{

HOME  > 診療科・部門案内  > 診療部門  > 眼瞼下垂の外科的治療

眼瞼下垂の外科的治療

眼瞼下垂症は顔を正面に向けた時、まぶたが瞳孔(黒目)の上まで上げられない状態と一般的には定義され、生まれつきの先天的なものと年齢や外傷、手術、コンタクトの使用などによって生じる後天的なものに分かれます。
当院で手術を行うのは後天的なものになりますが、神経(動眼神経、交感神経)の異常、筋肉(眼瞼挙筋、ミュラー筋)の異常、筋肉と瞼の縁を作る軟骨を繋ぐ腱膜の異常、そして皮膚の異常が原因となります。その殆どが腱膜性で、まぶたを頻回に擦ったり、ハードコンタクトで圧迫したりすることで、腱膜が瞼板より外れたり薄くなり、神経も筋肉も正常なのに、まぶたが挙がらなくなります 。
また、皮膚性の場合には、加齢などで皮膚が緩みカーテンの様に眼を覆ってしまうことで視野の制限を生じます。
どちらの下垂でも視野制限を生じ、瞼が重くうっとうしく感じます。
代償性に額の筋肉を使って眼を開けようとするため、筋肉が緊張して頭痛や肩こりも生じやすくなると言われています。額に皺がより、眉毛が吊り上ります。

眼瞼下垂症の手術

腱膜性眼瞼下垂:挙筋短縮術

眼瞼挙筋の腱膜がはずれたり緩んだりして、まぶたを開けようとしても力が瞼板に伝わらない状態。
⇒眼瞼挙筋の力が残っていれば、外れた腱膜を瞼板の前面の元の位置に固定する手術を行ないます(挙筋短縮術)。


重度の腱膜性眼瞼下垂例:両側の挙筋短縮術

*術後にある程度の腫脹や内出血を生じますが、2-3週で改善します。
また、個人差がありますが、最終的にスッキリと落ち着くのに3-6ヵ月程度を要します。

皮膚弛緩性眼瞼下垂:皮膚切除+眼輪筋切除又は吊り上げ術

年齢や顔面神経麻痺などの疾患で皮膚が緩んで眼瞼が重くなったり視野制限を生じたりしている場合には、皮膚の切除が必要になります。
皮膚切除の幅が少ない場合は二重の皺に合わせて皮膚切除を行いますが、幅が大きい場合には眉毛の下で皮膚切除を行い(眉毛下皮膚切除)、必要に応じて眼輪筋の吊り上げも行います。
また、顔面神経麻痺の方には病的共同運動の合併を生じている場合もあり、その際にはボトックス治療の併用が必要になる場合もあります。


皮膚弛緩による眼瞼下垂:眉毛下皮膚切除+眼輪筋吊り上げ術

*術後の腫脹はそれ程強くありませんが、内出血を眼瞼周囲に生じることがあり、2-3週で改善します。皮膚切除を行っても挙げづらさが残る場合には、挙筋短縮術を追加を検討します。


眼瞼痙攣に伴う皮膚弛緩による眼瞼下垂:眉毛下皮膚・眼輪筋切除 +ボトックス注射

*持続的な眼瞼痙攣により皮膚弛緩を生じることもあります。
その場合には、痙攣のコントロールの為に、手術だけではなくボトックス注射による痙攣抑制が必要となります。
ボトックスの効果は3-4ヵ月で、継続的な使用により、痙攣のコントロールが可能になり、良好な視野確保が得られます。

顔面神経麻痺後遺症に伴う眼瞼下垂:挙筋短縮術・眼輪筋切除+ボトックス注射

*顔面神経麻痺を生じた後には、頬部の動きが改善しても眼瞼の皮膚のたるみが残ったり、病的共同運動といって眼と口が一緒に動いてしまう後遺症を生じて、笑顔時やものを食べる時に眼が閉じてしまうことがあります。眼瞼への手術にボトックス治療を組み合わせることで良好な結果を得ることが出来ます。

重度の眼瞼下垂および先天性眼瞼下垂:前頭筋吊り上げ術

眼瞼挙筋の動く力はわずかで、挙筋の短縮では瞼板を挙上することが困難な状態。
⇒まぶたを挙上するための力源を前頭筋に頼るため、まゆげとまつげの間の皮膚の下にトンネルを作成し、その下に移植材料を通し固定する手術を行ないます(前頭筋吊り上げ術)。

ページトップへ