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脳神経外科

耳鼻科・脳神経外科合同による経鼻内視鏡治療

対象となる疾患

耳鼻科・脳神経外科合同による経鼻内視鏡治療の対象となる疾患は下垂体近傍の頭蓋底領域を中心に幅広く該当します。主な疾患としては下垂体に発生する下垂体腺腫が最も多く、それ以外の間脳・下垂体部分に発生する腫瘍性疾患がそれに続きます。

診療において認める症状

主な対象である下垂体腺腫は大きくふたつに分類され、ホルモン分泌能を有する機能性腺腫ではそれぞれの下垂体ホルモンの異常分泌に伴う症状で発症することがあります。またホルモン分泌能を有さない非機能性下垂体腺腫やそれ以外の疾患では腫瘍増大に伴う視野障害や下垂体ホルモン分泌障害・水頭症症状がきっかけになることが多くあります。図1のようにして視野障害は両耳側半盲を基本とする特徴的な所見を示します。

図1図1
図1
術前の視野検査で典型的な視野障害である両耳側半盲が生じておりますが、術後ではその視野障害が解消されています。*:生理的暗点(盲点)

診療において行う検査

診察では上記のような特徴的な所見があるか確認し、ホルモン・電解質採血や画像:MRI・CT検査を行います。

図2図2
図2
図1における患者さんの手術前と術後の造影MRIにおいてトルコ鞍にあった大型の腫瘍が摘出され外来でも再発なく経過しております

治療方針の策定

薬物療法、手術が基本として挙げられ、高齢者の方や日常生活自立度の低下している方の場合には定位放射線療法・経過観察も選択肢になります。ガイドラインに準拠する形で治療計画を進めていきます。
下垂体近傍・頭蓋底病変への神経内視鏡治療において耳鼻科・脳神経外科が全症例にわたって協力するという全国的にも先進的な診療体制で治療にあたっております(図3)。治療成績は勿論、鼻腔・副鼻腔ついて重要な器官として術後の機能回復・温存の観点からも患者さんの満足度に役割を果たしたいと考えております。また内分泌機能については当施設受診当初より内分泌糖尿病科の医師にも介入してもらい、負荷試験やサンプリング検査を含む術前評価から周術期、術後と一貫してチームとして取り組んでおります。鼻腔・副鼻腔のケアについては専門チームによる手術手技だけでなく、耳鼻科外来における術後機能温存、機能回復の診療に取り組んでおり本合同治療の大きな特徴となっております。

ICG機能を備えた4K-HD神経内視鏡での治療体制としております。上記の患者さんも治療を行いまして半年後のMRI検査で正常下垂体は温存のうえで腫瘍が全て摘出されており、鼻腔・副鼻腔が綺麗に修復されていることを耳鼻科外来診察で確認しております。

治療メンバーが一体となって治療にあたっております。治療メンバーが一体となって治療にあたっております。
治療メンバーが一体となって治療にあたっております。

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