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COVID関連研究(感染制御部)

2022.08.25
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COVID関連研究(感染制御部)

new! 2022.8.25

Expansion of droplets during speaking and singing in Japanese

日本語歌唱における飛沫、エアロゾルの可視化実験

感染制御部 加藤英明 部長


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は主に飛沫とエアロゾルにより感染が拡大します。合唱は流行初期から多くの集団感染事例が報告されており、飛沫、エアロゾル発生リスクが高いと考えられてきました。今回、日本語での歌唱、発音による飛沫の飛ぶ距離や、エアロゾルの発生量を観察し、日本語歌唱では前方左右60–70cm程度に飛沫が拡大すること、微細なエアロゾルはu母音や「か行」「た行」「は行」「ぱ行」で多く発生することが観察されました。

 

new! 2022.8.18

Enhancement of humoral and cellular immunity against SARS-CoV-2 by a third dose of BNT162b2 vaccine in Japanese healthcare workers

新型コロナウイルスワクチン3回接種前後における液性・細胞性免疫の推移

微生物学 梁  明秀  教授、宮川 敬 准教授
感染制御部 加藤英明 部長

本研究では、医療従事者85名を対象に、BNT162b2ワクチン3回目の接種前後におけるSARS-CoV-2に対する液性および細胞性免疫の推移を調べた。その結果、感染既往のない群では、3回目の接種により液性および細胞性免疫の両方が有意に増強された。しかし、感染既往のある群では、液性免疫はやや増強されたものの、細胞性免疫はほとんど増強されなかった。このことから、ワクチン接種や自然感染による3回の抗原刺激によって細胞性免疫がプラトーに達する可能性が示唆された。また、3回目の接種によりSARS-CoV-2に対する免疫が強化されていても、オミクロン株によるブレイクスルー感染例が複数確認されたことから、3回接種後も感染予防対策が引き続き必要であると考えられた。


new!
 2022.6.28

日本人の血液透析患者では新型コロナワクチン接種後の抗体価上昇が抑制
~ピーク抗体価の上昇に寄与する因子は栄養状態と貧血の改善、ビタミンDの補充~

SARS-CoV-2 spike protein antibody titers 6 months after SARS-CoV-2 mRNA vaccination among patients undergoing hemodialysis in Japan

循環器・腎臓・高血圧内科学 金井 大輔 医師、 田村 功一 主任教授、 涌井 広道 准教授
次世代臨床研究センター(Y-NEXT)土師 達也 助教
感染制御部 加藤 英明 部長

新型コロナウイルスワクチン(ファイザー社)接種後に獲得される抗スパイクタンパク抗体について、抗体価の経時的な推移を血液透析患者群と医療スタッフ群で比較しました。その結果、血液透析患者群では、ワクチン2回目接種から1か月後(ピーク値)と6か月後の抗体価は医療スタッフ群に比べて有意に低値であり、透析患者ではワクチン接種後の抗体価上昇が抑制されることを明らかにしました。
 

2022.4.26

Behavioral factors associated with SARS-CoV-2 infection in Japan

新型コロナウイルス感染者にみられた行動歴の解析

感染制御部 加藤英明 部長

これまでも3密(密集・密接・密閉)がCOVID-19の感染拡大に関わると言われていましたが、本当に3密をともなう行 動が感染の原因になるのか解析されていませんでした。この研究では症状があって国内6施設を受診した方(PCR検査陽性266名、陰性512名)にアンケート調査を行い、2週間以内の行動歴から飲食の有無やマスクの着用状況などを解析しました。結果として飲酒をともなう会食(2.29倍)、カラオケ(2.53倍)、マスクを着用しないで他の人たちと会った(4.18倍)などの行動が感染者に多くみられました。本研究により、感染リスクを避けるためには3密を避けることやマスクの着用が必要であることが裏付けられました。
 

2022.2.10

Molecular and Epidemiological Characterization of Emerging Immune-Escape Variants of SARS-CoV-2 

新型コロナウイルスSARS-CoV-2の新たな変異株の解析について

微生物学 梁  明秀 教授、宮川 敬 准教授 
感染制御部 加藤英明 部長

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株は、現在まで継続的に検出され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおいて重大な課題となっている。また、ワクチンや中和抗体薬治療が効果のない新たな変異体のさらなる出現も懸念されている。本研究において、ワクチン先進国で増加している変異株を同定するための疫学的調査を実施し、変異株に由来するスパイクタンパク質を模した標識ウイルス様粒子を作製して、ファイザー社製ワクチンといくつかの治療用抗体薬の中和効果を解析した。
その結果、ワクチン2回目接種後、95.2%の接種者が、従来株に対しては顕著な中和活性を示したが、Muおよびデルタ変異株に対して中和活性を示したのは、ワクチン接種者のそれぞれ73.8%および78.6%のみで、デルタ株のMu、βおよびγ変異株では、ワクチンの効果が下がることが判明した。また長期的な解析では、当初88.8%のワクチン接種者がデルタ株に対しては強い中和活性を示したが、接種後6ヶ月目には、31.6%に減少した。
さらに、これらの変異株にはいくつかの治療法の有効性の低下が示され、現在流行している変異株に対するパンデミックへの警告とワクチンの追加接種の必要性を示している。


2022.1.28

Ideal Test Time for Coronavirus Disease 2019 Contact Tracing

COVID-19の濃厚接触者に対する適切な検査時期の検討

脳神経外科学  三宅 茂太 客員研究員山本 哲哉 教授
感染制御部 加藤 英明 部長
血液・免疫・感染症内科 中島秀明 教授

濃厚接触者に対する積極的疫学調査はCOVID-19の感染拡大の封じ込めにおいて重要ですが,どのような人に、いつ(接触何日目までに)検査を行うかは明確ではありませんでした。当院の帰国者接触者外来を受診した817名を対象に,接触の状況,接触からの日数,PCR結果などについて後方視的に解析しました。144名のPCR陽性において、陰性者と比較して男性(女性と比較して1.7倍),60歳以上(1.7倍),同居家族が陽性(2.1倍),検査時に症状がある(6.2倍)がPCR陽性を予測する独立した因子でした.PCR陽性は、陽性者との接触後1-17日で検出されましたが,感染性を有するウイルス量(Ct値<30)は接触後14日以降には認めず、陽性率から解析すると濃厚接触者に対する検査は接触後3-13日で実施すべきである考えられました(この解析は従来株流行中での解析です)。


2021.12.24

Antibody titers against the Alpha, Beta, Gamma, and Delta variants of SARS-CoV-2 induced by BNT162b2 vaccination measured using automated chemiluminescent enzyme immunoassay

新型コロナウイルスワクチン 接種6週間後までの抗体価に関する調査報告

感染制御部   加藤英明 部長
微生物学   梁 明秀 教授、宮川 敬 准教授  
データサイエンス研究科   後藤 温 教授
血液・免疫・感染症内科学   中島秀明 教授


ファイザー社の新型コロナウイルスのワクチンを2回接種 (初回の接種は2021年3月15日~22日、2回目の接種は4月5日~13日)した医療従事者168名の血液を採取し、初回ワクチン接種6週間後 (2回目接種3週間後) までの抗体価を測定して、影響を及ぼす背景因子の解析や、変異株に対する抗体価との比較を行いました。また、ウイルスの感染阻害能を示す中和抗体価についても、シュードウイルスを用いて定量的に測定し分析を行いました。

その結果、2回目接種3週間後に十分な免疫が誘導されると考えられること、年齢が高い人ほど、接種後の抗体価が低いことが判明しました。

 

2021.11.05

Vaccine-induced humoral and cellular immunity against SARS-CoV-2 at 6 months post BNT162b2 vaccination

新型コロナウイルスワクチン接種後6か月時点の 抗体価に関する調査結果報告

感染制御部 加藤英明 部長
微生物学  梁 明秀 教授、宮川 敬 准教授  
データサイエンス研究科   後藤 温 教授
血液・免疫・感染症内科学   中島秀明 教授


ファイザー社の新型コロナウイルスのワクチンを接種した医療従事者98名の血液を採取し、ワクチン接種6か月後の抗体価と細胞性免疫を調べました。

その結果、6ヶ月の時点で、抗体は98名全員から検出されたものの、ほとんどのワクチン接種者において、ピーク時(接種1〜3週後)と比べ、抗体価は顕著に(約90%)減少し、ウイルスの感染阻害能を示す中和抗体価も約80%減少し、その陽性率は85.7%でした。また、細胞性免疫については、ワクチン接種6ヶ月時点で、多くの人で細胞性免疫反応が認められ、経時的な評価は行えていませんが、新型コロナウイルスに対するワクチン接種後の免疫応答における細胞性免疫の役割の重要性も示唆される結果でした。

 

 
 

2021.10.9

Visualization of droplets produced by dental air turbines that require infection control measured during coronavirus 2019 outbreaks


歯科タービンによる飛沫の可視化と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中における感染対策の必要性

口腔外科学   大屋 貴志 助教
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学   荒井 康裕 講師
附属病院 感染制御部   加藤 英明 部長


新型コロナウイルスは唾液中でも検出されます。レーザーと高速度カメラを用いた飛沫の可視化によって、歯科タービン使用時における飛沫の飛散を観察しました。タービンは空気の流れを乱すため、エアロゾル粒子が漂い、周囲の環境に飛沫粒子が飛散することが確認されました。処置中の歯科医師はフェイスシールドを着用し、また吸引装置などを用いてエアロゾルの対策をすることが求められます。

 

 

2021.6.17

Visualization of droplet spread produced by a nebulizer during the COVID-19 pandemic 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行中のネブライザー使用による飛沫の可視化実験 

附属病院 感染制御部   加藤 英明 部長
口腔外科学   大屋 貴志 助教
耳鼻咽喉科・頭頸部外科学   荒井 康裕 講師


ネブライザーは気管支喘息などの治療にかかせない治療器具ですが、咳や飛沫が出るためCOVID-19流行中の使用は感染を拡大させる懸念がもたれています。微細な粒子を可視化する実験装置を用いて、ネブライザーを使用した際に発生する飛沫やエアロゾルを可視化しました。ネブライザーの使用、さらには薬液の刺激により咳こむと多くのエアロゾルが発生し、5分間程度空中を漂う様子が観察されました。COVID-19流行中は換気や使用後の環境清掃を徹底することが求められます。

2021.5.12

Rapid detection of neutralizing antibodies to SARS-CoV-2 variants in post-vaccination sera

新型コロナ変異株に対するワクチン接種者の約9割が 流行中の変異株に対する中和抗体を保有することが明らかに

臨床統計学 山中 竹春 教授
微生物学    梁 明秀 教授, 宮川 敬 准教授
附属病院  感染制御部   加藤 英明 部長



研究グループは、現在接種が進められている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンが、従来株のほか、様々な変異株に対しても中和抗体の産生を誘導し、液性免疫の観点から効果が期待できることを明らかにしました。現在、日本でワクチンの接種が進められているところですが、接種をされる方々にとっての重要な基礎データとなります。 
 

2020.9.21

Therapeutic strategy for severe COVID-19 pneumonia from clinical experience


附救急医学 小川 史洋 助教、竹内 一郎 教授
感染制御部 加藤 英明 講師

Coronavirus disease 2019 (COVID-19) is an infectious disease caused by severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2). It was first identified in December 2019 in Wuhan, China, and has resulted in global pandemic. There is currently no effective therapeutic strategy for the management of mechanical ventilation or antiviral drugs for the treatment of this disease. As such, the development of a therapeutic strategy is urgently needed and should be established as soon as possible. In this case series, a therapeutic strategy was initially developed based on previous treatment methods used for the treatment of SARS and MERS in the absence of treatment options for COVID-19 due to a lack of information. During the search for a potential treatment, clinical findings were obtained from patients with severe COVID-19, and one therapeutic strategy was established. This therapeutic strategy was then applied to severe COVID-19 patients. In addition, we can require some interesting clinical features and characteristics of COVID-19 from blood analysis and physical findings. Here, we reported on the clinical features and characteristics of a therapeutic strategy for the treatment of severe COVID-19 pneumonia at our institution.

全世界で猛威をふるっている新型コロナウイルスに有効な治療は現在世界中で研究されていますが、治療ガイドラインなどの治療戦略は示されておらず、開発が急務です。
発生当初は情報不足のためSARSやMERSの治療に用いられた過去の治療法に基づいて治療戦略が策定されましたが、治療法の探索の中で、重症COVID-19患者の臨床所見から当院で統一した治療戦略を確立しました。
また、血液検査や身体所見から、COVID-19のいくつかの興味深い臨床的特徴を確認することができました。
当院における重症COVID-19肺炎の治療戦略について報告しています。

 

2020.6.8

Environmental Maintenance with Effective and Useful Zoning for Severe COVID‐19 due to Protect to and from Patients and Medical Staffs  


附救急医学 小川 史洋 助教、竹内 一郎 教授
感染制御部 加藤 英明 講師

The coronavirus disease 2019 (COVID‐19) pandemic has accelerated all over the world, and global health‐care systems have become overwhelmed with potentially infectious patients seeking testing and care. It is essential to set up effective and useful zoning to prevent the spread of infection to and from medical staff or other patients with effective use of standard precautions with personal protective equipment (PPE).
We repurposed a general ward into an acute care unit for severe COVID‐19 patients taking into consideration airflow, the direction of movement of medical staff, and prevention of the spread of infection to medical staff and other patients. We checked the daily condition and body temperature of all medical staff for 60 days.
There was no evidence of COVID‐19 infection in any medical staff or other patients during the period thanks to effective and useful zoning with PPE.

世界中の医療機関で、検査や治療の必要な患者が増加しています。医療スタッフや他の患者への感染拡大を防止するために、効果的で有用なゾーニングを設定することが不可欠であり、重症COVID‐19患者の急性期病棟内に、気流や医療スタッフの移動方向に配慮して総合診療室を設け、全医療スタッフの状態と体温を60日間確認しました。効果的かつ有効なゾーニングにより、医療従事者や他の患者へのCOVID‐19感染のエビデンスは認められませんでした。

 

 

2020.5.13

Clinical course of 2019 novel coronavirus disease (COVID-19) in individuals present during the outbreak on the Diamond Princess cruise ship

感染制御部 加藤 英明 講師

We investigated the clinical course of individuals with 2019 novel coronavirus disease (COVID-19) who were transferred from the Diamond Princess cruise ship to 12 local hospitals. The conditions and clinical courses of patients with pneumonia were compared with those of patients without pneumonia. Among 70 patients (median age: 67 years) analyzed, the major symptoms were fever (64.3%), cough (54.3%), and general fatigue (24.3%). Forty-three patients (61.4%) had pneumonia. Higher body temperature, heart rate, and respiratory rate as well as higher of lactate dehydrogenase (LDH), aspartate aminotransferase (AST), and C-reactive protein (CRP) levels and lower serum albumin level and lymphocyte count were associated with the presence of pneumonia. Ground-glass opacity was found in 97.7% of the patients with pneumonia. Patients were administered neuraminidase inhibitors (20%), lopinavir/ritonavir (32.9%), and ciclesonide inhalation (11.4%). Mechanical ventilation and veno-venous extracorporeal membrane oxygenation was performed on 14 (20%) and 2 (2.9%) patients, respectively; two patients died. The median duration of intubation was 12 days. The patients with COVID-19 transferred to local hospitals during the outbreak had severe conditions and needed close monitoring. The severity of COVID-19 depends on the presence of pneumonia. High serum LDH, AST and CRP levels and low serum albumin level and lymphocyte count were found to be predictors of pneumonia. It was challenging for local hospitals to admit and treat these patients during the outbreak of COVID-19. Assessment of severity was crucial to manage a large number of patients.

ダイヤモンドプリンセス号から県内12病院に搬送された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者70例(年齢中央値: 67歳)を解析した。主な症状は発熱(64.3%)、咳嗽(54.3%)、全身倦怠感(24.3%)であり、43例(61.4%)に肺炎が認められた。肺炎像は97.7%が両側散布性の、すりガラス状陰影であった。血清LDH, AST,CRP高値、血清アルブミン低値、リンパ球数低値が肺炎の予測因子であることが判明した。重症度の評価は、多数の患者を管理するために重要である。

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