ナビゲーションをスキップして本文へ
  • English
  • 通常版
  • テキスト版
  • 交通・キャンパス案内
  • サイトマップ
  • 大学トップ

研究者検索


ここから本文

HOME  >  研究成果  > 遺伝学 松本教授_先天性ミオパチーの原因遺伝子を発見!

遺伝学 松本教授ら研究グループが筋肉の障害、筋力低下をきたす『先天性ミオパチー』の原因遺伝子を発見!

横浜市立大学学術院医学群 宮武聡子特任助手・輿水江里子研究員・三宅紀子准教授・松本直通教授(遺伝学教室)らは、先天性ミオパチーの一型である、ネマリンミオパチーの新たな疾患責任遺伝子を発見しました。
この研究は、同生化学教室 椎名 政昭助教、緒方一博教授、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部 林由起子室長、西野一三部長、独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所 山下倫明グループ長、地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター 小坂仁部長、小田原市立病院 大宅喬医師(現 横浜市立みなと赤十字病院)、坂元祐子医師(現 横浜市立大学附属市民総合医療センター)、Western Australia大学 Laing教授らとの共同研究による成果であり、横浜市立大学先端医科学研究センターが推進している研究開発プロジェクトの成果のひとつです。

☆研究成果のポイント

○全エクソーム解析*1で常染色体劣性遺伝性の重症のネマリンミオパチーの原因遺伝子KLHL40 を同定。
○4か国共同研究によって、この遺伝子の変異がネマリンミオパチーの原因として民族を問わず 高頻度であることが明らかとなった。日本人では特に頻度が高かった。
○正常ではKLHL40 遺伝子によって筋収縮に関係する構造タンパク質がつくられるが、患者の筋線維内ではこのタンパク質はほとんど消失していた。
○ゼブラフィッシュ疾患モデルでは筋肉の構造異常を認め、患者の病態が再現された。

研究概要

ネマリンミオパチーは先天性ミオパチーの中で頻度の高い疾患です。筋肉の収縮に関係する構造タンパク質が壊れるため、全身の筋力低下をきたし、ネマリン小体と呼ばれる凝集体が筋線維内に出現します。これまでいくつかの疾患の原因となる遺伝子が特定されてきましたが、常染色体劣性遺伝形式をとり、胎児期より寡動・羊水過多など来たし、出生後も呼吸不全・嚥下困難などの最重症の経過をとる重症ネマリンミオパチーの一群については、その原因は明らかではありませんでした。

松本教授らのグループは、全エクソーム解析という新しい研究手法を応用し、KLHL40 遺伝子の複合ヘテロ接合性変異*2を見だしました。その後日本、アメリカ、フィンランド、オーストラリア合同国際研究を展開し、重症ネマリンミオパチーの143家系の解析で28家系(19.6%)に本遺伝子変異がみつかったことから、この遺伝子の変異が多民族にわたり重症ネマリンミオパチーの高頻度の原因となっていることをつきとめました。日本人では、特定の創始者変異*3が存在するため、本遺伝子変異の検出率は重症ネマリンミオパチーの47家系中13家系(28%)とさらに高頻度に見られることがわかりました。

KLHL40 遺伝子によって作られるタンパク質は筋肉の収縮に関係する構造タンパク質の1種です。本遺伝子に変異を持つ患者では、このタンパク質が筋線維内でほとんど消失していました。またこのタンパク質はこれまで知られているネマリンミオパチー関連タンパク質とは異なる局在を示すことがわかり、新規の分子病態を有することが示唆されます。

小型脊椎動物のゼブラフィッシュにおいても筋肉前駆細胞や骨格筋で本遺伝子が発現していることを確認し、モルフォリノアンチセンスオリゴ*4によって遺伝子機能を阻害すると、筋線維の構造異常が起こり、患者の病態が再現されました。

本研究は、日本における重症先天性ミオパチーの早期診断、早期の適切な治療介入に貢献できる可能性があります。またその病態解明が進めば、ネマリンミオパチーに対する新しい治療法の開発にも寄与することが期待されます。

(注釈)
*1 全エクソーム解析:ゲノムの蛋白質を決める部分(エクソン)を全て解析する方法。
*2 複合ヘテロ接合性変異:同じ遺伝子において、父あるいは母由来の異なる2つの変異がある状態。
*3 創始者変異:ある特定の集団内で、祖先の1人に出現した変異が受け継がれて、高頻度に認められるようになること。
*4 モルフォリノアンチセンスオリゴ:mRNAからの翻訳やスプライシングを抑制することで、標的遺伝子の発現を特異的に阻害するオリゴヌクレオチド。


<図>

図A:国際共同研究で同定されたKLHL40 遺伝子の全変異とアミノ酸の変化。1582番目の塩基置換を起こす遺伝子変異(c.1582G>A)は日本人で高頻度に同定された。

B:左:KLHL40 遺伝子に変異をもつ患者の筋病理像。ネマリン小体が豊富にみられる(赤矢印)。右:電子顕微鏡でみたネマリン小体(白矢印)。

C左:正常人の筋線維には緑色に染色されるKLHL40タンパク質が存在。右:KLHL40 遺伝子に変異をもつ患者ではKLHL40タンパク質が消失。

D:ゼブラフィッシュ疾患モデルにおける筋肉への影響を解析。左:正常のゼブラフィッシュ。右:KLHL40 遺伝子機能を阻害したゼブラフィッシュ。体幹が湾曲し小さい。

E:左上下:正常のゼブラフィッシュの筋線維。右上下:KLHL40 遺伝子機能を阻害したゼブラフィッシュの筋繊維。筋線維が不均一でギャップ(右上*)を生じている。

お問い合わせ先

(本資料の内容に関するお問い合わせ)
○公立大学法人横浜市立大学 学術院医学群 遺伝学
 TEL:045-787-2606 FAX:045-786-5219
  松本 直通 naomat@yokohama-cu.ac.jp
  宮武 聡子 miyatake@yokohama-cu.ac.jp

(取材対応窓口、資料請求など)
○公立大学法人横浜市立大学 先端医科学研究課 立石 建
 TEL:045-787-2527 FAX:045-787-2509 sentan@yokohama-cu.ac.jp