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【開催概要】市民講座「希少難病の原因を解き明かす!~ヒト全遺伝子・全ゲノム解析~」

2014.08.07
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希少難病の原因を解き明かす!~ヒト全遺伝子・全ゲノム解析~

平成26年8月7日(木)開催概要

講師 : 松本直通(横浜市立大学遺伝学教授)

今回は、「希少難病の原因を解き明かす!~ヒト全遺伝子・全ゲノム解析~」と題して、遺伝学の松本直道教授が講演しました。

講演はまずゲノムについてスライドを示しながら、細胞の中に存在する遺伝情報の総体で、遺伝子とその発現を制御する情報などを含むこと、その大きさや2004年にヒトゲノムの完全配列、つまりヒトの生命地図の大元を手に入れることができたということをわかり易く説明していきました。
体の細胞内の核ゲノム60億塩基対の中でたった一つの塩基が欠失するだけで病気が起こります。原因不明の難病の原因を探すのは60億匹の魚の中から特定の1匹をつり上げるようなもので、昔はまったく不可能と考えられていました。20年以上研究してきた今ようやく、次世代シーケンサーの出現によって大量のシーケンスが可能になり、全ゲノムを解析をして同じ病気の患者さんの共通の遺伝子の異常を見つけて、原因を探ることができるようになりました。また、全エクソーム解析という、エクソン領域に集約する方法で効率化することができ、コストも削減できます。
また、ヒトはもともと遺伝子の中に1個か2個の新たな変異を持って生まれてくること、遺伝子の変異が両親の年齢によって増えていくデータなどを示しながら、出生前診断NIPT (NonInvasive Prenatal Test) に関する解説もあり、パーソナルゲノム、ゲノム医学の時代が到来し、遺伝子・ゲノム解析が臨床の現場で重要であること、遺伝子の異常を発見することがすぐに治療につながるものばかりではないが、そこから病気の起こるメカニズムを解明して治療につなげていく不可欠な第一歩を最大の努力で進めていきたいと締めくくりました。
横浜市大の遺伝学教室は日本で最も多くの解析を行っている研究室の一つであり、既に約5,000人分のゲノム解析を終了して、次々に新しい病気の原因遺伝子を見つけています。受講者の方から「難しい内容だったが、丁寧にゆっくり話して下さった」「ヒトゲノム解析の原理と現状がよく分かった」「横浜市に最先端の研究室があることを知って誇りに思う」というご感想をいただきました。
今後も当センターの研究成果情報を講座やWEBサイト、広報物等を通じて皆さまに公表していきますので、何卒よろしくお願いいたします。
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