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石井桐子さんが、第22回理論化学討論会で優秀ポスター賞を受賞

2019.11.14
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石井桐子さんが、第22回理論化学討論会で優秀ポスター賞を受賞

研究内容を説明する石井さん(中央)
大学院生命ナノシステム科学研究科博士後期課程1年の石井桐子さん(指導教員:北幸海准教授、立川仁典教授)は、2019年5月27日(月)~29日(水)に北海道大学学術交流会館(北海道札幌市)で開催された第22回 理論化学討論会においてポスター発表を行い、優秀ポスター賞を受賞しました。

受賞者
生命ナノシステム科学研究科 博士後期課程 1年 石井桐子(いしいきりこ)さん
指導教員 立川仁典 教授、北幸海 准教授
研究のイメージ〜見えない分子を計算で特定する!〜

発表内容

発表演題
「Backflow変換を用いた新規振動座標による高精度非調和振動状態理論の開発」

私達の世界を構成している原子や分子は、小さすぎて目には見えませんが常に動いており、これを原子・分子の「振動」と言います。私達一人ひとりに個性があるように、原子・分子の振動にもその種類によって“個性”があります。今回石井さんは、絶対零度(-273℃)においての原子・分子の振動である「ゼロ点振動」という現象について研究し、発表を行いました。このゼロ点振動における分子毎の振動の“個性”を正しく捉え、理解するためには量子力学に基づく理論的なアプローチが必要になります。本研究では「backflow変換」という数学的手法を用いた新しい分子振動の理論を開発し、様々な分子のゼロ点振動の“個性”の記述に対して、その有効性を実証することができました。

石井さんのコメント

まさか賞をいただけるとは思っていなかったため、とても驚いています。また、今回このような賞をいただくことができたのは、日頃から手厚い指導、サポートをしてくださっている立川先生、北先生のおかげであり、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。私の研究はまだ道半ばであるため、今後もますます研究に励んでいきたいと思います。

指導教員コメント

北幸海准教授

石井さん、優秀ポスター賞の受賞まことにおめでとうございます。
石井さんは学部1年次から理数GP(現・理数マスター)※1生として自主研究に取り組み、第6回サイエンスインカレ※2において書類選考を通過し、YCUから唯一口頭発表を行い、加えて研究成果を学術誌へ発表するなど、大いに活躍されました。4年次からは、本受賞研究とも関連する大変難解な理論に取り組み、卒業研究発表会では最優秀発表賞を受賞するなど、自主研究と両立させました。研究としては道半ばではありますが、彼女の開発している理論の意義・ポテンシャルを来訪者の方々に理解していただけたことで、この度の受賞に至ったのだと思います。これを励みにより一層の活躍を期待しています。

※1 理数GP(現・理数マスター)プログラム
文部科学省「理数学生育成支援事業」の補助金を得て取り組んだ「YCU型高大院一貫科学者養成プログラム」(平成24年度~平成27年度)。補助金終了後の平成28年度からは「理数マスター育成プログラム」と改称しています。
理学部・データサイエンス学部の学生を対象に大学入学後から研究活動を支援し、将来の科学技術を担う人材育成を目指したプログラムです。

※2 サイエンスインカレ
学生の能力・研究意欲を高め、創造性豊かな科学技術人材を育成することを目的に、自然科学分野を学ぶ全国の学生が自主研究の成果を発表し競い合う場。文部科学省が主催し、平成23年度から開催されています。


立川仁典教授

石井さん、この度は第22回理論化学討論会での優秀ポスター賞の受賞、まことにおめでとうございます! 今回の受賞に輝いたことは、我々のグループとしても大変うれしく思います。 石井さんの研究テーマである、Backflow変換を用いた高精度な振動状態理論の開発では、煩雑な式の導出から、プログラム実装、そして得られた計算結果を実際の実験値と比較していく必要があります。石井さんがこのようなテーマに果敢に挑戦し、また懇切丁寧に研究内容を説明できたことが、今回の評価につながったものと思います。これを励みにより一層の活躍を期待しています。
(追伸: 2019年7月23~29日に、デュービル(フランス)で開催された国際会議”XXXI st International Conference on Photonic, Electronic, and Atomic Collisions”においても石井さんは、Student Registration Awardを受賞しました。重ねておめでとうございます!)
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