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【開催概要】市民講座「生活習慣病・動脈硬化症に克つ!」

2014.12.11
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生活習慣病・動脈硬化症に克つ!

平成26年12月11日(木)開催概要

講師 : 田村功一(横浜市立大学循環器・腎臓内科学准教授)

今回は、「生活習慣病・動脈硬化症に克つ!」と題して、循環器・腎臓内科学の田村功一 准教授が講演しました。

講演はまず、動脈硬化症の成り立ちや原因となる生活習慣病についてお話があり、動脈硬化の合併症の中で、心疾患や脳血管疾患は日本人の死因の中でがんに次いで高い割合を占めており、あまり知られていない慢性腎臓病も注目されていることなどをグラフやイラストを用いて説明しました。
人間の体内にはレニン-アンジオテンシン系(血圧や細胞外容量の調節に関わるホルモン系の総称)があり、これが活性化すると生活習慣病を重症化させたり動脈硬化を促進したりします。レニン-アンジオテンシン系の中で、『悪い』情報伝達系のスイッチ役として機能しているAT1受容体については、悪い機能だけでなく、生理的機能として良い面もあります。研究の中で、機能選択的スイッチ制御戦略をたて、AT1受容体直接結合分子(ATRAP/Agtrap)の単離・同定に成功しました。このATRAPによる生活習慣病・慢性腎臓病・動脈硬化症に対する次世代の治療を目指しています。
また、夜間高血圧の方は慢性腎臓病(CKD)のリスクが高く、血圧のバラツキ(血圧変動性)は重篤な動脈硬化合併症の危険性を増加させるという説明があり、臨床の現場で多くの患者さんと接している医師としてのお話に、受講者の皆さんは熱心に耳を傾けていらっしゃいました。
高血圧の原因となる肥満に効く、西洋医学の食事療法と東洋医学の漢方薬(防風通聖散)による統合医療の治療効果についてや、血液の中のLDLコレステロールを吸着して体に返す血液浄化療法についてなど、難しい内容をユーモアを交えながらわかりやすく説明し、健康長寿社会を目指した次世代の治療法の開発につながる研究を進めていきたい、と締めくくりました。
受講者からは「研究の方向性が分かり易く説明されていた」、「生活習慣病の怖さがよく分かった」、「講義内容は難しかったが、先生の熱意がよく伝わった」というご感想を頂きました。
今後も当センターの研究成果情報を講座やWEBサイト、広報物等を通じて皆さまに公表していきますので、何卒よろしくお願いいたします。
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