先端医科学研究センター先端医科学研究センター

第3期 平成24年度採択 研究開発プロジェクト

第3期 平成24年度採択 研究開発プロジェクト

1.シーズ開発プログラム

  プロジェクト名 プロジェクトリーダー
1 がん組織ラインを用いたがんの悪性化の分子・細胞メカニズムの解明 大野 茂男
(分子細胞生物学 教授)
2 医工産学連携による革新的手術シミュレーション・ナビゲーションシステム開発研究 槙山 和秀
(泌尿器科学 准教授)
3 発現未確認蛋白質の発現プロファイリング -ヒトプロテオームプロジェクトの一環として- 平野 久
(プロテオーム科学 教授)
4 発生と疾患に関わるゲノム・エピゲノム解析 松本 直通
(遺伝学 教授)
5 ゲノム・プロテオーム・再生医療を用いた生活習慣病予防・治療に向けた開発型研究 梅村 敏
(循環器・腎臓内科学 教授)
6 革新的な医療産業の構築を目指した幹細胞操作技術の開発 谷口 英樹
(臓器再生医学 教授)
7 神経科学に基づく神経・免疫アレルギー疾患に対する新しい治療法の開発型研究 五嶋 良郎
(分子薬理神経生物学 教授)
8 胸腔、口腔、四肢などの疾患を対象とした磁性抗がん剤による新規治療法の確立 石川 義弘
(循環制御医学 教授)
9 AMPA受容体シナプス移行促進薬およびAMPA受容体認識PET Probeの開発 高橋 琢哉
(生理学 教授)
10 新規医療機器の導入と開発/核医学領域における新たな薬剤の開発 井上 登美夫
(放射線医学 教授)
11 高効率ヒト遺伝子改変法の開発と応用 足立 典隆
(分子生物学 教授)
12 転写因子による遺伝子発現制御とその破綻による疾患についての革新的研究 田村 智彦
(免疫学 教授)
13 横浜市大における統合的な感染症制御戦略の創出 梁 明秀
(微生物学 教授)
15 脳損傷・神経変性疾患におけるLOTUSによる脳内環境制御 竹居 光太郎
(生体機能医科学 教授)
16 皮膚・皮下腫瘍診断用組織硬度測定超音波診断装置の開発 前川 二郎
(形成外科学 教授)
17 感染ウイルスのタンパク質による創薬研究 朴 三用
(構造創薬科学 教授)

2.先端研究推進支援プログラム

  プロジェクト名 プロジェクトリーダー
18 バイオバンクを利用した遺伝子情報を含む新たなデータベースの構築とがんの基礎研究への応用 大橋 健一
(病態病理学 教授)
19 再生細胞治療センターを利用したGMP/TR支援拠点の整備 上條 亜紀
(附属病院輸血・細胞治療部 准教授)
20 臨床研究支援体制構築のための臨床研究データ解析室の整備 山中 竹春
(臨床統計学 教授)

3.若手育成プログラム

シーズ開発プログラム

がん組織ラインを用いたがんの悪性化の分子・細胞メカニズムの解明

分子細胞生物学 教授 大野 茂男

がんの個性の診断とそれらに対応した治療戦略の確立が喫緊の課題となっている。これを実現する為には、がんの悪性化の分子・細胞メカニズムの理解が必須である。しかし、がんの個性を保った状態のがん組織リソースの欠如により、このような研究が大きく阻まれている。本研究プロジェクトでは、がんの悪性化の分子・細胞メカニズムの解明に必要ながん組織リソースの技術確立を行う。がん組織ラインとしては、がん組織を免疫不全マウスに移植して経代するがん組織Xenograftラインと、がん組織を試験管内で培養し経代する、試験管内がん組織ラインとが考えられるが、両者を検討して技術の確立を行うと同時に、臨床教室でルーチンにがん組織ラインを樹立できる体制を整備する。同時に、これらのリソースを実際に用いてがんの悪性化の分子・細胞メカニズムの解明に向けた研究を進める。

医工産学連携による革新的手術シミュレーション・ナビゲーションシステム開発研究

泌尿器科学 准教授 槙山 和秀

1)患者固有データーを用いるミッションリハーサル型腹腔鏡手術術前シュミレータ—を開発する。特に、腎臓・肝臓・子宮手術用を開発する。

2)動注化学療法の治療効果を向上させるために、カテーテルの3次元的な位置情報をリアルタイムに術者へ提供し、カテーテル留置率の向上が期待できるナビゲーション技術を開発する。

発現未確認蛋白質の発現プロファイリング -ヒトプロテオームプロジェクトの一環として-

プロテオーム科学 教授 平野 久

ヒトゲノムにコードされた約22,000遺伝子に対するすべての蛋白質の発現状態を明らかにすることは、生体機能や病態の解明、疾患診断法や治療法の開発、新規な個別化医療実現にとって極めて重要である。すでに多くの蛋白質の発現状況や機能が明らかになっている。しかし、全体の20〜30%(4,000〜6,000種類)の蛋白質については、いまだにその発現すら確認されていない。そこで、これらの「発現未確認蛋白質(missing proteins)」の発現状態を主に多重反応モニタリング質量分析(MRM)を用いて明らかにする。

発生と疾患に関わるゲノム・エピゲノム解析

遺伝学 教授 松本 直通

ヒト及びモデル生物における発生と発生異常(疾患)をゲノム異常やエピゲノム異常の視点から解析しそのメカニズムを明らかにする。高出力型のシーケンサーを用いた解析系の開発、高精度遺伝子発現解析技術の確立、生殖細胞系列のエピゲノム解析、クロマチン構造とエピゲノム解析等を柱にヒト発生や疾患の解明をめざす。

ゲノム・プロテオーム・ICT・再生医療を用いた生活習慣病予防・治療に向けた開発型研究

循環器・腎臓内科学 教授 梅村 敏

わが国で数千万にもおよぶ生活習慣病(がん、高血圧症、糖尿病等)の予防、管理、治療を目的とする。自宅でいつどこでも簡単に、被験者の負担が少なく測定できる生体情報測定センサーの開発と、それらを通信で送り、診断、指導していく健康ネットワークを作成する。関連遺伝子解析、アミノ酸分画による早期がんやメタボリックシンドローム診断のマーカーとしての活用、膵β細胞を増加させる糖尿病新規治療法の開発、新規本態性高血圧症感受性遺伝子の同定等を通して、生活習慣病やがんのオーダーメードな予防、治療を実施する。また,難治性動脈硬化性疾患の再生•先進医療をおこなう..これらの実施により、脳血管障害による寝たきり患者の削減、がん死亡患者の削減、透析等で大量の医療費を消費する糖尿病患者の削減が期待できる。

革新的な医療産業の構築を目指した幹細胞操作技術の開発

臓器再生医学 教授 谷口 英樹

新しい再生療法や抗癌療法の開発や創薬産業の高度化に向けて、ヒト幹細胞(iPS細胞・体性幹細胞)の利用ニーズが急速に増大しつつある。本プロジェクトでは、各種幹細胞の医療応用と産業利用を目的として、幹細胞の選択的分離・培養・移植技術やクローン解析・ハイスループット解析技術などを活用することにより、さまざまな幹細胞の制御機構を解明するとともに、医療・産業応用のための幹細胞操作技術を開発することを試みる。

神経科学に基づく神経・免疫アレルギー疾患に対する新しい治療法の開発型研究

分子薬理神経生物学 教授 五嶋 良郎

セマフォリン3Aはアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息などの疾患モデルでその有効性が検証されつつある。セマフォリン3Aは不安定なため、従来は臨床への応用は困難と予想された。今般セマフォリン3Aの安定蛋白質変異の確立に成功したが、さらにこの条件を適性化する。一方、セマフォリン3Aの機能阻害活性を有するモノクローナル抗体を獲得しつつある。これらを踏まえ、同蛋白質のあるいは抗体の免疫アレルギーおよびその他疾患等においてその有効性を検証する。

胸腔、口腔、四肢などの疾患を対象とした磁性抗がん剤による新規治療法の確立

循環制御医学 教授 石川 義弘

新規磁性体抗がん剤が一般産業技術を活用して開発された。本研究では同磁性抗がん剤をもちいて、誘導技術や温熱技術を開発し、胸部、口腔、四肢、あるいは皮膚などの磁性を適応しやすい臓器群を標的として、新規治療法として開発していく。とりわけがん細胞の生物学的な特性を活用した治療法を開発していく。

AMPA受容体シナプス移行促進薬およびAMPA受容体認識PET Probeの開発

生理学 教授 高橋 琢哉

企業と協同開発中のAMPA受容体シナプス移行促進薬の開発を進めていく。すでにリード化合物は見出しているが、市場に出した時のコストを考えるとさらに高い力価の化合物が必要であることがわかった。そのスクリーニングを行う。さらにこれまでは精神疾患(虐待などの幼少期のトラウマに起因した重度の精神障害)の治療薬として開発を進めてきた。これは継続していく一方、リハビリテーション効果促進薬の可能性も模索していく。そのための基礎的研究(例えば脳障害モデル動物における機能回復の過程で他の正常な領域においてAMPA受容体シナプス移行が起きるのか否か?)と化合物の効果促進作用検討を両輪で進めていく。薬が世に出ることになれば巨大な市場価値が期待できる。リード化合物はすでに治験第I相をクリアしている。さらにAMPA受容体を認識するPET probeの作製も目指す。

新規医療機器の導入と開発/核医学領域における新たな薬剤の開発

放射線医学 教授 井上 登美夫

核医学領域、特にPETを中心とした新たな医療機器の薬事承認と、具体的な薬剤開発を目標とする。医療機器としては、1つには平成24年度に導入・設置予定のPEM(陽電子断層撮影マンモグラフィー)を用いての臨床データの取得と、薬事承認の取得準備がある。また2つめには、平成25年度から26年度にかけて導入・設置予定の新型PET/CT機を用いて、がん診断機能評価を行いプロトコールとアプリケーションの開発をも目標とする。開発する薬剤としては、現在米国で治験第1相が終了、第2相開始の承認待ちの状態にあるSPECT診断薬の国内での臨床研究の実施と、PET標識核種への変更の可能性の具体的な検討を行う。さらには、NaF(PET薬剤、先進医療申請準備中)によるリウマチ疾患の評価システムの構築、Ga-DOTA-TOC(PET薬剤、内分泌腫瘍診断薬)を用いた臨床診断および治療への連携を関係各科とともに行う。

高効率ヒト遺伝子改変法の開発と応用

分子生物学 教授 足立 典隆

本プロジェクトでは、ヒト細胞の遺伝子を安全に効率良く改変するための汎用的なシステムの確立を目指す。また、ヒト遺伝子改変細胞の作製と解析を通じて、ゲノム不安定性疾患(がん、老化、神経疾患)関連遺伝子群の機能解析を系統的に進めるとともに、細胞に導入した遺伝子がゲノムDNA中に組み込まれる反応(遺伝子挿入)の仕組みを詳細に解析し、次世代遺伝子治療の実現に向けた効果的な遺伝子挿入制御法の開発を目指す。ヒト遺伝子改変細胞は、遺伝子機能解析に有用であるだけでなく、優れた疾患モデル、薬効評価ツール、さらには遺伝子医療(細胞治療)のツールとして、医療・創薬分野への幅広い応用が期待される。

転写因子による遺伝子発現制御とその破綻による疾患についての革新的研究

免疫学 教授 田村 智彦

遺伝子の発現制御は生命現象の根幹のひとつであり、その破綻は様々な疾患を引き起こします。本プロジェクトでは転写因子(IRF, EtsやNF-κBなど)による遺伝子発現制御に注目し、細胞分化・増殖・アポトーシスや免疫応答の制御機構を解明、さらにはその異常によって生じるがんや自己免疫疾患の病態理解と治療法開発を目指します。研究参画者それぞれの専門的技術を活かし、1)原子から生体レベル、2)構造と機能、3)基礎医学と臨床医学、4)正常と疾患、5)単一分子から網羅的解析(オミックス)、6)実験生物学とバイオインフォマティクス・システム生物学、といった異なった研究手法の融合による研究体制を構築して、これを進めて行きます。

横浜市大における統合的な感染症制御戦略の創出

微生物学 教授 梁 明秀

tel045-787-2602

mailaryo@yokohama-cu.ac.jp

近年新型インフルエンザや家畜の口蹄疫が流行し、エイズ、結核、ウイルス性肝炎などの患者数は依然として多く、これらの新興・再興感染症に対する国民の不安は日々増大しています。このような状況に対し、横浜市立大学において先端的な感染症研究を実施できる拠点を整備し、感染症対策を支える基礎、臨床および疫学研究を集中的かつ継続的に進めて行くことが必要不可欠です。本研究プロジェクトでは、学内外の感染症研究者および臨床医が集結、連携し、基礎的知見や臨床的エビデンスの集積を基盤とした新たな感染制御法の開発を目指した基盤研究を行います。また、病原体と宿主の相互作用を分子レベルで詳しく調べることで、病原体の複製に重要な細胞側因子を同定し、それらを標的とした新しいタイプの治療薬の開発を目指します。さらに、SNSなどの最新IT技術を活用し、感染症の撲滅に向けた最先端の予防医学の推進を横浜市大より国内外に広く発信して行きます。

脳損傷・神経変性疾患におけるLOTUSによる脳内環境制御

生体機能医科学 教授 竹居 光太郎

マウス胎生期脳の嗅索形成を担う新規分子LOTUSとその相互作用分子Nogo 受容体(NgR1)を同定した。NgR1は4種の神経再生阻害因子に共通する受容体で、中枢神経系の再生を困難にする主要因と考えられている。また近年、脳損傷・脳梗塞・多発性硬化症における神経変性の進行にNogo-NgR1の神経成長阻害作用が深く関わることが報告され、NgR1の機能制御は脳損傷や神経変性疾患における重要な研究課題になる。LOTUSはNgR1の内在性拮抗物質として働くため、本研究では、LOTUSの生理機能を利用した新しい神経再生や神経変性疾患の治療法の創成を目的とし、脊髄損傷や多発性硬化症のモデル動物においてLOTUSの治療効果を検証する一連の解析研究、病態進行に伴うLOTUSの発現変動およびヒト検体(血液・脳脊髄液)を用いたLOTUS発現変動の解析研究を行う。

皮膚・皮下腫瘍診断用組織硬度測定超音波診断装置の開発

形成外科学 教授 前川 二郎

本事業は、京浜総合特区事業に付随するもので、超音波診断装置を家庭使用できる手の平サイズに軽量・小型・低価格化し、プローブに圧センサーを組み込むことで組織硬度測定機能を合わせ持った新たな医療診断機器の開発を行う。小型・低価格化によりユーザーの範囲を広げ、硬度測定という付加機能により、腫瘍診断精度が向上する。
本装置のターゲット疾患の1つは、今後患者数が増加し健診が必要とされる乳癌で、皮膚皮下腫瘍全てが対象となる.小型・低価格化のために、最終的にICチップ化でオールインワンのプローブを開発し、同時に操作性を向上させる専用アプリケーションと画像転送システム等の開発を行う。オールインワンプローブと携帯端末を組み合わせ、ユビキタスネットワークを利用しユーザーが動画を専門医に送ることで迅速な遠隔診断を可能とする。目標とするのは幅広いユーザーを視野に入れた組織硬度測定超音波診断装置の事業化である。

感染ウイルスのタンパク質による創薬研究

構造創薬科学 教授 朴 三用

インフルエンザや肝炎などのウイルス感染症による死者は毎年依然として多く、対策が急務とされている。しかし、既存の薬に対する薬剤耐性ウイルス や、新型ウイルスの出現などの問題で、有効な抗ウイルス剤の開発には至っていない。本研究では、それらのウイルスの増殖の中心的な役割を担ってい る特定タンパク質や、他のウイルスタンパク質と比べ変異が起こりづらいタンパク質を新規薬剤ターゲットし、化合物や阻害抗体開発によるペプチド創薬などの創薬基盤の構築を目指す。

先端研究推進支援プログラム

バイオバンクを利用した遺伝子情報を含む新たなデータベースの構築とがんの基礎研究への応用

病態病理学 教授 大橋 健一

近年、がんの発生、進行、転移などに関与する新しい候補分子が次々と見つかっているが、それらのヒトがんにおける発現、機能を確かめる研究、そしてそれらを標的とした新たな薬の開発を効率よく進めるために、重要ながん関連遺伝子異常の背景、病理学的所見、患者背景、治療効果、予後を含めた新しいデータベースを備えたヒトがん組織バイオバンキングの構築が重要と考えられる。今回、本学バイオバンク等に集められている組織のうち主に大腸がん、肺がん症例を用いて、1)集められたヒトがん組織検体がDNA, RNA、蛋白レベルの研究に十分利用可能か質の検証を行う、2)大腸がん、肺がんの重要ながん関連遺伝子異常、病理学的所見、患者背景を含んだ新たなデータベースを作成する、3)作成されたデータベースを利用して大腸がん、肺がんの各遺伝子型において、遺伝子アレイなどをもちいた研究により候補となった分子の発現を調べ、初期浸潤、Epithelial mesenchymal transition(EMT)等との関連を検討する。

再生細胞治療センターを利用したGMP/TR支援拠点の整備

附属病院輸血・細胞治療部 准教授 上條 亜紀

平成22年4月に横浜市立大学附属病院4階に、再生医療・細胞治療の実践に必要な施設(再生細胞治療センター)が完成した。再生医療を健全な形で根付かせるためには、医療関係者は常に安全性と倫理性を念頭に置くことが必要である。具体的には厚労省の【ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針】に従い、GMP(good manufactureing product)に準拠した、安全性の高い細胞を調整することが要求されている。当再生細胞治療センターはGMPに準拠した構造設備を有しているので、運用マニュアルを整備する。これを本学GMPの中心的存在とし、本学の基礎研究から創出されてきた技術を速やかに医療現場で検証・実用化するためのトランスレーショナルリサーチの実践の場とする。

臨床研究支援体制構築のための臨床研究データ解析室の整備

臨床統計学 教授 山中 竹春

臨床研究支援のための基盤づくりを目標とし、臨床研究データ解析室の組織として活動できるよう準備を進める。業務内容として、1. 臨床研究プロトコル作成支援(目標症例数設計、解析計画など)、2. データ解析支援、3. 学会発表・論文化作業支援、を第一次ターゲットとする。さらに、4. 臨床試験計画の登録作業(UMIN登録)、5. 試験進捗管理、6. 症例登録割付センター業務(患者登録、ランダム化割付け作業)、7. データマネジメント(データベース構築、データ入力、データクリーニング作業)、を第二次的な整備目標とする。なお、準備作業を進めていく上で浦舟センター病院臨床研究推進センターとの業務連携を常に意識し、福浦-浦舟を一つの面でサポートできる体制整備を目標とする。

若手育成プログラム

内視鏡を用いた低侵襲な歯科・口腔外科治療の普及を目指したファイバースコープシステムとバーチャルシミュレーターの開発

附属病院歯科・口腔外科・矯正歯科 助教 岩井 俊憲

近年,外科手術は内視鏡の導入により低侵襲化が実現し,患者QOLの向上に寄与してきたが,歯科・口腔外科領域では内視鏡手術の導入は遅れている。その原因として、「内視鏡システム自体が高価なこと」と「内視鏡手術の技量向上のためのトレーニングシステムが未開発なこと」などが考えられる。本研究では歯科・口腔外科領域における内視鏡を用いた低侵襲な治療を普及させるために、「ノートパソコンにUniversal Serial Bus(USB)接続可能な安価でポータブルなファイバースコープシステムの開発」および「内視鏡手術のトレーニングのためのバーチャルシミュレーターの開発」を行う。

ヒトiPS細胞を用いた三次元肝・膵組織創出法の開発

臓器再生医学 准教授 武部 貴則

我々は、臓器発生の初期段階で生じる複数種の細胞間相互作用を試験管内で再現化することにより、血管網を有する立体ヒト組織誘導技術を開発した。本研究では、この三次元培養技術をヒトiPS細胞由来肝・膵前駆細胞へと応用することにより、機能的なヒト肝・膵臓を再構成し、かつ臓器不全症を対象として治療応用するための細胞操作技術の確立を目指す。臓器移植の代替治療として、多くの患者を救済する革新的再生医療技術となるのみならず、創薬や医療関連産業にも画期的進歩をもたらすことが期待される。

心臓型アデニル酸シクラーゼを治療標的にする高齢化社会にむけた新しい心不全治療薬の開発

循環制御医学 講師 藤田 孝之

心不全は全ての心臓病の末期像でありその患者数は年々増加傾向にある。ベータアドレナリン受容体遮断薬(ベータ遮断薬)は心不全治療の代表薬であるが、導入初期の心機能抑制と呼吸機能抑制という副作用は高齢者では大きな問題である。研究代表者は心臓特異的に発現するアデニル酸シクラーゼサブタイプ(AC5)欠損マウスの解析から、同酵素を選択的に阻害することで、心機能や呼吸機能抑制を起こさずにベータ遮断薬と同等の心不全治療ができる基礎データを報告した。本申請の目的はAC5特異的抑制剤を高齢者にも安心して使える心不全治療薬として開発することである。

部門紹介