診療科・部門案内

呼吸器病センター

肺がん~呼吸器悪性腫瘍(肺癌)の治療法~

肺がんとは

肺がんは肺の細胞の遺伝子が傷つくことで発生します。
遺伝子を傷つける原因はいくつかありますが、一番の原因は喫煙です。
たばこの煙の中には約4000種類以上の化学物質が含まれていますが、そのうち200種類以上が有害物質であり、この中に約60種類の発がん性物質が含まれています。
喫煙は肺癌を発生させるリスクを3~4倍上昇させるため、肺癌の予防には禁煙が最も重要と言えます。一方、非喫煙者からでも肺癌が発生することが分かっています。女性を中心として近年増加傾向にありますが、非喫煙者から肺癌が発生するメカニズムについては未だ明らかではありません。

胸部Ⅹ線・胸部CT検査・喀痰細胞診 ~肺がんの早期発見~

肺がんの早期発見には胸部X線による検診が有用です。40歳以上の方であれば、年に1回の胸部X線検診が望まれます。また、50歳以上の重喫煙者(1日の喫煙本数×喫煙年数が600以上の方)では、胸部X線に喀痰細胞診を併用した検診が有用です。

胸部X線で肺がんが疑われた場合、胸部CTによる精密検査が有用です。
胸部CTでは腫瘍の正確な位置や大きさ、形などの精密な情報を得ることができます。

気管支鏡検査

がんの治療方針を決定する上では、進行度や全身状態、年齢から見極めることが重要で、「気管支鏡検査」を用いて確定診断を行います。

気管支鏡検査では、腫瘍の細胞を一部採取し、組織学的検査を行います。
肺がんと診断された場合、頭部MRI、PET検査などで全身の精密検査を行い、進行度(ステージ)を確認します。

そして、患者さんの全身状態や年齢等も考慮した上で、内科・外科・放射線科によるキャンサーボード(治療方針を相談する会議)を行います。
その結果をもとに患者さんと相談し、治療方針を決定しています。
※気管支鏡は、胃カメラ以上に苦しいのではと不安になる方も多いのですが、2種類の麻酔を混ぜて行うことで、患者さんの負担を軽減し、ほぼ苦痛なく受けられます。
気管支鏡検査気管支鏡検査

肺がんの治療法

肺がんの治療は大きく手術療法、化学療法、放射線療法に分類されます。
それぞれ単独で行う場合と、それらを組み合わせて行う集学的治療があります。

比較的早期の肺がんに対しては手術療法が適応となりますが、リンパ節転移を伴っていたり、周囲臓器への浸潤を認める進行例では、術前や術後に化学療法や放射線療法を組み合わせる集学的治療を行います。

また、手術療法が適応とならない症例では、化学療法、放射線療法の単独療法、あるいは併用療法を行います。最終的な治療方針は主治医との相談のもとで、それぞれの患者さんの状態や希望に応じて決定されます。

手術療法

病変の進行度、患者さんの状態により、全身麻酔下に肺部分切除、肺区域切除、肺葉切除、肺全摘術、気管支・血管形成術などを行います。
当院は複数の胸腔鏡安全技術認定医が在籍しており、安全性・根治性・低侵襲性の観点から、胸腔鏡手術、開胸手術など、適切な手術方法を選択しております。
入院期間:5~8日

化学療法 ~抗癌剤・分子標的薬剤・免疫療法など~

お薬を用いた治療方法です。
進行期肺がん等への化学療法(抗がん剤治療)で、初めて使用する薬剤を開始する場合は、副作用の程度を確認するため入院で行います。使用する薬剤によって状態を確認する期間は異なります。
入院中の副作用の程度により、可能な場合は2回目以降の治療は外来通院で行います。
入院期間例:3〜14日

放射線療法

がんの部分に放射線を当てて治療していきます。
3次元原体照射法(3D-CRT)に加え、定位放射線治療(SRT)や強度変調放射線治療(IMRT)などの高精度放射線治療も積極的に行っています。
肺がん等への放射線単独での治療は、通常外来で実施します。
化学療法併用時や薬剤による疼痛コントロールが必要な場合などは入院治療を行います。
入院期間例:7〜14日