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小児総合医療センター

急性脳症

急性脳症とは?

「急性脳症」とは、高い熱やけいれんをきっかけに短い時間で脳に強い炎症やむくみ(浮腫)が起こる病気の総称です。インフルエンザや突発性発疹などの感染症に伴って発症することが多く、特に乳幼児に多くみられます。発症すると、意識がもうろうとする・反応がなくなる・けいれんが続くなどの症状が現れ、重症化すると後遺症が残ったり、命に関わることもあります。

脳症と脳炎の違い

脳症と似た病気に「脳炎」があります。
・脳炎:ウイルスや細菌が脳に入り込んで直接炎症を起こす病気
  ※一部には、感染をきっかけに体の免疫が脳を攻撃してしまう「自己免疫性脳炎」もあります。
・脳症:感染はきっかけですが、体の反応や代謝の異常によって脳の働きが障害される病気
つまり、「脳そのものが感染で炎症を起こすのが脳炎」、「感染をきっかけに体の反応で脳が障害されるのが脳症」、と考えると分かりやすいです。

発症の頻度

日本全国で、年間およそ300~500例程度が報告されています。
乳幼児期(1~5歳)に多く発症する傾向があります。

当院で行っていること

当センターでは、急性脳症が疑われるお子さんに対して迅速に診断と治療を行っています。
集中治療科と連携しながら、以下のような対応を行います。

・体温・呼吸の管理
 高熱や呼吸障害に対して適切にコントロールします。
・けいれんの治療
 持続するけいれんに対し、薬を用いて速やかに抑えます。
・炎症やむくみを抑える治療
 脳のダメージを少しでも軽くするため、ステロイドや免疫治療などを行う場合があります。
・精密検査
 血液検査、脳波、MRI検査などを組み合わせて原因や脳の状態を調べます。

ご家族へのサポート

急性脳症は突然発症することが多く、ご家族にとって非常に不安の大きい病気です。当院では、医師・看護師・集中治療チームが協力し、できる限り早期に治療を行うとともに、その後のリハビリや療育にもつなげています。「けいれんが長く続いている」「高熱があり意識がはっきりしない」などの症状がある場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。