診療科・部門案内

臨床検査部

基本方針

横浜市立大学附属市民総合医療センター臨床検査部は、ISO15189への適合性を将来にわたり保証し、市民医療に貢献する高品質なサービスを提供するために次の品質方針を掲げます。

ISO15189の認定について

臨床検査部は、日本適合性協会より国際規格ISO15189 (臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項)に適合している検査室として、2016年3月17日に認定されました。また2017年3月22日に認定の継続が承認され、生理検査が拡大認定範囲として承認されました。この規格では検体採取、検体搬送、検査受付、検査測定から結果報告までのすべての過程で国際的なマネジメントシステムの要求事項を満たす必要があります。業務手順はすべてマニュアル化され、インシデントあるいはエラーが生じた場合はその原因を究明するだけでなく、該当箇所の手順書を見直し、是正措置を検討し、さらにはその是正措置の妥当性を観察していくことが義務づけられています。国際基準を遵守することで検査の品質も保証されています。当検査部がISO15189資格を維持していくことにより、品質の高い検査結果を診療医、患者さんに提供できるだけでなく、各診療科の研究的臨床試験にも寄与できるものと考え、認定を継続できるよう努力していきます。

ISO15189の認定ISO15189の認定

品質保証施設認証について

臨床検査部では検査結果の保証として内部精度管理の実施、および外部機関のサンプルを測定するサーベイランスに参加しています。これらの結果や検査体制等から日本臨床衛生検査技師会の品質保証施設認証制度の基準を満たしていることが認められています。

部門の概要

中央採血室

中央採血室には一日平均580人の外来患者さんが来室されます。
診察前の検査のための採血に来られる方が多いため、12ブースの採血台が稼働しています。
患者さんの安全を第一に考え、臨床検査技師、看護師が対応しています。

受付時間(平日)

受付時間:8時10分より16時まで  
採血開始時間:8時15分より
*8時10分より早く来室された方は、採血室入口にある緑の番号札を取り、お待ちください。
混雑時には、しばらくの間、緑の番号札を配布しながら順番に受付します。ご協力をお願いします。

採血Q&A

Answer
採⾎は基本的には、空腹時に⾏います。⾷事をすると、⾎糖、中性脂肪、インスリンなどの検査結果に影響します。⾷後に採⾎をした場合は、診察の際に医師に伝えてください。
Answer
大丈夫です。
短期間に同じ場所で繰り返し採血すると血管が硬くなり、針が刺さりにくくなる場合があります。その場合は採血担当者にご相談ください。
 
Answer
採血した部位に腫れや痛みなどがなければ、点滴しても大丈夫です。
Answer
採血できます。
Answer
診療のために必要な頻度になります。
入院時には毎日、1 日に数回ということもありますが、外来で通院されている患者さんの場合は、診察にあわせて、 1 ヶ月に 1 回、3 ヶ月、半年に 1 回の方が多いです。
Answer
外来採血室では 10-15ml ぐらいの方が多いです。 
検査の内容によりますが、採血管 2-3 本の場合で、大さじ 1杯くらいの量です。体重 50 キログラム以上の人は 400mlまでの献血が安全とされています。検査のための採血はごくわずかな量です。
Answer
検査の種類によって、必要な採血管が違うからです。 
採血管の中には、血液中の成分を検査に適した状態に保つための薬が入っています。 
その薬は、検査の種類によって使い分けが必要なため、採血管の本数が増えることになります。
Answer
⼀⽇に作られる量は、体重 40kgの人で 25ml、80kg の人で 50ml です。 ⾎液の量は体重の約 1/13 です。 
また赤⾎球の寿命は 120 ⽇で、毎⽇、⾎液全体の 1/120 が新しいものに入れ替わっています。
Answer
採血は静脈から⾏います ので、⿊っぽく⾒えます。 血液は肺で酸素を受け取り、赤い動脈血となります。 そのあと心臓より全身に送り出され、体内で酸素が使われて⿊っぽい静脈血となります。
Answer
病院内で検査しているも のは、採血から 1 時間から 1 時間半で結果がでます。 
外部に検査をお願いしている場合は、早くて 3 日、遅いと 1週間かかります。
Answer
大丈夫です。

検体検査室

検体検査室では、患者さんからお預かりした尿、血液をはじめ、骨髄、髄液、胸水、腹水などの検査を行っています。検査の性質から一般検査室、血液検査室、生化学・免疫検査室、分子・微生物学的検査室の4つの部署に分かれ、それぞれ専門知識を有する臨床検査技師が検査を担当しています。
検体検査室では精度管理にも力を入れて取り組んでおり、検査の迅速さに加え、正確性を保つため、日々努めています。また、臨床からの要望に応え、新規項目の検討や導入も行い、より質の高い検査を提供できるよう励んでいます。

一般検査室

一般検査室一般検査室

尿一般スクリーニング検査を行っています。当院は、横浜市で唯一の腎移植施設であり、泌尿器・腎移植科における腎移植専門外来があることや、小児総合医療センターでは内分泌・糖尿病外来、腎臓外来などの専門診療外来があるため、腎臓疾患を伴う患者さんの検体が提出されることが多く、慢性腎炎、急性腎炎、腎不全の診断、治療の指標となる検査結果を正確・迅速にご報告することに取り組んでいます。

血液検査室

血液検査室血液検査室

末梢血液による血球数算定検査、顕微鏡による白血球分類のほか、骨髄検査、凝固検査を実施しています。当院では血液内科があり、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、特発性血小板減少性紫斑病、再生不良性貧血など、あらゆる血液疾患に対応するため、血液学検査の専門資格をもつ臨床検査技師が検査に携わっています。また、院内で骨髄移植、臍帯血移植、造血幹細胞移植を実施しているため、移植時にフローサイトメトリーを用いたCD34陽性細胞の解析を行っています。

生化学・免疫検査室

生化学・免疫検査室生化学・免疫検査室

併設する高度救命救急センターにも対応するため、24時間体制で、約100項目を測定しております。検査室に提出された検査は全て緊急測定し、検体到着後1時間30分以内に検査結果を報告しています。一般的な生化学項目のほか、血中薬物濃度や各種マーカー(心筋マーカー、腫瘍マーカー等)、感染症、ホルモン、HbA1c、血清浸透圧の測定なども行なっています。

分子・微生物学的検査室

感染症の診断・治療のため、迅速に微生物の同定・薬剤感受性結果を提供しています。 1日に数10 ~100件の一般細菌・酵母様真菌・嫌気性菌の培養同定感受性、糸状菌の同定、抗酸菌塗抹検査、迅速抗原検査を実施し、自動細菌検査装置、全自動遺伝子解析装置、染色装置を使用し、業務の効率化、迅速化を図っています。結核菌群核酸増幅検査、非定型抗酸菌核酸増幅検査はTRC法(Transcription Reverse transcription Concerted reaction)を用いて迅速かつ高感度に検査を行っています。抗酸菌塗抹検査が陽性の場合は、当日中に結核菌か非結核性抗酸菌かを報告しています。検査の質を担保するため、グラム染色、抗酸菌染色などの塗抹検査では、担当者間での目合わせを定期的におこない、釣菌した培地をダブルチェックし、検査の均一化に取り組んでいます。
感染制御部には、臨床検査部の検査技師が所属しています。最新の院内感染情報を提供できる部署として耐性菌や結核菌、稀な菌などが検出された場合は、医師・看護師・薬剤師等、他職種と密に連携を取り合い、院内の感染対策を支援しています。

生理機能検査室

生理機能検査室では、臨床検査技師が患者さんと接して検査を行う部署です。検査は多岐にわたりますが、大別すると、心電図・呼吸機能検査室(4F)、脳波・筋電図検査室(4F)、そして超音波センター(3F)の三つのセクションに分かれています。

4F4F
3F3F

超音波検査(エコー検査)は、検査部位に超音波をあて、返ってくる反射波(エコー)を受信し画像にすることで目的部位の観察を行います。検査部位に医療用ゼリーを塗りますので、脱ぎやすく(上下に分かれた服)、汚れても構わない服装でお越し下さい。

生理機能検査についてのQ&A

Answer
原則としてご予約時間どおりです。
遅れそうな場合は事前にご連絡ください。
連絡なく遅れた場合、当日検査ができないこともあります。何かありましたらご相談ください。
 
Answer
上下が分かれた洋服でご来院ください。
検査によっては衣服を脱いでもらうことがあります。ワンピースやお着物(和装)は避けてください。また心電図検査では、足首に機械を装着する必要があるため、靴下やストッキングは短めのものをおすすめします。
なお、時計・入れ歯・補聴器は基本的にはそのままで大丈夫です。
Answer
検査室では結果に関することはお話できません。
検査を担当するのは臨床検査技師です。他の検査結果等とあわせて担当医が診断します。
 
Answer
患者さんが不利益を被ることはありません。
希望しない場合(体調が特に悪いなど)はお断りください。
Answer
絶飲食が必要なのは腹部超音波検査経食道心エコー検査です。
腹部超音波検査は検査前の5~6時間は飲食を避けてください。経食道心エコー検査は前日夜9時までに食事を終えていただき、以降検査まで飲食を避けて下さい。薬は服用してください。少量のお水やお茶は飲んでもかまいません。(ジュース・乳飲料は不可)
Answer
放射線ではなく、人には聞こえない高い周波数の音(超音波)を使います。
したがってX線やCT検査のように放射線による被曝の心配はありません。
 
Answer
結果の良悪とは無関係です。
見えにくい部位があった場合、複数の検査者で確認させていただくことがあります。ご理解とご協力をお願い致します。もしご不安な点がございましたら、担当技師までお気兼ねなくご相談ください。
Answer
体に電気を通す検査ではありません。
心臓が動くとき、わずかな電気を発生します。その電気の強弱を波形グラフ化したものが心電図です。
Answer
24時間後にはずします。
翌日再びご来院いただきます。詳細は装着時に担当者からご説明いたします。
Answer
医師に連絡して指示を仰ぎます。
前日に睡眠時間を少なくする、カフェイン摂取を控えるなど、眠れるように工夫をお願いいたします。

実績

検査件数および採血室患者数

 
検査分類 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
一般検査 268,830 262,482 243,589 251,850 242,010
血液検査 405,753 397,712 373,644 384,252 379,218
凝固線溶検査 215,856 202,202 197,904 214,332 210,929
生化学検査 3,903,175 3,847,549 3,659,808 3,620,760 3,403,367
免疫血清検査 355,398 352,865 323,540 328,655 336,638
微生物検査 49,614 50,203 49,279 60,346 59,982
分子生物検査 9,201 9,254 11,353 15,921 15,663
循環器検査 29,457 28,698 26,038 26,493 27,392
呼吸機能検査 3,445 3,511 2,636 2,892 2,901
脳波・筋電図検査 2,454 2,359 1,841 1,884 1,708
超音波検査 19,831 19,248 18,608 18,415 17,890
採血室患者数 141,445 144,252 134,667 139,487 139,446

実習生向け

臨地実習ガイドライン2021に準拠し、臨床検査技師を目指して勉強されていることが診療現場にどのように結びつくのかを体験できます。高度救命救急センター、疾患別センターおよび各診療科に特徴的な病態に関連した検査の専門知識や技術の習得の機会となり、チーム医療、患者接遇ほか医療機関での検査技師のあり方を学ぶカリキュラムとしています。

採用情報

スタッフ紹介

臨床検査部・臨床検査科  部長

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海老名 俊明

臨床検査専門医・管理医
総合内科専門医
循環器専門医
超音波専門医・指導医
Fellow of Japanese Circulation Society

部長挨拶

当院は2000年1月に横浜市立大学医学部附属浦舟病院から横浜市立大学附属市民総合医療センターとなりました。2004年1月から2019年3月まで着任していた宮島栄治前臨床検査部長・臨床検査医学教授により、臨床検査部は発展を遂げました。私は2004年より当院心臓血管センターにおいて循環器内科医師として働いてきましたが、2017年に臨床検査科所属となり、2019年4月より臨床検査部長・臨床検査科部長に就任することとなりました。臨床検査部は、病院の中央部門の1つであり、検体検査室、分子・微生物学的検査室、生理機能検査室、中央採血室で構成され、診療において重要となるさまざまな臨床検査を担当しています。当検査部は、国際規格「ISO15189(臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項)」に基づいた認証を受けており、迅速な検査実施と高精度の検査情報を提供いたします。今後も、臨床検査部スタッフとともに、より良い臨床検査を提供できるように精一杯努力して参ります。そして、臨床検査を通じて市民の皆様に信頼され愛される病院の創造に貢献していく所存でありますので、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。   

技師長挨拶

臨床検査部理念である「私たちは、臨床検査を通じ市民の皆様に信頼され愛される病院の創造に貢献します。」を実現させるため、医療従事者として奉仕の心を持ち、臨床検査業務の習熟に専念するのみでなく、組織運営、チーム医療に貢献し、かつ大学病院の検査室として高度な医療に貢献していきたいと考えています。
2016年3月に臨床検査室の国際規格であるISO15189の認定施設となり、継続して改善に取り組み、検査の品質を高めることに尽力してきました。教育・人材育成は重要事項として検査業務の習熟度の共有化、横断的な活動の推進をしています。また、医療安全を目的とした部内の委員会にてリスクの低減、安全の先取りに努めています。さらに患者さん、医療関係者の方々のご意見ご要望をもとにサービスの向上に取り組んでいます。臨床検査は多様でありながら、専門性が高くなっています。今後、検査技師の活躍の場はさらに広がっていくことが予想されます。センター病院に関わる皆様から多くのことを学びながら、検査室の役割を果たしてまいります。          

スタッフ
臨床検査委技師




 
常勤52名/ 非常勤8名




 
廣瀬 春香 技師長
高浪 由紀子 担当係長
杉山 嘉史 担当係長
和泉 彬彦 担当係長
看護師 非常勤3名
事務 常勤1名/ 非常勤3名
 

取得資格一覧 (臨床検査技師)2023年6月現在

資格 認定者数(人) 認定機関
二級臨床検査士(臨床化学) 4 日本臨床検査同学院・日本臨床検査医学会
 
 
 
 
 
 
二級臨床検査士(血液学) 6
二級臨床検査士(微生物学) 3
二級臨床検査士(循環生理学) 1
二級臨床検査士(呼吸生理学)  2
二級臨床検査士(免疫血清学) 1
緊急臨床検査士  4
認定一般検査技師  1  日本臨床検査技師会
認定血液検査技師  3  日本検査血液学会
認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師  3  日本臨床化学会・日本臨床検査技師会
 
臨地実習指導者講習受講 1
血管診療技師   1  血管診療技師認定機構
JHRS認定心電図専門士  4  日本不整脈心電図学会
専門技術師(脳波分野)  2  日本臨床神経生理学会
超音波検査士
(循環器・血管・消化器・体表臓器・泌尿器)
14  日本超音波医学会
認定輸血検査技師  1  認定輸血検査技師 制度協議会
遺伝子分析科学認定士(初級) 4  日本臨床検査同学院
日本糖尿病療養指導士  4  日本糖尿病療養指導士 認定機構
NST専門療法士  1  日本臨床栄養代謝学会
POCT測定認定士  1  日本臨床検査同学院
医療情報技師  1  日本医療情報学会
一般毒劇物取扱者  5  神奈川県健康医療局
有機溶剤作業主任者  2  神奈川労務安全衛生協会
がんゲノムコーディネーター研修会受講  1  日本臨床腫瘍学会