタル化、グローバル化の流れなどが該当します。若い世代は、このメガトレンドを追いながら、変化に対応していく柔軟性を身につける必要があります。
実際、コロナ禍によって、社会のボーダーレス化は加速しました。オンライン会議で世界中の人々と瞬時につながれる環境は、20年前に大学に導入した高価ながら不安定なテレビ会議システムを知る人間からすると隔世の感があります。今後、デジタル化、グローバル化はますます加速し、インターネット上の電脳空間から情報を取り出し、活用するスキルがますます求められるでしょう。それはビジネスだけでなく、教育や医療などすべての現場が関係するものだと考えます。
— 変化が加速する世界において、横浜市立大学はどのような役割を担っていくべきだとお考えですか?

日本最大の基礎自治体である横浜市にキャンパスを構える横浜市立大学は、商学部と医学部をルーツとする大学です。その歴史は古く、1882(明治15)年に設立された横浜商法学校を起源とする横浜市立横浜商業専門学校と1944年設立の横浜市立医学専門学校(後の横浜医科大学)が統合し、横浜市立大学としての歴史を積み重ねてきました。その後、何度かの改組を経て、現在の5学部6研究科体制となっています。

明治初期に医学部のルーツとなる仮病院の設立・運営に携わった医師の早矢仕有的先生は、丸善(現在の丸善雄松堂株式会社)や横浜正金銀行を創業した起業家でもありました。そのアントレプレナーシップ(起業家精神)は、現在の横浜市立大学にも受け継がれています。 
この『不確実性の時代』において、横浜市立大学に求められるのは、横浜の地から日本、そして世界をリードするような人材を輩出することです。コンパクトなサイズが強みである本学は、少人数制の丁寧な教育が大きな特色です。そこに世界トップレベルの研究力が加わります。特にがん治療や遺伝子分野の研究論文は評価が高く、イギリスの高等教育専門誌Times Higher Educationの「世界大学ランキング」でも、被引用論文(研究影響力)で毎年高い評価を得ています。

横浜市立大学には、こうした学術研究の知見を実社会につなげる仕組みもあります。医学部を持つ本学には2つの附属病院があり、基礎研究と臨床の現場が強く連携しています。また、理学部やデータサイエンス学部でも医学部の研究データを駆使した共同研究が盛んです。国際商学部、国際教養学部ではグローバルな課題に挑む最先端の研究が推進されています。
「デジタル」「医療」「グローバル」という現代のトレンドを網羅した5学部が、互いに強く連携した学際的な学びを推進していきたいと考えています。
横浜市立大学で育成したいのは、
「自分の舞台を日本に留まらせない人材」
— 横浜市立大学の教育の特色はどのような点にあるとお考えですか?

横浜市立大学の特長は、なんといっても学生一人ひとりとしっかり向き合う教育です。まだ青い果実のまま入学してきた学生たちをしっかり熟成させて、社会に送り出すのが私たちの使命です。ここで力を入れたいのは、社会の「ゲームチェンジャー」となれる人材の育成です。これは、幅広い視野を持ち、常に新たな挑戦を続けられる人を指します。こうした学生を育成するために分野横断型の「ADEPTプログラム(AI Data Science Education Program for Tomorrow)」や「医療イノベーション人材育成プログラム」、「起業家育成プログラム」なども設置しています。

最近の学生を見ていて思うのは、英語に対して苦手意識のある人が減ったことです。私は25年以上前から医学部の授業を英語で行っているのですが、当初は英語で質問すると固まってしまうような学生が大半でした。ところが今は、流暢な英語で返してくれます。これは、横浜市立大学がグローバル教育を基盤とした大学であることが社会に浸透してきた証でもあるでしょう。実際、本学は3年次進級のための基準スコアとしてTOFEL-ITP500点を課すなど、全国有数の高いレベルで英語教育を行っています。
石川新学長が主任教授を務めた医学部循環制御医学講座
— 横浜市立大学で育成したい学生像を教えてください。

このグローバルな環境で育成したいのは、「自分の舞台を日本に留まらせない人材」です。社会のボーダーレス化はますます加速します。人口減少社会の日本では、AI化・ロボット化が進み、外国人労働者の受け入れも進むでしょう。外国籍の人と一緒に働くのは当たり前、英語を使うのも当たり前… そんな時代に活躍できるのは、働く舞台として日本と世界の違いなどまったく意識しないような人材です。

私も20代の頃から留学や海外生活を経験してきましたが、やはり自分の知らない世界との出会いは常に楽しいものです。英語の環境に慣れるのはもちろん大変です。異文化の中で苦労したこともあります。それでも自分の世界が広がっていく喜びに勝るものはありません。月並みですが、英語は単なる言葉です。アメリカに行けば、小学生も英語を話します。言語の壁など気にせず、在学中からどんどん世界に飛び出して、視野を広げてほしいと思います。
石川学長は1980年代に米イエール大学医学部留学を経験
学部間のボーダーレス化を推進
学際的な研究環境を構築する


— 学長在任中になし遂げたい目標やビジョンはありますか?

先ほどもお話しした通り、5学部が強く連携した学際的な学びの環境の創出です。世界トップレベルの研究実績を持つ医学部を擁するのは横浜市立大学の大きな強みです。さらに、歴史ある国際商学部は、地域との強力なネットワークを持ちます。国際教養学部、理学部、データサイエンス学部では、まさに「デジタル化」「グローバル化」をテーマとした最先端の教育・研究が進められています。これらの知見を融合することで、日本はもちろん、世界をリードするような大学を目指せると考えています。

私は横浜市立大学在学中の1980年代にアメリカ・イエール大学医学部に留学した経験があり、その後、コロンビア大学医学部やハーバード大学医学部などでも教員を経験しました。アメリカでは、その当時から学部間のボーダーはまったくなく、「医工連携」などの学際的な研究が進められていました。そんな仕組みを横浜市立大学でも構築していきたいと考えています。
— 最後に横浜市立大学に興味・関心のある高校生や保護者の皆さんにメッセージを。

横浜市立大学には、「デジタル」「医療」「グローバル」という現代の社会課題を解決する最先端の学びのキーワードが結集しています。

国際都市・横浜というロケーションも大きな強みです。日本を代表する港町である横浜は、さまざまな「日本初」を生み出してきました。幕末の1859(安政6)年に、外国との自由貿易の拠点として開港された横浜では、さまざまな文化が花開きました。日本初の鉄道が開通したのは、新橋〜横浜間。洋式ホテル、洋式公園、ガス灯などが持ち込まれたのも横浜でした。ほかにもビールや私の大好物であるアイスクリームも横浜発祥と言われています。

そんな日本を代表する横浜の地から「日本初」「世界初」を生み出す学生を育てたい。まさに、世界を変える「ゲームチェンジャー」を横浜市立大学から輩出していきたいと考えています。

横浜市立大学 学長
石川 義弘 (いしかわ よしひろ)

1959(昭和34)年3月生まれ。神奈川県出身。医学博士。日本及び米国医師免許登録。専門は循環制御医学。1984年 横浜市立大学医学部医学科卒業。在学中にロータリー財団の奨学金によりイエール大学医学部に留学。その後、コロンビア大学医学部助教授、ハーバード大学医学部助教授、ラトガース大学医学部教授などを歴任。在米中は大学での勤務の傍ら、大学病院で経済的困窮者向けの外来治療を担当。1998年より横浜市立大学医学部循環制御医学教室 主任教授。同大学院医学研究科長、医学群長、副学長、学術情報センター長、学長補佐などを経て、2024年4月より現職。

(2024/4/1) 

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