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【開催報告】第7回アジア・スマートシティ会議併催イベント YOKOHAMA YOUTH EVENT 2018

【開催報告】第7回アジア・スマートシティ会議併催イベント YOKOHAMA YOUTH EVENT 2018

 横浜市立大学は、2018年11月14日(水)に「Yokohama Youth Event 2018」を開催しました。

このイベントは、横浜市が主催する第7回アジア・スマート シティ会議の併催イベントとして、次世代育成を目的とした、学生が主役となるイベントです。今年は、横浜市立大学の学生による発表、専門家を交えたディスカッションの他、アジア開発銀行研究所のエコノミストをお招きして、学生たちの関心が高い、国際的なキャリア形成についてお話しいただきました。

イベントに先駆け、横浜市立大学の芦澤ゼミ生を中心とした学生15名がプロジェクトチームを組み、市内企業である株式会社オオスミや、公民連携事業として横浜市と市内の中小企業が中心となって設立した一般社団法人YOKOHAMA URBAN SOLUTION ALLIANCE(YUSA)へのヒアリング調査を実施し、海外での事業展開を目指すSMEs(中小企業)を、行政がどの様に後押しできるか、官民パートナーシップ(PPP)のあり方について議論を重ねました。

【当日の様子】
開催宣言ののち、横浜市立大学の重田諭吉副学長による開会の挨拶がありました。このユースイベントが、若者のグローバル人材育成の貴重な機会になること、また、開催にあたって協力してくださった方々への謝辞が述べられました。

 
 続いて、今回のイベントの協賛企業である株式会社日新の筒井雅洋代表取締役社長/業務執行責任者より開催にあたってのメッセージをいただきました。株式会社日新は、1938年に創業した社員6000人以上を抱える物流の企業で、現在、アジアの12地域・国を含む24の地域・国でグローバルに事業展開しています。メッセージでは、持続的な社会の発展にとって、世界のマーケットで活躍できる若者の育成が不可欠であること、また、そのために横浜市立大学とますますの連携をはかり、持続的な社会とより良い教育システムの発展に寄与する意気込みが語られました。

【セッション1:学生のプレゼンテーション】

セッション1では、まず、横浜市立大学の学生プロジェクトチームの代表が、チームの研究成果を発表し、学生の目線で、提言を行いました。

2017年5月のアジア開発銀行(ADB)50周年総会での学生プロジェクト、それに続く10月のアジア・スマートシティ会議でのプロジェクトやフィールドワークを通じ、様々な都市問題を解決するためには、官民パートナーシップ(PPP)での連携が大切であることを学んだ。
今回のプロジェクトでは、SMEs(中小企業)の海外進出支援に、1)SMEsが自由にアクセスできる現地情報を提供するデータベースの構築、2)横浜と海外のSMEsをつなげるプラットフォームの構築を提案する。
日本の企業の99.7%がSMEsで、横浜にも約76,000のSMEsが存在する。企業独自の技術を有していて、海外でも充分通用する企業もあり、466億円もの潜在的な経済効果をもたらすと言われている。今回、オオスミやYUSA、横浜市の関係者に話を聞く中で、中小企業の海外展開を支援するにあたり、1)情報の不足、2)連携の不足、という2点の課題があることに気がついた。横浜市の公民連携事業であるY-PORTは、市内のSMEsの国際化を後押しする事業であるが、その中で、関係者、パートナー同士が業種を超えて資源を補完しあい、新しい知識を構築する「戦略的提携」を提案する。ナレッジ・マネジメントのフレームワークであるSECIモデルに当てはめ、Y-PORTが新たな知、プロジェクトを創出し続けることのできる可能性について検証した。SECIモデルの第2段階にあたる、知の表出化における具体策として、横浜とパートナー国のSMEsに情報提供するデータベース、YDASH(仮称)を構築することを提案する。YDASHは、CNNやForbesの様に、ニュースのみならず現地のビジネスに有益な最新情報を提供する。YUSAによって運営され、国内の留学生のコミュニティが情報収集を担当、YUSAに加盟する海外展開を目指すSMEsからの会費収入を財源とすることを想定している。YDASHのプラットフォームは知識の表出において有効である。民間の就職活動支援の為のウェブサービスが就職希望者と企業を結びつけているように、企業同士がやり取りを行えるプラットフォームを提供すれば、プラットフォーム上で、組織の知のやり取り、パートナー同士の連携がうまれ、新たな知の創造につながる。
データベース、プラットフォームを用意することにより、Y-PORT中での、アジアの国も含めたパートナー同士の連携が強化され、市内企業による、アジアでの開発プロジェクトの活性化につながる。

 
【セッション1:専門家とのディスカッション】
[上田 裕史さん:株式会社オオスミ 調査第二グループ]
YDASHというICTのプラットフォームを提供するアイディは、現在、株式会社オオスミが直面している問題を解決する糸口になると思う。海外の現地企業との連携が、企業の海外展開において非常に重要になってくるということに、大いに同感する。

[Brian Johnsonさん:公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) リサーチ マネージャー]
提案のアイディアは、自分が所属している研究機関においても、先進国、途上国にかかわらず、海外とのパートナーと連携をする上で、活用できると思う。

[モデレーター/ 平田 ケンドラさん:CITYNET横浜プロジェクトオフィス 事業課長]
Y-PORTの事業において、プロジェクトや海外でのフィージビリティ・スタディは、多くの部分をJICAなどの外部資金に頼っている。今後横浜市として、この様なSMEsのニーズに応えていくため、外部資金に頼らない方策はあるか?

[中村 恭揚さん:横浜市国際局国際協力部国際協力課国際技術協力担当係長]
Y-PORTの主な役割は、横浜市に拠点を置く企業と共に都市問題を解決してゆくことである。第一段階として、都市間のMoU(協定)による連携が構築され、例えば、横浜市とベトナムのダナン市の様に、問題解決に向けてのマスタープランとアクションプランが作られる。パートナー都市の需要を理解しつつ、民間企業と協力しながら、JICAなど政府から、あるいは世銀やADBの様な国際機関の支援を最大限活用している。第二段階として、必要に応じてフィージビリティ・スタディやパイロット試行が実施され、正式なプロジェクトとなる。
YDASHについは、JICAの資金援助無しに実施することはできると思う。現地企業と日本の企業を引き合わせることは都市開発フォーラム開催などを通じて、定例的に行なっているが、こういったフォーラムの開催回数には限度があり、YDASHはそれを補完できるスキームだと思う。外部資金の活用方法と同時に、外部資金無しで、何ができるか両面で考えることが重要だ。

[Yan Zhangさん:アジア開発銀行研究所 リサーチ プロジェクト コンサルタント]
SMEsの海外進出における市当局の役割としては、特に、途上国においての企業の支援が重要であると思う。日本企業の技術や能力といったものは、進出先の国々にとっても歓迎されるものである。SMEsの融資においては、SMEsにより近い現地市当局が、与信に関連するより詳細な企業情報を提供すれば、民間金融機関からの融資を促すことができる。併せて、進出する企業の技術や商品開発の特許を保護する施策を、現地当局が行う必要があると思う。

[モデレーター(平田ケンドラさん)]
今回の学生プロジェクトチームの研究、発表は、中小企業が抱える課題についての具体的な2つの提案があった。この提案は、横浜市が後押しをしている公民連携事業であるY-PORTへの良い宿題になると思う。おそらく、これを受けて、来年のこの場で、進捗を確認するのが良いのではないか。


 

【セッション2:基調講演:Preparing for an international career】

 学生プロジェクトの発表、オープンディスカッションに続き、セッション2では、アジア開発銀行研究所のエコノミスト、David Doleさんをお招きして、国際機関でのキャリアをテーマにした基調講演をおこなっていただきました。これから世界に羽ばたく若者へのメッセージとして、「現在の国際機関での仕事に求められる知識や経験は、世の中の変化に併せ、将来、大きく異なるものになる。そう言った中で自分の武器になる専門分野、得意分野を持つことは非常に重要であり、そういった分野を見つけるためにも、インターンシップなど、大学の外に出て色々な体験をしていく中で、伸ばしてゆきたい専門性や、自分が目標とすべきロールモデルを見つけると良い」というお話をしてくださいました。講演の後の質疑応答の時間では、学生から多くの質問が出され、すべての質問に親身に答えてくださいました。

今回のイベントは、次世代育成を目的として開催しました。この「Yokohama Youth Event 2018」では、学生プロジェクトチームの活動成果を発表する機会として、また、そういった成果、提言が実際に横浜市の政策につながっていくことを実感できる場として、横浜市立大学の学生達に貴重な経験を提供する機会となりました。また、基調講演では、今後、国際的に活躍する社会人になるためのヒントを話していただき、学生のみならず、イベントに参加した全員が、今までの自分を振り返り、自分の将来を考えるきっかけとなった、大変有意義なイベントとなりました。本イベント開催にあたり、多大なるご支援をいただいた横浜市および関係機関の皆様方に、心からお礼申し上げます。

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