YCU 横浜市立大学
search

生命ナノシステム科学研究科/データサイエンス学部 立川仁典教授が、分子科学会で分子科学国際学術賞を受賞。

2019.11.26
  • 大学からのお知らせ
  • 研究

データサイエンス学部 立川仁典教授が、分子科学会で分子科学国際学術賞を受賞。

分子科学会会長・田原太平氏(右)から分子科学国際学術賞を授与される立川仁典教授(左)
横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科及びデータサイエンス学部の 立川仁典教授が分子科学会において第4回分子科学国際学術賞を受賞しました。 表彰式は、令和元年9月17日(火)に名古屋大学での分子科学会通常総会、および同19日(木)名古屋東急ホテル(愛知県名古屋市)にて執り行われました。
この賞は、「分子科学研究分野において量ではなく質的に優れた研究業績をあげ、国際的に高く評価されている研究者」に授与されるもので、立川教授は「量子多成分系に対する第一原理分子理論の構築とその応用」の研究において高い評価を受け、受賞に至りました。


研究題目:「量子多成分系に対する第一原理分子理論の構築とその応用」

立川教授は、計算科学によるシミュレーションやデータサイエンスを駆使して、様々な自然現象を解析することにより、新しい現象の予測・発見・設計を目的とした可能とすることを目的として研究活動に取り組んでいます。また加えて、そのために必要な新しい理論手法・計算手法・統計手法を開発すると同時に、企業との共同研究等を通した実社会への応用展開にも積極的ににも取り組んでいます。

立川教授からのコメント

この度は、「分子科学会分子科学国際学術賞」という大変名誉な賞を賜り、非常に光栄に存じます。昨年度の「日本コンピュータ化学会学会賞 」に続く当該分野での連続受賞、また今年度の学生の頑張りによる「理論化学討論会優秀ポスター賞 」および「計算科学に関する国際シンポジウム優秀講演賞・優秀ポスター賞3件 」を含め、研究室チーム全体としての受賞であったことを大変嬉しく思います。

さて今回の国際学術賞では、今までの計算手法だけでは取り扱えない水素原子核自身の量子力学的振舞い(量子水素)を研究対象とするために、我々が新たに開発・実装してきた理論手法(量子多成分系に対する第一原理分子理論)が受賞対象となりました。具体的には、電子と原子核すべてを「まるごと」量子力学的に計算することを可能とし、それにより、今まで説明できなかった実験結果の再現や反応機構を解明してきました。またこの手法は、物性研究や医療診断等に応用されている「陽電子」や「ミューオン」を含む系にも高精度で適用できることがわかり、「エキゾチック分子の量子化学計算」という新たな領域を開拓してきた点も評価されたものと思われます。
今回の受賞対象研究の一部は、東京応化工業との理論解析共同研究室発足のきっかけともなり、日本のものづくりにおける技術開発にも貢献していきます。また本学第1期学術的研究推進事業「産学連携等支援プロジェクト」(平成28年度~30年度)の温かいご支援がありましたことを付記しておきます。今回の受賞を励みに、本学において、当該分野の拠点形成に取組んでいく所存です。
JSTさくらサイエンスプランにより、2019年度量子物理化学研究室メンバーが主催した 5th Japan-Thai workshop on Theoretical and Computational Chemistry 2019 にて

分子科学会とは・・・

分子科学の振興を強力に推進することを目的として、分子科学分野で長年活動してきた分子構造総合討論会と分子科学研究会が一体となって、2006年9月20日に設立された学会。
主な学術的会合として、研究成果の発表と討論を中心とする『分子科学討論会』と、学生を念頭に置いて特定の主題について議論を深める『分子科学会シンポジウム』を開催している。
(分子科学会HPより)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加