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患者さんの体に優しい高度専門的治療のためのロボット支援手術について

当院のロボット支援手術について

各診療科で行っているロボット支援手術の詳細は下記をご覧ください

ロボット支援手術とは

横浜市立大学附属市民総合医療センターでは、患者さんの体に優しい低侵襲の内視鏡外科手術の安全な導入や普及を積極的に支援しています。内視鏡外科手術には、傷が小さく痛みが少なく、入院期間が短く、早期の職場・社会復帰ができるという大きなメリットがあります。内視鏡外科手術を安全・安心に可能にするためのロボット支援手術は、医師が専用の「ダヴィンチ」システムという手術支援ロボットを操作して行う最新技術の手術方法です。特に体への負担が少ない「低侵襲性」が特徴であり、患者さんにとっては傷口が小さく、術後の痛みが少なく、早期の回復が期待できます。従来の腹腔鏡手術と同様に小さな切開部を通して行われますが、ダヴィンチの3D高解像度カメラとロボットアームを使用することで、さらに正確な操作が可能です。
 
ロボットアームは人間の手では難しい細かな動きを再現でき、手ぶれ補正機能も備わっているため、患部の処置がより安全かつ精密に行えます。また、ダヴィンチシステムの3D映像は、従来の2D映像に比べて立体的に患部が確認できるため、医師が複雑な部位をしっかり把握して手術を進められます。これにより、出血量を抑えることができ、手術の安全性が向上し、回復も早まります。
 
当院では、各専門医療職が連携する多職種協働体制にもと、「ダヴィンチ」システムを用いたロボット支援による内視鏡外科手術に積極的に取り組んでいます。特に泌尿器科(前立腺がん手術など)、婦人科(子宮筋腫や内膜症など)、消化器外科(胃や大腸の腫瘍切除など)で広く導入されており、これらの疾患に対しても安全かつ効果的な治療が期待されています。ロボット支援手術は手術の精度が上がるだけでなく、患者さんの体に優しい手術方法として、多くの医療機関で利用されるようになっています。
 
手術当日は専用操作台に医師が座り、カメラとロボットアームを患者さんの体内に挿入して手術を行います。ロボットアームは360度の自由な動きを再現でき、複雑な角度からの処置が可能です。これにより、手術が難しい部位でも医師の技術を最大限に発揮できるため、より安心して手術を受けていただけます。このように、ダヴィンチシステムを用いたロボット支援手術は患者さんと医師双方にとってメリットが多く、安全性の高い手術方法として注目されています。 

最新鋭機 da Vinci Xi Systemの2台同時導入

Da Vinci Xiシステムは、ロボット支援手術の中で最も進化したモデルのひとつで、従来の手術と比べて高精度かつ安全に手術を行うための特徴を備えています。患者さんにとっても負担が少ない「低侵襲性手術」を実現するために開発され、より細かな動きと高解像度の視界を提供します。
横浜市立大学市民総合医療センターでは令和3年(2021年)度より、多くの患者さんに滞りのないように手術を行うことができるように、アジアとしては最初に2台同時にda Vinci Xiシステムを導入しております。 

Da Vinci Xi Systemでは、ペイシェントカート・ビジョンカート・コンソールの3つのシステムから成り立っています。

ペイシェントカート

ペイシェントカートとは、手術支援ロボット「ダヴィンチ」において患者さんの体内で直接操作を行うためのアームが取り付けられたカートのことです。このカートには4本のアームが装備されており、1本には精密な高解像度3Dカメラが接続され、他の3本には医師が操作するための専用鉗子が取り付けられます。これらのロボットアームは、人間の手首以上の可動域を持ち、医師の手の動きを忠実に再現します。さらに、アームにはコンピューターによる手ぶれ補正機能が搭載されており、精度が高く、安全性の高い手術が可能となっています。これにより、細かな手術操作が必要な場面でも安定して処置が行えるようになり、患者さんの負担を軽減することができます。

  • 精密な高解像度3Dカメラ
  • 腹腔鏡よりも自由度の高い鉗子
  • ペイシェントカートアーム部

ビジョンカート

ビジョンカートとは、ダヴィンチ手術システムの中心的な制御装置で、すべての機能を管理する重要な機器です。手術中にペイシェントカートから送られてくる映像の画質を最適化する役割を持ち、上部のモニターには手術映像が映し出されます。これにより、術者だけでなく、他の医師や看護師も手術の進行状況をリアルタイムで確認でき、手術チーム全体の連携を支えます。また、タッチスクリーンに指で線やメモを書き込むことができるため、術者に視覚的な情報を的確に伝えることも可能です。さらに、高性能の電気メスが内蔵されており、出血量を抑える効果も期待できます。

サージョンコンソール

サージョンコンソールとは、術者が座って操作を行うための操縦席のことです。このコンソールからビューポートを覗き込み、3Dモニターを見ながら、両手と両足を使って手術を進めます。飛行機のコックピットのようなデザインで、鉗子の操作やカメラの制御、モニター画面の切り替えなど、すべての手術関連操作を行うことが可能です。また、コントローラーを動かすと、ペイシェントカートに接続された鉗子が即座に同じ動きを再現し、手術をスムーズに進行できます。関節機能付きの鉗子は、人の手よりも柔軟に曲がり、回転するため、安定した自然な動きでの操作が実現します。これにより、複雑な手術でも正確かつ効果的に行えるようになります。

  • サージョンコンソール
  • コントローラー
  • ビューポート

ロボット支援手術のメリットとデメリット

ロボット支援手術のメリット

  1. 低侵襲性(体への負担が少ない)

    小さな切開で手術が行われるため、従来の開腹手術に比べて体への負担が少なく、傷口も小さくなります。そのため、術後の痛みも軽減され、回復が早い傾向があります。

  2. 精密な操作

    ロボットアームの精密な動きと3D高解像度の映像により、医師は手ぶれなく細かい操作を行うことが可能です。特に神経や血管を避ける必要がある部位での手術が安全かつ正確に行えます。

  3. 視野の拡大

    3Dカメラによって患部が大きく拡大されて映し出されるため、医師は細部を立体的に確認しながら手術を進めることができます。これにより、腫瘍の取り残しや誤操作のリスクが低減されます。

  4. 術後の回復が早い

    低侵襲であるため、術後の入院期間が短縮される場合が多く、早期の社会復帰が期待できます。傷跡が目立ちにくいため、生活への影響が少なく抑えられます。

ロボット支援手術のデメリット

  1. コストが高い

    ロボット支援手術は高度な機器や技術を用いるため、従来の手術に比べて費用が高くなる場合があります。当院では、保険診療内で行えるロボット支援手術を行っております。

  2. 限られた施設でしか受けられない

    ロボット支援手術に対応している医療機関は限られており、専門の施設や医師が必要です。

  3. 機械の故障リスク

    どれだけ精密な機器でも、故障やトラブルが発生するリスクがあります。医師は通常、問題が生じた際には従来の方法に切り替えるなどの対策をとりますが、リスクはゼロではありません。